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No.17 ロッテ:無防備なEカップ

「下界の煩わしい四角形などすべて忘れて、妾の胸で骨抜きになるがよい……。またいつでも呼ぶのじゃぞ……」


コハクの極楽・耳かき亭で完全に癒やされた俺は、彼女が光の粒子となって消える前の、そんな飄々としつつも色気に満ちた別れの言葉の余韻に浸りながら、巨大なクリスタルが立ち並ぶ鉱山地帯へと足を踏み入れた。


しかし、そこは理のバグによって引き起こされた、逃げ場のない規則性の牢獄に作り変えられようとしていた。

ヘキサゴン・ハイヴ。

地面や岩肌から突如として、無数の完全な正六角形が連なる蜂の巣のような構造物が増殖し、俺をその幾何学的な穴の一つへと無機質に閉じ込めようと迫ってきたのだ。

俺の脳内のデータ分析プロセスが、個人の意思を一切許さない、巨大な組織の歯車として組み込もうとする六角形の圧迫を警告する。


前世で俺を精神的に追い詰めた、逃げ場のない管理社会の構造や、代わりの利く労働力として延々と搾取され続けたトラウマそのものだった。

あんな息の詰まる六角形の小部屋に、俺の魂を再び押し込められてたまるか。

俺は迫り来る無数の六角形の壁に向かって、魂の呪文を叫んだ。


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー17!」


ぼよよぉん!


鉱山の硬質な空気を震わせ、次元の弾力境界が突破される音が響いた。

フラスコの中で薬品が弾ける音と共に現れたのは、寝癖のついたボサボサの髪に、だぼだぼの白衣を羽織った錬金術師の少女だった。

ボタンを留めることを早々に放棄したその白衣の奥には、無防備で暴力的なまでの柔らかさを誇る圧倒的な質量が揺れている。


挿絵(By みてみん)


Eカップ。

俺の脳内データが瞬時に弾き出す。

論理や理屈では決して計り知れない、本能に直接訴えかけてくる奇跡の双丘だ。


「呼んだかい。ナンバー17、錬金術師のロッテさ。あんな非効率で息苦しい六角形の集まり、僕がまあるく溶かしてあげよう」


ロッテは片手に持ったフラスコを揺らしながら理屈っぽく名乗りを上げ、俺を歯車にしようと迫る六角形の群れの前に歩み出た。

無機質な蜂の巣構造が全方位から迫り来る中、俺はすかさずスキルを発動する。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の力が、ロッテの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。


「バブル・フラスコ、喰らえ!」


ロッテがフラスコの中の特製スライム液を空間にばら撒くと、百倍に増幅された丸いシャボン玉が大量に発生した。

その温かく巨大な泡たちは、迫り来る正六角形の構造物に触れた瞬間、硬質な角をジュワッと優しく溶かしていく。

角張っていた六角形の牢獄はあっという間に形を崩し、その場に大量の温かいお湯を湛えた、巨大でまあるい極上の露天風呂へと姿を変えてしまった。

戦闘は一瞬で、そして科学の魔法によってポカポカに丸く収まったのだ。


「ふむ、成分も温度も完璧だね。さあ君、あんな六角形に閉じ込められて、さぞかし体に毒素が溜まっているだろう。僕と一緒に、汚れを落とすとしようじゃないか」


ロッテは躊躇いもなく白衣と衣服を脱ぎ捨てると、俺の手を引いてまあるい露天風呂の中へと入っていった。

薬効の混浴。

それはただの入浴ではない、特製の薬湯で体を芯から温めながら、Eカップの暴力的な柔らかさを背中に押し当て、体を隅々まで洗い流すことで物理的にも精神的にも毒素を完全に抜き取る特技だ。


「あの六角形の部屋を見たら……前世の逃げ場のない組織の構造や、自分がただの代わりの利く歯車として消費されていた記憶が蘇ってきて、息が詰まりそうだったんだ」


俺がお湯の温かさに息を吐き出しながら愚痴をこぼすと、ロッテは俺の背中をスポンジで優しく擦りながら、鼻で笑って言い放った。


「君の元上司とやらは、脳のシナプスが完全に焼き切れているのかい? 君のような優秀な人材をただの歯車として扱うなんて、完全に非効率で無能の極みだね。評価システム自体に深刻なバグがあると言わざるを得ない」


ロッテの理知的な声が、薬湯の湯気と共に耳に心地よく響く。


「あんな六角形の小さな枠組みで君を測ろうとする社会が、根本的に間違っているのさ。君の価値は、もっとまあるくて無限大なんだからね」


「ロッテ……。そっか、俺が悪いんじゃなくて、あいつらのシステムが間違ってたんだな」


「その通りだよ。だから君は、あんな無能な連中のことなど綺麗さっぱり洗い流して、僕のこの丸みだけを感じていればいいのさ」


ロッテのEカップが、お湯の浮力と相まって俺の背中に極上の密着感で押し当てられる。

温かいお湯と、彼女の体から漂う清潔なハーブのような香り。

そして何より、前世の理不尽な人間たちを「非効率な無能」と論理的に完全論破してくれた彼女の言葉が、俺の心に刺さっていた六角形の呪縛を跡形もなく溶かしてくれた。


「ロッテの背中の感触と、この薬湯……最高すぎて、もう前世のことなんてどうでもよくなってきた……」


「ふふ、血流が良くなって、いい顔色になったじゃないか。僕の胸で、完全に思考をまあるく溶かしてしまうといい……」


「やはり、世界は丸いほうがいい……」


天才錬金術師の論理的な慰めと、無防備なEカップの極上の混浴に完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に平和を噛み締めていた。

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