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竜の娘  作者: 飛鳥弥生
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アホの鳩羽

第二十八話~借りた一万円の使い道の巻


 食事中の雑談の話題は「借りた一万円の使い道」だった。

「とりあえず二人で平等に分けよう」

「ふむ、五千円か。よかろう」

 頭数に僕は入らない、まあいいけど。

「この五千円で十月までは持たないよな、そりゃそうか。何か依頼こないかなー」

「吾輩は先ほど一年分の仕事を終えたが故、問題ない。見よ、このカイザーナックルを」

 ハンバーグの上に拳をかざす大道少尉。

 ナポリタンを食べているミサキ氏はしかし、不満げだった。

「あたしのダリルとベッセルさあ、しばらく質にでも入れるかな? もうしばらくはタロン、出てこないだろうしさ。どお?」

「やめたほうが良いと思うぞ、アホの鳩羽よ。今日もだがタロンはいつ現れるのかが不明な怪物。いざというときに武器なしでアホの鳩羽に何が出来る?」

「言い疲れたんだけど、その「アホの鳩羽」て、やめないか? それはまあいいとして、そうなんだよなー。あたしからリボルバー取ったら何も残らないっつーの」

 はあ、と溜息一つ、ミサキ氏は冷えた水を含んだ。

 そして会話が止む。……あれ?

 スマホで時刻を確認すると、もう深夜二時を過ぎていた。今日は朝からあちこちを回っていたので二人ともさすがに疲れたらしい。そろそろ就寝時間なのだが、ここで問題があった。

 ミサキ氏は重度の睡眠障害なのである。

 睡眠導入剤を十一錠も飲まないと軽く三日は眠れないという人なのだ。

 その昔は薬の大量摂取、いわゆるオーバードースをしたりしていたらしいが、今はいたって健康、と言っていいのか微妙だが、眠れない以外は問題なく過ごしている。

 で、問題というのは、ミサキ氏はミサキ氏でこのままこのファミレスに居ついても構わないが、大道少尉はそうはいかない。当然僕も。僕ら二人は寝ないと生きていけないのである。

 無言なまま、それぞれがもくもくと食事をしていた。さて、どうしたものか、である。

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