No.28 ミミ:Dカップのぽかぽかお昼寝同盟
レム睡眠の強制中断という致命的なエラーは、人間の脳内メモリからパフォーマンスを根こそぎ奪い取っていく。
前世の俺は、常にこの睡眠不足という名のデバフをかけられ、数十分の仮眠すらアラーム音の恐怖に怯える限界状態のキャッシュクリア不良を起こしていた。
そして今、不毛な岩場で鼓膜を突き破るような爆音と落雷のような金属音に包まれながら、俺の生存確率は急速にゼロへと収束しようとしている。
頭上には、鋭利な角を振り乱し、殺人的なけたたましさを轟かせる魔物、トゲトゲ・アラームの群れ。
あんな心臓を削り取るような音で、再び俺の安眠が奪われてたまるか。
絶望的な睡魔と恐怖に抗いながら、俺は魂の呪文を叫んだ。
「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー28!」
ぼよよぉん!
次元の弾力境界を突破して現れたのは、三毛猫の耳と尻尾を生やした盗賊の猫獣人、ミミだった。
しかし彼女は、Dカップの豊かな双丘を無防備に放り出したまま、空中で丸くなって完全に爆睡していた。
状況を理解するどころか、彼女は目を閉じたまま落下し、俺の腕をがっちりと抱え込んで胸の間に俺の顔をうずめさせてくる。
「むにゃ……一肆、あったかいにゃ……」
「いや寝てる場合じゃない! 来るぞ!」
無数のトゲトゲ・アラームが合体し、巨大な刃と爆音の竜巻となって俺たちをミンチにしようと迫る。
だが、ミミは俺をDカップに密着させたまま、寝言を呟いてゴロゴロと地面を転がり始めた。
驚くべきことに、その盗賊としての天性の身のこなしは、睡眠状態でも完全に機能していたのだ。
俺を抱きしめて左右にゴロゴロと寝返りを打つだけで、彼女は竜巻から放たれる鋭利な刃をミリ単位で、しかも無意識にすべて回避していく。
顔をDカップの極上の柔らかさに埋められながら、俺は嵐の中で奇跡的なぽかぽか空間を味わっていた。
しかし、奇跡は長くは続かなかった。
回避しきれなかった一体のアラームが、ミミの猫耳のすぐそばで、鼓膜を破るような最大音量のベルを鳴らしたのだ。
ジリリリリリリリッ!!!
「…………っっっっっ!!!」
ミミの尻尾が、ボワッと極限まで膨れ上がった。
ゆっくりと見開かれたジト目は、強烈な殺意と怒りに満ちていた。
「うるさいにゃ……せっかく一肆と寝てたのに……絶対に許さないにゃ!!」
お昼寝を邪魔された猫獣人の大激怒。
俺は彼女の怒りに呼応するように、すかさず魂のスキルを発動した。
「万物円満!」
俺の『π=314』の力が、ミミの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。
百倍の極上の弾力を持ったDカップへと変貌したミミは、竜巻を避けるのをやめ、自らその中心へとダイブした。
怒り狂う彼女の放つ「むにゃむにゃ毛糸玉」の圧倒的な柔らかさが、殺人的な騒音と鋭い刃を物理的にすべて吸収していく。
巨大な竜巻ごと、無数の時計たちは音の出ないフワフワの特大毛糸玉へと完全に押し潰されてしまった。
戦闘の余波が収まると、騒音は嘘のように消え去り、そこはぽかぽかの太陽が照らす縁側のような空間に変わっていた。
ミミはまだ少し怒ったようにフンスと鼻を鳴らすと、俺のポケットから「仕事の予定」という概念を盗賊のスキルでスリ取り、ポイッと遠くへ投げ捨てた。
「予定は全部捨てたから、これで静かに寝られるにゃ。ほら、一緒にひなたぼっこするにゃ」
そう言って、ミミは再び俺を抱き込み、Dカップの温かい双丘を密着させてくる。
猫獣人の体温と絶妙な柔らかさが、限界まで張り詰めていた俺の神経を急速に解きほぐしていく。
「ミミの胸、すげぇ柔らかくて温かい……もう、起きる時間なんてどうでもいいな……」
「すー……すー……一肆も、早く寝るにゃ……」
俺は平和な眠りへと落ちながら、ようやく完全な安息を手に入れたことを静かに噛み締めていた。
「やはり、世界は丸いほうがいい……」
猫獣人の寝相の悪さと、Dカップがもたらすぽかぽかのお昼寝同盟に完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に平和な眠りへと落ちていった。











