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No.38 フィリア:堕天寸前のAカップのサボり魔

何も決まらないのに時間だけが過ぎていく無駄な会議は、人間の生産性と精神的エネルギーを最も非効率に浪費させるブラックホールだ。


前世の俺は、結論の出ない議論を延々と繰り返し、出口のないアタッシュケースの山に囲まれて、時計の針が刻む絶望の音に神経をすり減らしていた。



今、俺の目の前には無機質なグレーの会議室が広がっていた。

そこにあるのは、角が鋭く尖り、ガチガチと口を開けて噛み付いてくる魔物、ブレード・アタッシュの群れだ。


それらは「議事録」や「今後の課題」という名の鋭利な刃を剥き出しにして、俺の貴重な自由時間を食い尽くそうと迫ってくる。


「……ねー、一肆~。ここ、空気重すぎて息苦しいしー。帰っていいかなー?」


隣で盛大に欠伸をしながら、チュニックの裾をだらしなく着崩しているのは、下級天使のフィリアだ。

背中の白い羽は小さく、頭の上の天使の輪は少し傾いて汚れ、口の端にはさっきまで食べていたお菓子の屑がついている。


挿絵(By みてみん)


彼女は堕天寸前のサボり魔であり、神様よりも目の前のポテトチップスを信仰する、およそ天使らしからぬ天使だった。


「フィリア、サボってる場合じゃない! あいつらに捕まったら、一生終わらない会議に拘束されるぞ!」


「えー、むりー。戦うとかカロリー消費激しいしー。ていうか、会議とかマジで時間の無駄だしー……あ、噛まれる」


フィリアがやる気のない声を上げた瞬間、ブレード・アタッシュの一体が鋭い角を突き立てて俺たちに飛びかかってきた。


ガチガチと金属音を立てて襲いかかる「無駄な時間」の象徴。

俺は逃げ場のない停滞感の中で、フィリアの怠惰なエネルギーを逆転の力に変えるべく、魂のスキルを発動した。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の力が、フィリアの平坦で穏やかなAカップへと収束し、その神聖なサボりのエネルギーを百倍に引き上げる。


「……もー、一肆~がうるさいから一回だけやるしー。そーれ、エンジェル・ドーナツ・リング」


百倍の脱力パワーを得たフィリアは、迫りくる鋭利なアタッシュケースに対し、チュニックに包まれたAカップの小さな胸をポヨンと突き出した。


鋭い金属の角が彼女の胸に触れた瞬間、神聖なまでの「どうでもいい」というエネルギーが伝播していく。


硬質なアタッシュケースはAカップの微かな弾力で弾き返され、その過程で鋭い角が溶けるように丸まり、香ばしい匂いを漂わせる甘い丸型ドーナツへと変形した。


襲いかかっていた刃の群れは、次々とサクサクのスイーツに変わり、会議室の冷たい床を埋め尽くしていく。



殺伐とした空間は、いつの間にか陽だまりの差し込む、ダラダラとした昼下がりのリビングへと変貌していた。

フィリアは床に散らばったドーナツを一つ拾って口に放り込むと、俺の腕を引いてソファに倒れ込ませた。


「はい、これ。天使のサボり許可証。一肆~は今日、何もしなくていいよー」


彼女は神聖な権限を私物化して、俺に「絶対休日」の免罪符を発行した。

フィリアは俺の胸板に自分の背中を預けるようにして密着し、Aカップの平坦で柔らかな感触を俺の体に押し当ててくる。


「一肆~、もっと力抜いてよー。はい、ポテチ。あーん」


「あ、ありがとう。……なんか、本当にどうでもよくなってきたな、仕事のこと」


「でしょー? 頑張るのとかコスパ悪いしー。こうして密着してダラダラしてるのが、一番の天国だしー」


彼女の小さな羽が俺の頬をくすぐり、チュニックから漂う甘いお菓子の匂いと、Aカップのささやかで心地よい温もりが俺の神経を一本ずつ解きほぐしていく。

俺は限界を超えた統計データアナリストの脳で独白を開始した。


生産性という幻想に基づいた過剰なタスクスタックが、彼女のAカップという『絶対的静止』のフィルターによって完全にクリアされている……!

一分一秒を惜しむ効率化のアルゴリズムが、彼女の怠惰な神聖力によって無効化され、脳内メモリが『何もしない』という極上のアイドル状態へと最適化されていくのがわかる……。


「フィリア、あんたの胸……すごく、落ち着くよ。起伏がない分、隙間なくくっついてる感じがする……」


「一肆~、それ、褒めてるつもりー? まあいいけどー。ほら、次、コンソメ味いくよー」



堕天寸前の天使のやる気のない囁きと、密着するAカップの優しい平坦さに完全に自我を溶かされながら、俺は終わらない休日という名の報酬系の中で、ダラダラ時間を賢者タイム気味に噛み締めていた。


やはり、世界は丸いほうがいい……

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