第6回 争奪戦:まあるい「だるまさんが転んだ」
(一肆、毎日お疲れ様。よしよし、えらい子ですね。たまにはゆっくりおやすみなさい..........................)
いつものように、俺は異空間にある慰安用のログハウス風ロッジに飛ばされていた。
やはり何か違和感があるが、わからないことを考えても仕方がない。それに目の前には、ご褒美タイムが待っているのだ。
そこには、No.26からNo.30までの5人の女の子たちが勢揃いしている。
今日も今日とて、誰が俺を独占して甘やかすかという、平和で過激な争奪戦が勃発していた。
「坊や、勝ったほうが負けたほうの服を脱がすポーカーなんてどうだい? もちろん、アタシが勝つけどね」
ヴァネッサがバニースーツ風のドレスの胸元を強調しながらウインクをしてくる。
「オラはどろんこ相撲がいいだ! 一肆くんと肌と肌でぶつかり合うだ!」
テラが巨大なGカップを揺らしながら鼻息を荒くする。
「ミミは……添い寝勝負がいいにゃ。一番早く寝た人の勝ち……」
「実弾を使ったサバイバルゲームはどうだ? 私の狙撃の腕を見せてやる」
ミミがすでに半分寝ながら提案し、イルマがなぜか銃を構えて物騒なことを言い出した。
それぞれの好み全開で意味不明かつ過激な提案に、俺はタジタジになるしかない。
「みなさん、もっと平和的にいきましょうよ! せっかくお庭が広いんですから、『だるまさんが転んだ』なんてどうですか?」
見かねた唯一まともそうなシャノンが、ポンと手を叩いて提案した。
シャノン以外はそのルールを知らないらしく、全員が不思議そうな顔をしたので、俺が説明することになった。
「俺が庭の大きな木に向かって呪文を唱えている間だけ進めるんだ。振り返った時に動いていたら負け。俺にタッチできたら勝ちってルールだよ」
(ルール通りに勝ちさえすれば、誰にも文句を言われずに一肆さんを独占して徹底的に甘やかす正当な権利が得られます)
「公平で素晴らしいゲームです! わたし、全力で一番を狙いにいきますから覚悟してくださいね、一肆さん」
シャノンが営業スマイルの裏で独占欲を燃やす。
(対象の死角を突き、視線を向けられた瞬間に気配を殺して完全静止する……まさに我々狙撃手のための潜入訓練ではないか。造作もない)
「フッ、私の隠密スキルを舐めるなよ。あんたに私の影すら踏ませず、背後を取ってやる」
イルマが無駄にプロの顔つきで真剣に頷いた。
(振り返った時に動いてなきゃいいってことは……最初からずっと日向で寝転がって動かなければ、絶対にアウトにならない無敵の作戦だにゃ)
「ふぁぁ……わかったにゃ。動かなければいいんだね。ミミにぴったりの勝負だにゃ……」
ミミが早々に庭のひだまりを見つけて欠伸をする。
(だるまさんってよくわからんけんど、転がってたっちすればいいんだべ?)
「オラ、頑張って転がるだよ!」
テラが謎のやる気を見せて拳を握った。
(坊やが見ていない間なら、どんな手を使って距離を詰めてもいいってことさね。背中を向けて無防備な坊やに飛びつくスリル……たまらないじゃないか)
「ようは、坊やが見てない間に好きにしていいってことさね? ふふっ、スリルがあっていいじゃない。せいぜい捕まらないように気をつけな」
ヴァネッサが色っぽく唇を舐めた。
それぞれの解釈がすれ違う中、俺は庭の大きな木に向かって鬼となり、ゲームがスタートした。
第一のカウント。
「だ〜るまさんが〜…………こ〜ろんだ!」
俺が振り返ると、だるまの真似をして地面をゴロゴロと高速回転してきたテラが、止まる気配もなくそのままの勢いで俺の足元へ突進してきて激突した。
「わわっ!?」
「あたた……転がるのは目が回るだよ……」
ルールを完全に勘違いしていたテラが真っ先にアウトになり、そのまま庭の土で泥遊びを始めてしまった。
一方、ヴァネッサは色気たっぷりのグラビアアイドルのようなポーズをばっちり決めて静止しており、見事にセーフ。
ミミは早々に庭のひだまりを見つけ、丸くなってお昼寝モードに入っている。
シャノンは真面目にピタッと止まっていた。
そしてイルマは、微動だにせず完璧な狙撃手の姿勢で止まっていたが、方向音痴のせいで俺とは全く違う明後日の方向、森の奥に向かって歩みを進めていた。
第二のカウント。
「だ〜るまさんが〜…………ころんだっ!」
少しフェイントを入れて語尾を爆速にしてみる。
