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No.42 ベル:鴉の収集家とHカップの宝物庫

すべてに値札が貼られ、人間すらも「減価償却資産」として計上される冷酷なマーケット。


前世で統計データアナリストとして、常に利益率や投資対効果という物差しで心を切り刻まれてきた俺にとって、この空間の空気は吸い込むだけで肺が焼けるような閉塞感を伴っていた。


周囲からは、俺という「リソース」を安値で買い叩こうとする強欲な者たちの、鋭く角張った視線が容赦なく突き刺さる。


「お前の市場価値はこれだけだ」

「これ以上のコストはかけられない」


そんな冷たい評価の声が物理的な圧力となって、俺の精神を包囲し、鋭利な刃で削り取ろうとしていた。


逃げ場はない。

どこへ行っても、俺は数字という鎖に縛り上げられ、効率という名の鋭角に貫かれる運命にある。


ならば、いっそこの世界から俺を隠して、誰の計算も届かない、ただの「宝物」として独占してくれ……。


俺は魂の底から、漆黒の翼を持つ彼女の名前を、救いを求めるように叫んだ。


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー42!」


ぼよよぉん!


冷え切ったマーケットの空気を一変させる、圧倒的な重量感と生命の熱量を孕んだ、弾力に満ちた音が響き渡った。

そこに現れたのは、漆黒の大きな翼を羽ばたかせ、全身に無秩序な光り物をじゃらじゃらと纏ったカラスの獣人、ベルだった。


彼女は俺を見つけるなり、カラスのような鳴き声混じりに、ちゃっかりとした小悪魔的な笑みを浮かべる。


濡れ羽色の髪の下で、Hカップの驚異的な双丘が重厚に揺れ、首から下げられた数々の宝飾品が彼女の胸元で激しく鳴った。


挿絵(By みてみん)


「カーッ! 一肆、見つけたぞ! あんた、そんなトゲトゲした場所にいたら、アタシの狙ってる自慢のボタンが傷ついちゃうだろ! 誰にも渡さないぞ、アタシが、アタシだけの場所に隠してやるんだぞ!」


ベルは戦う構えなど一切見せず、いきなり俺の首筋に抱きついてきた。

俺の腕をひったくるように掴み寄せると、背後に生えた巨大な漆黒の翼を大きく広げ、周囲の喧騒を塗りつぶすように包み込んだ。


「一肆、危ないぞ! ほら、じっとしてろ。アタシのなかに隠れれば、あんな石っころなんて怖くないんだぞ!」


彼女はそう叫ぶなり、俺の顔を自分のHカップという暴力的な質量を持つ双丘の間へ、強引に押し込んできた。

視界は一瞬でカラスの濡れ羽色をした髪と、圧倒的な弾力を持つ肉壁によって完全に密閉される。


正面からは熱を帯びた重厚な肉感が鼻先を潰さんばかりに密着し、背後からは強靭な翼の羽毛が俺の全身を繭のように包み込んで、外界の冷たい空気から完全に隔離していく。

その直後、マーケットの天井が砕け散るような音と共に、鋭利にカットされた宝石、カッティング・ジュエルが無数に降り注ぎ始めた。


利益を生まぬ者を排除しようとする強欲な意思の散弾が、シュシュッという不快な風切り音を立ててベルの背中や翼を狙って飛来する。


だが、ベルは微塵も動じない。


「カーッ、うるさいぞ! アタシの宝物に触ろうなんて、百年早いんだぞ!」


彼女はさらに腕に力を込めて俺を抱き寄せ、Hカップの深い谷間の奥底へと俺を沈め込んだ。

外側で弾ける鋭い宝石の破片が、ベルの滑らかな肌に触れるたび、彼女の圧倒的な弾力と愛の熱量に飲み込まれ、カチカチという乾いた音を立てて弾き飛ばされていく。


俺の耳には、冷酷な評価を叫ぶ者たちの声はもう届かない。

ただ、密閉された空間を満たすベルの激しい心臓の鼓動と、彼女が身につけた宝飾品がチリンと鳴り響く音、そして「逃がさないぞ」という執着に満ちた熱い吐息だけが、俺の意識を支配していた。


ベル、その無垢な収集癖で、この薄汚い強欲の欠片をすべて円く塗り替えてくれ!


