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No.14 リル:木の実のAAカップ

「アタシがずっと、まあるく酔わせてやるからな……。またいつでも呼べよ!」


スズの鬼の晩酌と背中踏みで完全に癒やされた俺は、彼女が光の粒子となって消える前の、そんな豪快で面倒見の良い別れの言葉の余韻に浸りながら、美しく幻想的な妖精の森へと足を踏み入れた。


しかし、一見平和に見えるその森は、理のバグによって引き起こされた、一切の自由を奪う直線的な管理社会の縮図と化していた。

レーザー・グリッド。

木々の間を縫うように、少しでも触れれば肉体を鋭く切断する直線的で鋭利な光の網目が無数に張り巡らされ、俺の歩みを完全に封じ込めてきたのだ。

俺の脳内のデータ分析プロセスが、一歩も身動きが取れない息苦しい鋭角な包囲網を警告する。


前世で俺を精神的に追い詰めた、がんじがらめの社則や、一ミリの逸脱も許されない息の詰まる管理社会のトラウマそのものだった。

あんな冷酷で直線的なルールに、俺の自由を再び切り刻まれてたまるか。

俺は空間を埋め尽くす鋭利な光の網目に向かって、魂の呪文を叫んだ。


「出でよっ、ぱいぱいっ! ナンバー14!」


ぼよよぉん!


森の淀んだ空気を震わせ、次元の弾力境界が突破される音が響いた。

キラキラとした光の粉と共に現れたのは、半透明の羽を羽ばたかせ、葉っぱや花びらで作られた面積の少ないドレスを着た、手のひらサイズの妖精だった。

背丈は小さいが、腰に手を当ててふんぞり返る態度はひどく大きい。

そしてその小さな胸元には、手のひらサイズの体躯にふさわしい、木の実のように小さくてささやかな愛らしい丸みが実っていた。


挿絵(By みてみん)


AAカップ。

俺の脳内データが瞬時に弾き出す。

圧倒的な質量こそないものの、無垢で純粋な愛情がぎゅっと詰まった、守ってあげたくなるような奇跡の双丘だ。


「お呼びなのっ! ナンバー14、森の案内人リルなのっ! あんな直線ばっかりで窮屈な糸、リルがぜーんぶまあるくしてあげるっ!」


リルは元気いっぱいに自ら名乗りを上げ、空を舞いながら鋭利なレーザーの網目の前に飛び出した。

少しの自由も奪う鋭角な光の線が迫り来る中、俺はすかさずスキルを発動する。


万物円満オール・ラウンド!」


俺の『π=314』の力が、リルの丸いエネルギーを百倍に増幅させる。


「いっくぞーっ!フェアリー・ダスト・ドーム!」


リルが半透明の羽を力強く羽ばたかせると、彼女の小さなAAカップから百倍に増幅された、キラキラと光る丸い鱗粉のドームが森全体に展開された。

まあるい光の粉は、空間を漂う鋭利なレーザーたちを一つ残らず優しく包み込んでいく。

切断する直線だった光の網目は、鱗粉の魔法によって強制的に曲げられ、すべてが太くて柔らかい、まあるいトランポリンの網へと姿を変えた。

戦闘は一瞬で、そして妖精の魔法によってぽよんぽよんと丸く弾んで収まったのだ。


「えへへ、痛い直線はみーんな楽しいまあるい網になったのっ! さあ一肆、あんな窮屈な網に囲まれて、大人のふりをして疲れちゃったでしょ! リルと一緒に遊ぶのっ!」


リルは魔法のステッキを俺に向かって振った。

すると俺の体はあっという間に手のひらサイズへと縮んでしまった。


妖精の着せ替えトランポリン。

それはただの魔法ではない、対象を自分と同じ極小サイズに縮ませてトランポリンで弾んで遊んだ後、疲れた体をAAカップの小さな谷間に引き寄せ、窮屈な服を柔らかい花びらの服へと着せ替えて完全な子供のおもちゃとして甘やかす特技だ。

リルは俺の手を引いて、巨大な丸い網目の上へと飛び乗った。

ぽよんっ、ぽよんっと、底抜けに明るい反発力が俺たちの体を宙へと押し上げる。


「あの鋭い直線の網目を見たら……前世のがんじがらめの社則や、一歩でもルールから外れたら切り捨てられる息苦しい毎日を思い出して、動けなくなりそうだったんだ」


俺が跳ねながら弱音を吐くと、リルは空中でくるりと宙返りをし、ケラケラと無邪気に笑い飛ばした。


「ルールなんて、大人が自分たちに都合よく作った、ただのイジワルなのっ! そんなの守らなくていいでしょ!」


リルの言葉は、前世の俺を縛り付けていた常識を根底からひっくり返していく。


「一肆はもう、大人のふりなんてしなくていいのっ! 責任とかルールとか、そんな四角くてつまらないものは全部ぽいっして、リルとここで遊んでればいいのっ!」


「リル……。そっか、俺はずっと、つまらない大人のイジワルに付き合わされてただけだったんだな……」


「その通りなのっ! ほら、遊び疲れたらこっちにおいでっ!」


俺がトランポリンの上に大の字で倒れ込むと、リルは俺のそばに舞い降り、俺の頭を自らの胸元へと引き寄せた。

AAカップのささやかな丸みは、小さくなった俺の体には十分すぎるほどのクッションとして機能していた。

脂肪の重みがない分、彼女のトクトクという早く元気な妖精の心音が、俺の頬にダイレクトに響いてくる。


「一肆の着ているお洋服も、窮屈でトゲトゲしてるからダメなのっ。えいっ!」


リルが再びステッキを振ると、俺の着ていた硬い服が魔法でほどけ、柔らかく肌触りの良い、まあるいお花のパジャマへと強制的に着せ替えられた。


「リルの胸、小さくて可愛いのに、すごく安心する……。それにこの服、フワフワで締め付けが一つもないよ」


「でしょでしょっ! 一肆はもう、リルの可愛い赤ちゃんのおもちゃなのっ。だから、難しいことはぜーんぶ忘れて、ここでリルにいーっぱい甘やかされるのっ!」


反逆を推奨し、すべての責任を放棄させてくれる妖精の無邪気な魔法。

俺は彼女の温かい鼓動と、AAカップの健気な弾力、そして完全な自由の空間に身を委ねていった。


「一肆のまあるいお顔、すっごく可愛いのっ。このまま、ずーっとリルのお人形でいるんだからっ……」


「ああ……もう、大人になんて戻りたくないな……最高に心地いい……」


「えへへっ、いい子なのっ。ずーっと、よしよししてあげるのっ……」


「やはり、世界は丸いほうがいい……」


手のひらサイズの妖精が与えてくれる無責任な自由と、ささやかで純粋な丸みに完全に自我を溶かされながら、俺は賢者タイム気味に平和を噛み締めていた。

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