振り返ると、ポーズを攻めすぎたヴァネッサが、急停止した反動でEカップの豊満な胸をブルンブルンと激しく揺らしていた。
「ちょっ、まっ……胸が、止まらないさねっ!」
その圧倒的な質量の揺れを抑えきれず、彼女はバランスを崩して派手に転倒し、アウトになってしまった。
ミミは相変わらずお昼寝中。イルマは完全に森の方へ迷い込んで見えなくなっている。
シャノンはニコニコした営業スマイルのまま、手強くしっかりと止まっていた。
第三のカウント。
「だ〜るまさんが〜…………こ〜ろ〜んだっ!」
今度は強弱をつけてタイミングをずらして振り返る。
その瞬間、ひだまりで寝ていたはずのミミが、盗賊の恐るべき瞬発力で俺の目の前ゼロ距離にワープしていた。
しかし、本能のまま俺の顔にすりすりと猫のように頬ずりしてしまい、思い切り動いたためアウトになった。
ふと遠くの森の奥に目をやると、イルマは影も形もなくなっていた。
こりゃ完全に試合放棄で迷子だな、まあいっか。俺は心の中でツッコミを入れて放置することにした。
残るはシャノンとの一騎打ちだ。
第四のカウント。
「だ〜るまさんが〜…………」
俺が言い終わる前に、転んで脱落していた背後のヴァネッサから甘い声がした。
「待ってるのは飽きた! アタシの勝ちでいいさね!」
ルールを完全に無視したヴァネッサが背中から俺に飛びかかってきた。
それを合図に、泥だらけのテラや、寝ぼけたミミ、そして明後日の方向からイルマも飛び出してきた。
「私が出遅れるとは! このままでは終わらんぞ!」
全員が一斉に俺に群がってくる。
誰もルールを守らないカオスな状況に、完璧にゲームをこなしていたシャノンがぷくっと頬を膨らませた。
「みなさんずるいです! ルール通り、わたしが最後まで残ってたんですから、わたしが一番ですよ!」
シャノンは営業スマイルを捨て、一肆を独占したいという本能を爆発させ、集団へとダイブした。
「わたしも、一肆さんの温もりが欲しいんです!」
そこから先は、地獄という名の楽園だった。
背後からは、ヴァネッサのEカップが暴力的な柔らかさで俺の背中を圧迫し、蛊惑的な匂いが鼻を突く。
「坊や、捕まえたさね。もう逃がさないからね」
正面からは、泥だらけのテラがGカップの巨大な双丘を俺の胸に押し付け、大地の温もりと泥の匂いで俺を包み込む。
「一肆くん、オラ、ずっとこれがしたかっただ!」
右腕には、ミミがDカップの弾力を密着させ、猫の体温と甘い匂いで俺の腕をがっちりとホールドする。
「一肆、もう逃げないにゃ。一緒に寝るにゃ」
左腕には、イルマがAカップの洗練された柔らかさを添え、少し硬い銃床の感触と彼女の清潔な匂いで俺を支える。
「……あんたは、私が守る。絶対にだ」
そして、一番上からは、シャノンがBカップの親しみやすい柔らかさを俺の顔に押し当て、清潔な石鹸の匂いで俺を包み込む。
「一肆さん、一番はわたしですからね! もう、どこにも行かせません!」
俺は5人の個性豊かなおっぱいと、それぞれが放つ強烈な愛情の波に、あっという間に完全にもみくちゃにされた。
視界はシャノンのBカップで塞がれ、呼吸をするたびに5人の匂いが混ざり合った至高の香気が脳髄を直撃する。
体のあらゆる部位が、異なる弾力、温度、質感を持つおっぱいに密着され、その物理的な圧力と温もりが、限界まで張り詰めていた俺の神経を、トロトロと溶かしていく。
俺は青空を見上げながら、限界を超えた脳で独白を開始した。
脳内メモリ、バッファオーバーフローを検知。入力データの処理限界を超過。
5人のおっぱいの接触圧、温度分布、表面積、弾力係数、匂いの分子構造……。
すべてのデータが、理論値を遥かに上回る異常値を叩き出している。
理性の演算回路は強制停止。
しかし、これはエラーではない。
これは、最適解のその先。
幸福度の指数関数的上昇により、トラウマという名の負の変数は、完全にゼロへと棄却された。
生存確率百パーセント。
幸福度百パーセント。
これこそが、俺が求め続けていた、この世界の完全なる円満だ……
(これも、少しだけがんばった自分への、小さな勲章だな……)
理性の最後の一片が、その言葉と共に幸せな限界へと到達した。
俺は笑顔のままノックダウンし、5人のまあるいクッションと愛情の海に、完全に飲み込まれた。
まあるく、暖かく、そして至福に満ちた争奪戦は、こうして静かに、そして激しく幕を閉じた。