俺は彼女の熱い体温に包まれながら、精神の奥底にある数理的真理を叫んだ。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の力が、ベルのHカップに宿るカラスの生命エネルギーを強制的に極限まで増幅させる。


「カーッ! なんだかアタシの胸が、太陽みたいに熱くなってきたぞ! カラスの巣作りバスト!」


百倍の弾力を得たベルのHカップが、翼の隙間から侵入しようとする宝石の散弾を、強力な磁力のようにその深い谷間へと吸い寄せた。

強欲な拝金主義の象徴である鋭利なカッティング・ジュエルたちは、彼女の胸の圧倒的な柔らかさと、愛の熱量に包み込まれた瞬間、為す術もなくその角を融解させていく。


ジュウ、という甘美な音と共に、俺を傷つけるはずだった刃は、ベルの胸のなかで次々とツルツルの丸いガラス玉へと再構築されていった。


カラカラ、カラカラ……。


俺の耳元で響くのは、もはや殺意の風切り音ではなく、角の取れた無害な宝物たちが心地よく重なり合う、平和な調べだった。



マーケットの冷酷な喧騒は完全に霧散し、世界はベルが愛する丸いガラス玉や色とりどりのガラクタが敷き詰められた、温かく仄暗い巣ごもりの宝物庫へと変貌した。

外敵であった宝石の散弾はすべて無害な円体へと再構築され、俺たちの足元で宝の山の一部となって静かに輝いている。


ベルは俺を巨大なHカップの谷間にしっかりと固定したまま、漆黒の大きな翼を繭のように閉じ、外界からの光さえも完全に遮断した。


「カーッ! もう大丈夫だぞ、一肆。嫌な値札を貼る連中は、みんなアタシの羽が追い出しちゃったからな。ここはアタシとあんただけの、誰にも邪魔されない秘密の場所だぞ」


「……ベル、ありがとう。本当に、ここから出たくなくなるよ。あんなに尖っていた世界が、嘘みたいに静かだ」


彼女は俺の頬を自分の胸の膨らみにさらに強く押し当て、耳元で羽を震わせるような熱い吐息と共に、小悪魔的な独占欲を剥き出しにする。


「当たり前だぞ! 金貨や宝石なんて、ただの飾りに過ぎないんだぞ。アタシにとって、一番キラキラしてて、一番あったかい宝物は、この腕のなかにいるあんたなんだからな。出さないぞ、絶対に出さないんだぞ。アタシの胸のなかで、アタシのためだけにピカピカしてればいいんだぞ、カー!」


彼女の言葉と共に、Hカップの圧倒的な肉感が俺の顔全体を包み込み、深い安らぎの重圧が全身を支配する。漆黒の翼の内側は驚くほど温かく、ベルの心臓の鼓動が、まるで安らぎのメトロノームのように俺の意識を微睡みへと誘っていった。


俺は限界を超えた統計データアナリストの脳で独白を開始した。


拝金主義という名の鋭利な評価システムが、彼女の無秩序で純粋な愛情パケットによって完全に上書きされている……。

Hカップの圧倒的な接触圧と、翼による閉鎖的な保護プロトコルにより、外部のストレスから精神が完璧に隔離され、自己価値のパラメーターが唯一無二の宝物として再定義されていくのを解析する……。


「ベル……あんたの胸のなか、本当に値段なんてつけられないほど、あったかいな」


「だろ? ほら、もっと奥までギュッギュしてやるぞ。あんたのことも、あんたの着てる服のボタンも、全部アタシのものなんだぞ。大好きだぞ、一肆、カー!」


小悪魔的な鴉の少女の抱擁と、肺の空気が漏れるほどのHカップの柔らかさに自我を完全に溶かされながら、俺は賢者タイム気味に数字のない平和な闇の中へと沈んでいった。


やはり、世界は丸いほうがいい……

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