スナイパーライフルでヘッドショットを決めてみる
第六十三章~大口径リボルバーならかすめるだけで身動きとれないってのにの巻
深夜、二時を過ぎた頃、僕とミサキ氏はやることもないので交代で『フォートギルド』をプレイしていた。
「ちょっ! なんでリボルバー一撃でこいつ死なないんだよ! おかしいだろ!」
「いや、これ、ゲームですし、ヘッドショットをすれば、ほら」
僕がスナイパーライフルでヘッドショットを決めてみるが、ミサキ氏は納得しない。
「頭が急所なら心臓だって急所だろうに。大口径リボルバーならかすめるだけで身動きとれないってのに、これ、作りが妙だぞ?」
アサルトライフルも装備しているのに、徹底してリボルバーしか使わないミサキ氏はその後、囲まれて蜂の巣になる。
「そこでは壁を作ってですね、ああ、手遅れ……」
「ええー! もっとさ、楽しくなんないの、これ?」
では、と僕は自動車があるエリアまでMr.Aを移動させ、乗車させた。
「これならどうです? 自動車にはラジオも搭載してあって、ちょっとくらいの銃撃は走って逃げられますよ」
「おー! やってみる!」
が、ミサキ氏の運転はそれはもう酷いもので、橋の上で駐車してある別車両に追突して以降、身動きがとれなくなったり、のオンパレードだった。
「……あのさ、思ったんだけど、このゲーム、ひょっとして滅茶苦茶に難しい?」
「というか、腕前の問題かなと。さっきから美咲さん、同じボタンしか使ってないですよね? 全部のボタンにあれこれ機能が割り振ってあるんですよ? 『フォートギルド』に限らず今時のゲームって」
僕は丁寧に解説してみたのだが、ミサキ氏は難しい顔をしていた。
「十字キーとボタン二つ、とは言わないけどさ、それってゲーマー仕様じゃね? 全部ってこのコントローラーだけで幾つボタンがあるんだっつー話よ」
その後も二人交代で『フォートギルド』をやっていたが、いつの間にかミサキ氏はギャラリーになっていた。
露草邸の冷蔵庫から拝借した炭酸飲料片手に、ほー、へー、と感心の溜息を吐きつつ。
リボルバーにこだわる気持ちは分かりますけど、ゲームでは通用しないんですよねー。




