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No.30 ヴァネッサ:Eカップがもたらす絶対勝利のドーパミン

失敗の確率分布がわずかでも存在する決断は、人間の精神を根こそぎ摩耗させていく。

前世の俺は、たった一度のミスで人生が瓦解するようなハイリスクな賭けを強いられ、0か1かの選択に脳内メモリのキャッシュクリア不良を起こしていた。


俺は今、底の見えない暗い奈落の上に架かった、一本の細く脆いクリスタルの橋の上に立たされていた。

橋の向こうには、巨大な古代遺物「運命の天秤」があり、一肆の運命を計ろうとする。天秤の皿は、鋭く角張ったクリスタルでできていた。

一歩でも足を踏み外せば、あるいは天秤の判定が傾けば終わり。


たった一度の失敗も許されなかった前世の重圧が、冷たい汗となって背筋を伝い、俺から一歩を踏み出す勇気を奪っていた。


あんな理不尽な賭けで、再び俺の未来がチップにされてたまるか。

俺は奈落の底から這い上がる絶望の声と共に、魂の呪文を叫んだ。


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー30!」


ぼよよぉんっ!


冷徹な静寂を色っぽく跳ね除け、次元の弾力境界が蛊惑的な音を立てて突破された。

現れたのは、真っ赤なルージュに蠱惑的な流し目を浮かべ、ゴージャスなバニースーツ風のドレスを纏った魔族、ヴァネッサだった。


挿絵(By みてみん)


彼女の胸元には、ドレスの布地を押し破らんばかりに主張する、Eカップの豊満な双丘が、暴力的なまでの柔らかさで鎮座している。


「坊や、ずいぶんと分の悪い賭けをさせられてるじゃないか。アタシがイカサマの仕方を教えてやろうか?」


「ヴァネッサ! 助けてくれ! 橋が、橋が崩れる!」


橋の向こうから、出た目がすべて鋭利な刃になっている魔物、レイザー・ダイスが高速で転がってきて、クリスタルの橋を切り裂こうとする。


一肆が助けを求めると、彼女は不敵に笑い、俺をふくよかな腕で抱き寄せた。

Eカップの胸が俺の顔に密着し、濃厚なルージュの香りが鼻を突く。


「助けてやるが、アタシを信じて命を賭けな。──さあ、オールインさね!」


ヴァネッサはダイスの攻撃を避けるどころか、俺を抱き寄せたまま、自ら足元のクリスタルの橋をヒールで粉砕した。


ガシャァァァン!!


足場を失った俺たちは、真っ逆さまに暗い奈落へと自由落下していく。


絶対に死ぬ。この女は狂っている。

死の恐怖に叫ぶ俺の頭上からは、さらに無数のレイザー・ダイスが刃の嵐となって追撃してくる。


回避不能、生存確率ゼロの絶体絶命のピンチ。

真っ逆さまに落ちながら、俺は覚悟を決めて魂のスキルを発動した。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の力が、ヴァネッサの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。


「今さね! ジャックポットといこうじゃないか!」


落下しながら百倍のエネルギーを受けたヴァネッサは、不敵に笑うと、追撃してくる刃のダイスの嵐を避けるどころか、百倍の暴力的な弾力を持ったEカップの深い谷間で直接受け止めた。


胸の暴力的なまでの柔らかさによる「ジャックポット・ルーレット」の反発力と摩擦が、ダイスの鋭利な刃をすべて一瞬で削り取り、無害で丸いルーレットの球へと変えてしまう。

球は彼女の胸から弾け飛び、奈落の底にあった巨大な魔法陣の「ジャックポット」の穴へと、寸分の狂いもなく吸い込まれていった。


戦闘は自由落下の中で終わった。

俺を殺そうとした失敗の重圧は、彼女の命懸けのイカサマによって、絶対的な勝利の鐘の音へと収まったのだ。


魔法陣が起動し、奈落は一瞬にして豪華絢爛なカジノへと変貌した。

落下していた俺たちは、ふかふかの赤い絨毯の上にしなやかに着地する。


ヴァネッサはへたり込む俺の体を、ふくよかなEカップの胸ですり寄せるように抱き寄せ、そのままルーレットのテーブルへと座らせた。


「アタシを信じた坊やの勝ちさ。ほら、大勝利の味を存分に楽しみな」


彼女が指を鳴らすと、ルーレットの球は再び「ジャックポット」の穴へと吸い込まれ、カジノ中に勝利のファンファーレが鳴り響く。

テーブルの上には、山のような金貨と最高級のシャンパンが用意され、彼女のEカップの胸が俺の腕に暴力的な柔らかさで密着する。


失敗の確率分布が彼女の命懸けのイカサマによって完全に排除され、成功の期待値だけが百パーセントに固定された、絶対的なドーパミン分泌空間。


体内に蓄積していた失敗への恐怖という無意味な毒素が、勝利の快感と彼女の胸の温もりによって、根こそぎ洗い流されていくのがわかる。


「ヴァネッサ……この快感、すげぇ気持ちいい……。もう、失敗することなんて、本当にどうでもよくなってきた……」


「ふふっ、素直で可愛い坊やだ。アタシが全部背負ってやるから、もっと甘えるといいさね」


ヴァネッサは俺の顔を胸の谷間に深く抱き込み、真っ赤なルージュの唇で俺の頬に勝利のキスを刻んだ。

精神のデトックス効果が限界を突破し、俺の意識は勝利の快感の中でトロトロととろけ出していく。

理不尽な重圧も、冷たいクリスタルの橋も、ここにはもう何一つ存在しない。


「やはり、世界は丸いほうがいい……」


魔族のカジノ元締めの命懸けのイカサマと、Eカップの絶対勝利のドーパミン空間に完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に至福の快感へと落ちていった。

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