はだけた制服の下のブラを
第九十三章~サラミとチータラのハーモニーの巻
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四枚羽タロンの襲撃もあって、大道少尉への飲酒検査はうやむやになった。そしてミニパト二人組を加えた僕らは、大道探偵事務所へと向かうことになった。
もう深夜だしミニパトの先導もあったので三十分とかからずで事務所に到着した。途中、二十四時間スーパーに立ち寄ってビールとソフトドリンク、つまみも買った。
ミニパト二人は制服のままで事務所に上がり込み、早速、葉月巧{はづき・たくみ}巡査がビールを飲み始める。それはそれは見事な飲みっぷりだった。
「で、さっきのこと、説明してもらえるのよね? 少尉?」
「会計ならば吾輩持ちだと言った筈だが?」
違う! と葉月氏は怒鳴った。
「トレンチコートの男と、あの化物よ! 報告するしないは別にして、知っておかないと。前村が危うかったんだから」
話を振られた前村歩{まえむら・あゆむ}巡査部長はと言うと、
「私、やっぱり着替えてきますね。その、制服汚すといけないし」
やや場違いな返答だった。
「手伝うよ! アユムちゃん! 窮屈でしょ、制服って」
嬉々とするのはミサキ氏だった。
「でしたら、美咲さん、お願いしますね」
この人には学習能力がないのだろうか、僕はかなり不安に思った。が、当人がいいと言っているのだから仕方がない。ただただ前村氏の無事を祈るだけの僕である。
「それで? あの化物は?」
「んぐ、このサラミがまた格別なり。む? ああ、あれはタロンである」
「タロン?」
「チータラも良いのう。ふむ、タロンとは地獄の住人。見た通り狂暴で人に取り憑く迷惑な輩ぞ」
説明はほぼ合っているのだが、初見で信じろというのはさすがに無理がある。が、現場にいただけあって葉月氏の飲み込みは早かった。
「地獄云々は分からないけど、あれが狂暴というのは実際に遭遇したから、どうにか。それで少尉と美咲さんは? 単なる私立探偵ではないようだけど」
「サラミとチータラのハーモニー! 吾輩らはタロン専門の一種のハンターと言ったところである。理解したか? 葉月よ」
言われた葉月氏は、うーん、と唸っていた。
「実際にそうだったんだから、そうなのね、としか言えないわ。あなたたちはどこかの組織に所属でも?」
「ああ。鳳{おおとり}の駒であるな。もっとも吾輩は単なる駒とは少々異なるがのう」
「オオトリ? 美咲さんもそんなことを言っていたわね。どういう組織なのかしら?」
葉月氏はビールを飲むのも忘れて大道少尉にあれこれと尋ねる。一種の職業病かな、とは僕の見解。
「鳳はCTU、カウンター・タロン・ユニットの責任者兼研究者である。聞いた話では県警ともパイプがあるらしいが、吾輩には無縁ぞ。む、ビールがぬるくなってきおった」
葉月氏が、CTU? と難しい顔をする。いきなり聞かされて、はいそうですね、で済むものでもないので当然のリアクションである。
「それはそうと、前村と美咲さん、遅いわね。どうしたのかしら?」
言われて僕ははっとする。
まさかと思いつつ事務所階段を下ると、案の定であった。
「ですから美咲さん! 誰か来ちゃいますって!」
「こんな時間にこんな場所に誰も来ないって、安心してよぅ」
前村氏の背後からミサキ氏が抱き着いて、はだけた制服の下のブラを両手で揉んでいた。
またか! 僕は飽きれ半分で咳払いを一つ、存在を知らせる。と、前村氏がびくっと震え上がった、当然だが。
「こらこら、覗くか参加するか、どっちかにしろよな。しっかしアユムちゃんたら、胸、大きくって柔らかいねぇ。気痩せするタイプだよね?」
全く構わないといった調子でミサキ氏が言う。
「こ、困ります! と言うか見ないで下さい!」
半裸ではまるで説得力がない、とは言わず、僕は言われた通りに事務所に戻ることにした。
人の性癖をあれこれ言う立場ではないが、ミサキ氏には困ったものだ、とはきっと前村氏の意見だろう。




