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No.20 ツバキ:隠し武器のCカップ

「どうかこのまま、わたくしの祈りの中で、すべての重荷を下ろしてしまってくださいませ。またいつでもお呼びくださいね……」


エララの絶対赦免の儀式で完全に癒やされた俺は、彼女が光の粒子となって消える前の、そんな狂信的で清らかな別れの言葉の余韻に浸りながら、鬱蒼と木々が茂る深い森へと足を踏み入れた。


しかし、静寂に包まれたその森は、理のバグによって引き起こされた、目に見えない陰湿な殺意に満ちていた。

インビジブル・ワイヤー。

木々の間や足元に、光を反射しない極細で鋭利な鋼線が無数に張り巡らされ、少しでも動けば肉体を鋭く切り裂こうと待ち構えていたのだ。

俺の脳内のデータ分析プロセスが、一歩踏み出すだけで致命傷になりかねない、見えない罠の恐怖を警告する。


前世で俺を精神的に追い詰めた、職場の複雑な派閥争いや、誰が味方か分からないまま常に地雷を踏むことに怯え続けた、息の詰まるトラウマそのものだった。

あんな見えない鋭利な罠に、俺の歩みを再び縛られ、切り刻まれてたまるか。

俺は空間を埋め尽くす見えない鋼線に向かって、魂の呪文を叫んだ。


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー20!」


ぼよよぉん!


森の張り詰めた空気を震わせ、次元の弾力境界が突破される音が響いた。

木の葉が舞う中、音もなく俺の背後に降り立ったのは、黒い忍装束に身を包み、口元を布で隠したポニーテールのくノ一だった。

動きやすさを重視してきつく締め付けられた装束の奥には、解放の時を待ちわびる、素晴らしい弾力を誇るふくらみが隠されている。


挿絵(By みてみん)


Cカップ。

俺の脳内データが瞬時に弾き出す。

普段は息を潜めているが、主を癒やすためだけにその威力を発揮する、極上の隠し武器たる双丘だ。


「お呼びでござるな。ナンバー20、絶対の影ツバキ。あのような姑息で鋭利な罠、拙者がすべてまあるく絡め取ってご覧に入れよう」


ツバキは感情を押し殺した声で自ら名乗りを上げ、見えない鋼線が張り巡らされた空間の前に音もなく進み出た。

前後左右、どこに鋭角な罠が潜んでいるか分からない中、俺はすかさずスキルを発動する。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の力が、ツバキの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。


「真円流忍術、絶技・絡繰り毛糸玉」


ツバキが印を結ぶと、百倍に増幅された丸くて柔らかいエネルギーが空間全体に放たれた。

その力に触れた見えない鋭利な鋼線は、カチカチという音と共に強制的にその性質を書き換えられ、次々と太くて柔らかい、赤い毛糸玉へと変換されていく。

戦闘は一瞬で、そして忍の技によってふかふかに丸く収まったのだ。


「見えないトゲトゲは、すべてまあるい毛糸となりました。さあ主殿、あのような陰湿な罠に囲まれ、さぞお心がすり減ったことでござろう。もう、何もなさらなくてよいのでござる」


ツバキは大量に生み出された太くて柔らかい赤い毛糸を両手に取ると、目にも留まらぬ速さで俺の体にそれを巻きつけ始めた。


怠惰の繭。

それはただの拘束ではない、温かく極上の弾力を持つ毛糸で対象を首から下まですっぽりと包み込んで身動きをとれなくした上で、Cカップの隠し武器を密着させながら、あらゆる世話を徹底的に焼いて堕落させる特技だ。


「あの見えない鋼線を見たら……前世の職場で、見えない派閥争いや誰かの罠に怯えながら、ずっと息を潜めていた記憶が蘇ってきて、動けなくなりそうだったんだ」


俺がふかふかの赤い繭の中で首だけを動かして愚痴をこぼすと、ツバキの涼しげな瞳に、明らかなどす黒い殺意が宿った。


「……何と痛ましい。主殿をそのように追い詰めた不届き者ども、今すぐこのツバキが元の世界へ赴き、一人残らず暗殺して参りましょう。首を落とすか、毒を盛るか、主殿のお望みのままに」


ツバキが本気でクナイの柄に手をかけたので、俺は慌てて「もう終わったことだから!」と彼女を止めた。

俺が必死に止めると、彼女は少し不満そうに目を伏せたが、その過剰すぎる防衛本能と俺への重すぎる忠誠心が、かえって俺の心をひどく冷静に、そして温かくしてくれた。


「主殿がお止めになるなら、刃は収めましょう。……ですが、主殿はもう何も考えず、何も警戒せず、ただ拙者にすべてを委ねてくだされ」


ツバキは俺を包む毛糸の繭の上に覆いかぶさるように身を乗り出すと、忍装束の胸元を少しだけ緩めた。

封印から解き放たれたCカップの双丘が、拘束されて身動きの取れない俺の顔面に、極上の弾力をもって密着してくる。


「ツバキの胸……すごく柔らかくて、いい匂いがする。それに、この毛糸の繭に入っていると、外の世界の危険から完全に守られているみたいだ」


「左様でござる。主殿はもう、己で歩く必要すらありませぬ。喉が渇いたなら、こうして……」


ツバキは口元の布をずらすと、自らの口に含んだまろやかな清水を、俺の唇を塞ぐようにしてゆっくりと口移しで飲ませてきた。

Cカップの柔らかな重みで顔を挟まれ、毛糸の繭で全身を温かく保護されながら、究極の過保護による水分補給を受ける。

前世で常に張り詰めていた警戒心も、誰にも甘えられなかった孤独も、彼女の「すべてを奪い去るような徹底的な世話」の前に、抗う術もなく溶かされていった。


「んっ……ツバキ、こんなことまでされたら、俺、本当に何もできなくなっちゃうよ……」


「それでよいのでござる。主殿は拙者の腕の中で、ただフニャフニャのまあるい赤子のように堕落してくだされ……」


「やはり、世界は丸いほうがいい……」


感情を隠しきれないくノ一が与えてくれる絶対的な安全地帯と、隠し武器たるCカップの究極の怠惰に完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に平和を噛み締めていた。

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