カイザーナックル
第二十二章~タロンアラートの巻
このままでは天海{あまみ}氏が危ない、そういう不安がよぎった直後、スマホに着信。「鳳蘭子{おおとり・らんこ}」とあった。
「ああ、夜分にごめんなさい。美咲、一緒よね? アラートよ」
アラート? またもや熱中症アラートだろうかと思ったら、全く違った。
「タロンアラート。座標は美咲のスマホにも送ってるけど、今のあなたたちの傍らしいわ。こっちの兵力、乾さんとワルサー大尉も向かわせるから、注意するよう伝えて頂戴」
これは一大事だ! アルマーニ男などにかまっている場合ではない。
「美咲さん!」
「あいよ! サンバーにガンベルト積んでるだろう? すぐ準備して――」
ミサキ氏は言いかけて突然吹っ飛んだ。
何だ? パニックになりそうながらサンバーバンへと掛けてバッグから二挺のリボルバー、ダリルとベッセルを収めたガンベルトを持ち出す。
店内に戻るとミサキ氏が怒号をあげていた。
「バカ少尉! 少し時間稼げ!」
「いわずもがなである! はあっ、必殺のぉ、カイザーナックルぅ!」
大道少尉のでかい拳で吹っ飛んだのは、あのアルマーニ男であった。
「君、いきなり失礼じゃないかね、ははは! 僕はこちらのお嬢さんに用事があるだけで、さっきも言ったが君らに用はないんだよ、ふふふ」
レザーパンツにTシャツ姿の巨漢、大道少尉の拳を受けて尚、アルマーニ男は平気らしかった。
「アホの鳩羽よ! 実体化しておらぬ! 吾輩のカイザーナックルはちと効果が薄い故、決めるがよい」
「いわずもがな! 時間稼ぎサンキュ! これぞチームワークって奴だな。さあ、タロンちゃん、出てらっしゃい」
「はあっ! 再びのカイザァ!」
どすん! と鈍い音がしてアルマーニ男の体が浮いた。そして、である。その背後にちらりと見える姿があった。
タロンである。




