↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/136

四枚羽はナンブでは多分相手にならないし

第九十四章~軽くても千五百万てところだなの巻


「よう、諸君。やってるな」

「も、戻りました」

 ミサキ氏と前村歩{まえむら・あゆむ}巡査部長が二階事務所に戻って来た。

 ミサキ氏は普段通り半袖ブラウスにホットパンツ。前村氏は夏物の薄手のワンピースだった。

 先日と少し違う、地味な色合いの無地の半袖ワンピースで、ツインテールでなければきっと相当に地味に見えるだろう。今時髪をツインテールにしているのは前村氏と桜桃{おうとう}学園にいたアヤちゃんくらいなのかな、ふと思った。

「前村、頬が赤いけど、あんた酔ってるの?」

 そろそろ三本目の缶ビールの葉月巧{はづき・たくみ}巡査が尋ねると、前村氏は、違います! と必死に弁明した。

「何でもありませんから、気にしないでください」

「そそ、何でもないから」

 ミサキ氏が、ふふふ、と不気味に笑いつつ相槌を打つ。

 僕とミサキ氏、前村氏が炭酸に口を付けようとしたところで、僕のスマホに着信。見ると「鳳蘭子{おおとり・らんこ}」とあった。

 四枚羽タロンの襲撃からかなりの時間が経過しての連絡だったので別件だろうか、と思いつつ、スピーカーモードにする。

『遅れてごめんなさい、こちらはこちらで立て込んでいてね。もしかしてもう片付いてる?』

「蘭子ちゃん? 感知してるだろうけどこっちは怪我人ゼロ、被害ゼロで片付いてるよ。ダリルとベッセル、両方撃ち尽くしちゃったけどね。念のために堀田さんに予備弾丸、用意してもらっててね。あんなのが続くとさすがに弾切れになるからさ。現場には?」

『乾{いぬい}さんが向かって、それらしい男性の身柄を拘束したらしいわ。名前は新塚雄一{にいづか・ゆういち}。四十一歳で近郊の金属加工工場勤務らしいわ。前科ナシで勤務態度も悪くないらしいけれど、重度のアルコール中毒だとか。今分かるのはこの程度で、タロンとの関連は調査中よ。乾さんからの吉報待ちと言ったところ。以上よ、何か質問は?』

「質問と言うか、蘭子ちゃん。この二日ほどのタロンの出現率はハンパじゃないよね? あたしとバカ少尉はコンビで何とかなってるけどさ、単独行動が多い乾さんなんてヤバいんじゃね? 四枚羽はナンブでは多分相手にならないし。乾さんにも黒服を同伴させといたほうがいいよ」

『そうね……ワルサー大尉の二の舞は避けたいから検討しておくわ。じゃあ、私は別件があるからこの辺で』

 通話が終了すると、ミサキ氏が、あっ、と小さく叫んだ。

「そういや報酬の話するの忘れてたよ。昨日はビーンズで一体、喫茶店で二体に、さっきの四枚羽で、合計四体か。ざっと見積もって千二百万で、うち四枚羽二体にボーナス付けば、軽くても千五百万てところだな。あたしってばひょっとして金持ちか?」

「何? 美咲さんってそんなに稼ぐ人なの? ちょっとした年収の額じゃないの、それ」

 四缶目のビールを飲みつつ、葉月氏が尋ねる。

「まあ葉月ちゃんらと一緒で体張ってるからね。相手はあのタロン、下手すればこっちも危うい相手だからその分、報酬もいいって寸法なのさ。なあ?」

「む? チータラが無くなっておる。葉月、貴様の仕業か?」

「つまみを主食にしてんじゃねーよ。つか、話聞けよ!」

 ミサキ氏と大道少尉のじゃれ合いはともかくとして、僕は鳳氏の方が気になっていた。

 あの無頼漢・乾氏がタロン相手に遅れを取るとは思えないが、それとは別で、別件とやらである。

 鳳氏は慌てている風でもあったし、只ならぬ状況なのかも、と、炭酸を飲みつつぼんやりと思う僕だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。