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No.16 コハク:豊潤なDカップ

昨日笑いすぎたせいか、未だに俺の表情筋は引きつっている……

「にらめっこ」日本人なら子供の頃に誰しもが一度はやったことがあるだろう遊びが、あんなにも最高なものだったとは。


おかげで俺の神経の興奮を抑えるブレーキは壊れ、一睡もできていない。だがそんな事は、あの最高にまあるい時間の代償としては、左右違った靴下を履いて出勤してしまった事くらい些細なことだった。

そんな余韻に浸りながら、俺は開けた平野へと足を踏み入れた。


しかし、そこは理のバグによって引き起こされた、息の詰まるような規則性の暴力に支配されようとしていた。

キューブ・ラビリンス。

地面から突如として、無数の巨大な四角柱や立方体が規則正しく突き出し、俺を幾何学的な四角い箱の中へと閉じ込めようと迫ってきたのだ。

俺の脳内のデータ分析プロセスが、一切の遊びやゆとりを許さない、四角四面で硬質な空間の圧迫を警告する。

前世で俺を精神的に追い詰めた、無機質なオフィスのパーティションや、一ミリのルールの逸脱も許さない息の詰まる管理社会のトラウマそのものだった。

あんな硬くて四角い箱の中に、俺の自由と心を再び閉じ込められてたまるか。

俺は迫り来る無数の四角い壁に向かって、魂の呪文を叫んだ。


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー16!」


ぼよよぉん!


平野の硬直した空気を震わせ、次元の弾力境界が突破される音が響いた。

紫色の煙管の煙と共に現れたのは、金色の九尾を優雅に揺らす、はだけた和装の妖狐だった。

だらしなく着崩した襟元からは、豊潤で張りのある魅惑的なふくらみが、今にもこぼれ落ちそうに揺れている。


挿絵(By みてみん)


Dカップ。

俺の脳内データが瞬時に弾き出す。

大きすぎず小さすぎない、極上の安心感と色気を併せ持つ、奇跡の和の双丘だ。


「お呼びじゃな? ナンバー16、湯守のコハクじゃ。あんな息の詰まる四角い箱など、わらわがまあるくこね上げてやろう」


コハクは煙管をふかして飄々と名乗りを上げ、俺を四角く囲い込もうとする立方体の群れの前に歩み出た。

無機質な壁が前後左右から迫り来る中、俺はすかさずスキルを発動する。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の力が、コハクの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。


「そおれっ、狐火の餅つきじゃ」


コハクが指を鳴らすと、地面から巨大で丸い臼が出現した。

百倍に増幅された妖狐の力は、迫り来る巨大な四角柱を次々と宙に浮かせ、容赦なくその臼の中へと放り込んでいく。

そして彼女が青白い狐火をまとった巨大な杵を振り下ろすと、硬質だった立方体は熱と衝撃でドロドロに溶け、あっという間に巨大で柔らかい、まんまるの三色団子へとつき上がってしまった。

戦闘は一瞬で、そして妖しい炎と共にふんわりと丸く収まったのだ。


「ふふ、見事な真ん丸じゃ。さあ主様、あんな四角い壁に囲まれて、さぞ肩が凝ったじゃろう。妾の膝で、極楽を味わうがよい」


コハクは出来上がった巨大な丸い三色団子の一つに腰掛けると、自らの太ももをポンポンと叩いた。

俺が促されるままに頭を乗せると、彼女ははだけた着物の胸元を惜しげもなく俺の顔面に押し当てながら、細い竹の耳かきを取り出した。


極楽・耳かき亭。

それはただの膝枕ではない、Dカップの豊潤な弾力で視界を幸福に塞ぎながら、熟練の耳かきで脳の奥底の疲労を削り取り、さらに甘い団子を口に運んで五感を完全に支配する究極の甘やかし特技だ。


「あの四角い壁を見たら……前世の狭いオフィスや、絶対に逆らえない窮屈なルールの箱に閉じ込められていた記憶が蘇ってきて、息ができなかったんだ」


俺が和装越しに伝わるDカップの心地よい重みを感じながら愚痴をこぼすと、コハクはカラカラと楽しそうに笑い声を上げた。


「ニンゲンというのは本当に愚かで滑稽じゃのう。こんなに広くて美しい世界があるというのに、わざわざ自らを狭くて四角い箱に閉じ込め、他者までその小さな型にはめようとするとは」


コハクの冷たい指先が俺の耳たぶを優しく揉みほぐし、心地よい耳かきの刺激が脳の芯を甘く痺れさせていく。


「主様の元にいた人間たちは、自分の器が小さいから、主様を四角い箱に閉じ込めて安心したかっただけじゃ。そんな小者たちの作ったルールなど、主様が真に受ける必要は微塵もないのじゃよ」


「コハク……。そっか、あいつら、ただの器の小さい奴らだったんだな……」


「左様。主様は、このまあるい団子のように、どこまでも自由で柔らかく生きればよいのじゃ。ほれ、あーん」


コハクのDカップが俺の頬を優しく包み込む中、彼女の指がつまんだ甘くて柔らかい三色団子が、俺の口へと運ばれてくる。

口いっぱいに広がる優しい甘さと、耳の奥で響く心地よいカリカリという音。

そして、前世のトラウマを「愚かな小者の所業」と一蹴し、鼻で笑い飛ばしてくれた彼女の飄々とした態度が、俺の心にこびりついていた四角い重圧を完全に吹き飛ばしてくれた。


「コハクの膝と、この耳かき……それに、胸の感触が最高すぎて、もうどうでもよくなってきた……」


「ふふっ、良い顔になったのう。下界の煩わしい四角形などすべて忘れて、わらわの胸で骨抜きになるがよい……」


「やはり、世界は丸いほうがいい……」


妖狐のからかいと極上の奉仕、そしてDカップの豊潤な和の弾力に完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に平和を噛み締めていた。

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