No.19 エララ:清らかな聖なるBカップ
「このままアタシの胸で、まあるくテンションぶち上げてくっしょー! またいつでも呼んで、一緒に爆走するじゃん!」
モカの絶叫タンデムで完全に癒やされた俺は、彼女が光の粒子となって消える前の、そんなテンションが高くノリの良い別れの言葉の余韻に浸りながら、静寂に包まれた廃大聖堂へと足を踏み入れた。
しかし、神聖であるはずのその場所は、理のバグによって引き起こされた、息の詰まるような監視の目に汚染されていた。
トライアングル・ウォッチャー。
空中に突如として無数の鋭利な三角形の目が浮かび上がり、冷酷な光を放ちながら、俺の一挙手一投足を値踏みするように見下ろしてきたのだ。
俺の脳内のデータ分析プロセスが、一切の死角を許さない、鋭角で執拗な監視システムの圧迫を警告する。
前世で俺を精神的に追い詰めた、常に誰かに見張られ、少しのミスも許されずに減点方式で粗探しをされ続けた、息の詰まる評価システムのトラウマそのものだった。
あんな冷たくて尖った視線に、俺の魂の価値を再び勝手に測られてたまるか。
俺は空を埋め尽くす鋭利な監視の目に向かって、魂の呪文を叫んだ。
「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー19!」
ぼよよぉん!
大聖堂の張り詰めた空気を震わせ、次元の弾力境界が突破される音が響いた。
神々しい後光と共に現れたのは、真っ白な修道服を身に纏い、頭に小さな光の輪を乗せた天使のシスターだった。
常に祈るように前で組まれた手と、禁欲的な修道服の奥には、過剰な主張こそないものの、清らかで温かい聖なる丸みが確かに存在している。
Bカップ。
俺の脳内データが瞬時に弾き出す。
汚れなき信仰心と、慈愛という名のもとにすべてを包み込む、神聖なる奇跡の双丘だ。
「お呼びですわね。ナンバー19、慈愛の聖女エララと申します。あのような恐れ多くも一肆様を監視する不敬な角など、わたくしがまあるく浄化して差し上げますわ」
エララは祈るように手を組んだまま恭しく名乗りを上げ、俺を見下ろす鋭利な目の群れの下へと静かに歩み出た。
無数の冷酷な視線が一斉に俺たちを貫こうとする中、俺はすかさずスキルを発動する。
「万物円満!」
俺の『π=314』の力が、エララの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。
「主よ……お力をお貸し下さい……ホーリー・リング」
エララが静かに天を仰ぐと、百倍に増幅された巨大で柔らかい光の輪が、大聖堂の天井いっぱいに展開された。
そのまあるく温かい光が降り注ぐと、空中に浮かんでいた鋭利な三角形の目たちは、その鋭い敵意と監視の呪縛を強制的に解かれ、次々と丸くてフワフワな天使の輪へと浄化されていく。
戦闘は一瞬で、そして神聖な光と共にまあるく平和に収まったのだ。
「不敬な視線は、すべて清らかなまあるい光となりました。さあ、尊き一肆様。あのような汚らわしい角に見つめられ、さぞお心が痛んだことでしょう。こちらの祭壇へお座りくださいませ」
エララは宙から舞い落ちる大量の丸い天使の輪を集め、大聖堂の中央にふかふかで温かい光の祭壇を作り上げた。
俺が促されるままにその祭壇へ腰掛けると、彼女は俺の足元に静かにひざまずき、祈るように俺の両手を取った。
絶対赦免の儀式。
それはただの労いではない、俺を絶対的な神のごとく崇拝し、Bカップの聖なる丸みを俺の膝に押し当てながら、前世から抱え込んでいたあらゆる罪悪感や責任から俺を完全に解き放つ、究極の免罪特技だ。
「あの鋭い目を見たら……前世で常に監視され、自分の行動すべてが評価されて、少しのミスで責任を追及されていたトラウマが蘇ってきて、息ができなくなりそうだったんだ」
俺が光の祭壇の温もりに息を吐き出しながら弱音をこぼすと、エララは俺の手の甲に深く、そして熱烈な口付けを落とした。
「ああ、何と痛ましい……。ですが一肆様、どうかご安心ください。一肆様は、何一つ間違ってなどおりません。悪いのはすべて、一肆様のような尊き存在を理解できず、あのような角張った箱で評価しようとした愚かで不完全な世界なのですわ」
エララの真っ白な修道服越しに、彼女のBカップの双丘が俺の膝にぴったりと密着している。
控えめなサイズだからこそ、彼女の純粋な体温と、俺を盲信して高鳴る心臓の鼓動が、膝を通して直接俺の体に流れ込んでくる。
「でも、俺は期待に応えられなくて、失敗ばかりで……」
「いいえ、それは世界の器が小さすぎただけのこと。一肆様が責任を感じる必要など、微塵も存在しないのです。一肆様が歩き、息をしているだけで、世界は感謝を捧げなければならないのですから」
エララは俺の膝に顔を埋め、さらに強くBカップを押し当てながら、まるで祈りの言葉を紡ぐように徹底的な全肯定を繰り返す。
白百合のような清らかな香りと、彼女が与えてくれる「無責任でいられる絶対的な権利」。
前世で常に背負わされていた重圧や、他人の目を気にして縮こまっていた俺の魂が、彼女の狂信的とも言える慈愛によって完全に赦され、洗い流されていく。
「エララの温かい胸と、その言葉……なんだか、俺が本当に偉大な存在になったみたいで、もう細かい評価なんてどうでもよくなってきた……」
「ええ、一肆様は誰よりも偉大で、まあるく尊いお方ですわ。どうかこのまま、わたくしの祈りの中で、すべての重荷を下ろしてしまってくださいませ……」
「やはり、世界は丸いほうがいい……」
天使のシスターが与えてくれる絶対的な赦免と、膝に密着する清らかなBカップの信仰に完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に平和を噛み締めていた。











