仮眠
第六十四章~カッターナイフ傷害事件やらその直後のタロンやらの巻
ゲームに夢中で気付かなかったのだが、もう窓の外は明るくなり始めていた。カーテン越しに朝の日差しが見え隠れする。
たっぷりと寝たミサキ氏と違って、僕は若干の疲労感。そう告げると、
「仮眠でもしてくれば?」
すっかり我が家である。
「あたしは映画でも観てるから、ってこれ、映画観れるよな?」
「契約していれば……ああ、配信サイトに三つも加入してますね。無料で見放題ですよ」
映像配信サイトのホーム画面に切り替えて、コントローラーをミサキ氏に渡す。さすがにこれくらいの操作なら大丈夫だろう、と僕はまずシャワーを借りることにした。
今日、もう昨日になるのか、は色んな事があったのでシャワー中は頭がぐるぐるになってしまった。
近々の事件であるカッターナイフ傷害事件やらその直後のタロンやら、遡って、前村歩{まえむら・あゆむ}巡査部長のあられもない姿やら、とにかく色々とあった。そういえば同じく大道少尉の活躍したアルマーニ男事件なども。
シャワーを終えて、着ていたTシャツとジーンズをまた着て、僕はミサキ氏が寝ていた来客用の布団へと向かう。
六畳ちょっとの畳部屋に寝具一式があったので潜り込むと、意外にもすぐに眠気が来た。或いは『フォートギルド』のやり過ぎだったのかも、とか何とか考えているうちに僕は寝てしまった……。
「……おーい、起きぃや。朝ごはんやでー」
誰かが呼ぶ声で僕は目覚めた。独特の関西弁なので露草氏だとすぐに気づくのだが、まだ頭は眠っている。
僕は、はい、と返して布団から出る、が眠い。欠伸をかみ殺してリビングに戻ると、ミサキ氏と大道少尉がトーストを齧っていた。
「起きたか、少年! このピザトースト、美味であるぞ!」
冷えた水を飲みつつ大道少尉がやたらとでかい声で言う。
「せやから、たいしたもんちゃうて。パンにチーズ乗っけてサラミをトッピングしとるだけやんか」
「タバスコぉぉ!」
ミサキ氏が謎の掛け声で継ぐ。
二人とも朝から元気だな、と、未だ半分寝たままの僕は思いつつ、ソファに腰かけた。




