第4回 争奪戦:まあるい「あっち向いてホイ」
(一肆、毎日お疲れ様。よしよし、えらい子ですね。たまにはゆっくりおやすみなさい............................)
そろそろ来る頃だと思っていたぞ。ご褒美タイムの合図だ。脳内で響く女神様の声に、俺はもはや確信を覚えていた。そのどこまでも心地よい声に身も心も委ね、俺の意識は遠のいていく……。
気がつくと俺は、異空間にあるロッジの、太陽の光が降り注ぐまあるくて広大なウッドデッキのふかふかラグの上に座っていた。
目の前にいるのは、コハク、ロッテ、モカ、エララ、ツバキ。
俺の心をまあるく溶かしてくれた恩人たちだが、今回は妖狐、錬金術師、サキュバス、天使、くノ一という、前世の常識では絶対に交わらないカオスな顔ぶれだ。
なぜか全員で車座になり、誰が俺の指の動きに一番抗えるか、つまり一番長く俺を見つめていられるかという名目で、俺を親とした「あっち向いてホイ」の耐久戦が始まった。
「じゃん、けん、ぽんっ! あっち向いて……ホイ!」
俺が指を右へ勢いよく突き出す。
しかし、5人は誰も指の方向を見ない。
「ふふっ、主様の指の動きなど、わらわにはお見通しじゃ」
コハクは煙管をふかしながら飄々と笑い、はだけた和装の下で意味をなさない緩んだ晒とともに豊潤なDカップをたわわに揺らす。
「主殿の筋肉の挙動、ミリ単位で把握しておりますゆえ。拙者の目は誤魔化せませぬぞ」
ツバキは忍の動体視力で俺の指先をガン見しながら首を固定し、きつく締め付けられたCカップの隠し武器をパツンと張らせた。
「わたくしは、一肆様の尊きお瞳から一秒たりとも目を離したくありませんわ……」
エララは祈るように俺の顔だけを見つめ、修道服の下で清らかなBカップを小さく弾ませている。
「右腕の三角筋の収縮からベクトルを予測するのは容易いことだね。ほら、ハズレじゃないか」
ロッテは負けず嫌いを発揮して首を激しく左へ振り、白衣の奥の無防備なEカップに危険な遠心力を発生させていた。
「あははっ! 一肆、動きがマジ読めすぎっしょ! もっとテンション上げてこー!」
モカはギャル特有のノリで首をブンブンと振り、重力に逆らうFカップをキャミソールごと弾け飛ばさんばかりに上下に跳ねさせた。
「くっ、誰も引っかからない……! じゃあ次は連続でいくぞ! あっち向いて……ホイ! ホイ! ホイ!」
俺は負けじと右、左、下へと連続で指を突き出す。
指を躱すため、5人が一斉に首を激しく振るたびに、彼女たちの最大の武器である双丘が凄まじい慣性の法則に従って大きく揺さぶられる。
「ちょっとモカ、君の規格外の質量が僕の腕に当たって計算が狂うじゃないか!」
「ロッテだって胸のボタン飛んできそうじゃん! アタシのせいにするなっしょ!」
「二人とも、主殿の御前で騒がしいでござる。……むっ、コハク殿の煙管が拙者の胸に……」
「よいではないか。ツバキの胸も、なかなか良い張りをしておるのう」
「ああっ、一肆様の御前で争ってはなりませんわ! みなさん、どうか心安らかに……きゃっ!」
何度も繰り返される「あっち向いてホイ」。
白熱する耐久戦の中で、ぷるん、ばいん、むぎゅっ、という布地と極上の弾力が擦れ合う音が、ウッドデッキに絶え間なく響き渡る。
同時に、コハクの甘い煙管の匂い、ロッテの清潔な薬品の香り、モカのスパイシーで甘い香水、エララの白百合のような神聖な香り、ツバキの森の夜露の匂いが混ざり合い、俺の鼻腔を激しく刺激した。
ただ首を振っているだけなのに、目の前でD、E、F、B、Cカップの多種多様な質量がわちゃわちゃと乱舞する光景に、俺はすでに目が回り、思考がとろとろに溶け始めていた。
「よし、次で決める……! あっち向いてぇ…………」
──ホイッ!!
俺は大げさなタメをつくった上で、ヤケクソ気味に指を真上、つまり天空へと勢いよく突き出した。
「天の神様……!?」
「えっ、空になんか飛んでるっしょ!?」
「上空からの刺客でござるか!?」
「上向きの放物線軌道……!」
「なんじゃ、空でも見ろと?」
天の神様に反応したエララ、空飛ぶ鳥に反応したモカ、上空からの刺客を警戒したツバキ、放物線の軌道計算を始めたロッテ、そして単なる気まぐれのコハク。
俺の必死の駆け引きはそっちのけで、それぞれの思惑が完全に一致し、5人全員が一斉に真上へと激しく首を向け、体を大きく反らせたのだ。
その瞬間、極限まで揺さぶられていた彼女たちの衣装が、一斉に物理的な限界を迎えた。
パンッ!という破裂音と共に、ロッテの白衣のボタンがちぎれ飛び、モカのキャミソールの肩紐が滑り落ちる。
コハクの着物の襟が両肩まで完全にはだけて晒がほどけ、ツバキの忍装束の胸元の糸が限界を超えて弾け、エララの修道服が胸の反らしによって極限まで引き伸ばされた。
「ああっ!?」
「きゃあっ!」
「なっ……!?」
5つのまあるい暴力が一斉に封印を解かれ、バランスを崩した5人が俺の上へと雪崩れ込んでくる。
「ちょっとモカ、僕の上に……んあっ」
「ごめんって! 一肆、大丈夫っしょ!?」
「ああっ、一肆様がお潰れになってしまいますわ……っ」
ドサッ、という柔らかで重たい音と共に、俺の体は完全に5人の極上の質量の下敷きとなった。
顔面にはコハクのはだけた胸元からこぼれ落ちた豊潤なDカップが押し当てられ、甘い煙管の香りと共に視界と呼吸を完全に塞がれる。
右腕はボタンの飛んだ白衣の奥、ロッテの無防備で暴力的なEカップに深く沈み込み、左腕はモカのキャミソールから放たれたFカップの爆乳にむぎゅっと強く挟み込まれた。
胸板にはエララの清らかなBカップの温もりが密着して高鳴る鼓動を伝え、頬には装束の弾けたツバキのCカップが極上の隠し武器としてぷるんと押し付けられている。
五人分の甘い吐息、弾け飛んだ布地の隙間から直に伝わる素肌の熱、そしてむせ返るような五種類の芳醇な香り。
四方八方を極上の柔らかさに完全にホールドされ、身動き一つとれない究極の天国がそこには構築されていた。
あまりの多幸感と処理しきれない触覚情報の濁流に埋もれながら、俺は限界を超えた統計データアナリストの脳で独白した。
5つの独立変数が完全に同期して上方へベクトルを向けた瞬間、被服の耐久限界という閾値を一斉に突破する確率現象が発生した……!
この極端な外れ値の同時多発により、俺の理性が保たれるという帰無仮説は有意水準0.001%未満で完全に棄却された……!
(……あぁ、この空の見えない檻の中で引きこもりたい)
限界を超えた視覚と嗅覚の暴力、そして弾け飛ぶ衣服の音と極上の柔らかさに完全に自我を溶かされ、俺はだらしない笑顔を浮かべて、5人の下敷きになったまま静かにノックダウンしていた。











