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異世界ロイヤリティ ~バカどもから搾取したお金で、俺は人生楽しませてもらいます~  作者: ファイアス
第3章:視野を広げる

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第28話:寂れた村で買い叩かれる鉱石資源

「この前ヘズンに行った時、気になったんだが……」

「どうしたの?」

「ヘズンに向かう道中、街道を左に曲がったらどこに辿り着くんだ?」


 ある日の朝、俺はロイゼン南の街道から続く行き先をエスネアに訊ねていた。


「ミスラ村だよ」

「なら、今日はそのミスラ村とやらに行ってみるか」


 村というからには住んでいる人は少ないと分かりきっている。

 人の少ない場所には当然お金も集まらない。

 そう考えると、あまり価値のない場所かもしれない。

 ただ、生活拠点にしているロイゼンのすぐ近くなんだ。

 どんな場所か、そのくらいは知っておいたほうがいい。


 ミスラへ向かう途中、ゴブリンたちが幾度となく襲い掛かってきた。

 街道を歩いていれば、魔物に襲われにくいって話だったんだけどな。


「このあたりの魔物は街道を歩いていてもお構いなしなんだな」


 もっとも今更苦戦するような相手ではない。


「ゴブリンの分類は一応亜人だよ。佐伯くんも覚えておいてね」

「一応?」

「うん、一応。みんな亜人も魔物扱いしてるから」


 だったら何でエスネアはわざわざ訂正したんだよ!

 冒険者ギルドの昇格試験にでも出題されるのか?


 ちなみに亜人の定義は好戦的な種族、かつ二足歩行をする、人間と同じ言葉を喋る、道具を扱うのいずれかに該当するものらしい。

 オークやコボルトはもちろんのこと、サキュバスやネコマタなんかも亜人に分類されるようだ。

 めんどくさいから魔物扱いしておくけどな。


 ミスラに続く道が厄介なのは魔物だけではない。

 整備されているとはいえ、坂道や段差が多い。

 おまけにミスラは未だに見えてこない。

 はっきり言って魔物と戦うよりも、長時間歩くことのほうがよっぽど大変だ。


「もー、しんどいんだけど。ミスラまでまだー?」


 俺はもちろんのこと、湊もすでに疲れ気味だ。


「そろそろ着くよ」


 エスネアはまだまだ余裕そうだ。


「ぐしゃぁぁぁぁ」


 今度はゾンビの群れが襲ってきた。

 エスネアによれば、これまでの雑魚と大差ないらしい。

 だが、個人的には戦いたくない。

 何せ相手はゾンビだ。

 他の魔物より毒性の高い病原菌を撒き散らすとしか思えない。

 というか、こいつらを22万ゼビーもしたフルメタルウィップで叩きたくない。


「逃げてもいいか?」


 レベル92の俺にとっちゃ、どうせ大した経験値にもならないんだ。

 わざわざ倒す意味がない。


「何で逃げるの?」

「いつもの潔癖症だよ」


 エスネアの前では、もう潔癖症と開き直ったほうがいいだろう。

 一々突っ込まれるのも面倒だからな。


「うーん、でも結構良い経験値だよ。特にまだレベルの低い愛華さんにはね」

「じゃあ湊さん、こいつらの処理は頼むわ」

「えー……」


 湊は思念ダンジョンにいた地を這うゾンビなら、散々倒しまわっていただろ!

 若干雰囲気は違うけど、今回だけ嫌がるのはよく分からん。

 まっ、レベル上げには必要な過程だ。

 頑張ってくれ。


「≪メイクアップ≫」


 ……何でいきなり変身したんだよ。

 甘カワなファッションと、頭に付けられた大きなリボン。

 この格好は明らかにエスネアを真似ている。


「佐伯くんのことは私が守るからね」


 湊はなぜかエスネアになりきって、ゾンビたちを突き刺していく。

 その行為に意味はあるのか?


「何してるんだ?」

「スキルで生成した武器なら、後で手入れしなくて済むじゃん」


 武器を汚したくないから、エスネアの真似をしながら戦ったのか。

 良い発想だとは思うけど、エスネアの疑似スキルを使わないなら真似しなくてもいいだろ。

 しかも演技がヘタクソだ。


 ちなみにスキルで生成した武器の殺傷力は0だ。

 そのため、普通に倒すよりもずっと効率が悪い。


「ふーっ、やっと着いたー!」


 数々の魔物を倒しながら、俺たちはようやくミスラへと辿り着いた。

 奥には鉱山があり、採掘拠点として成り立った村のように見える。

 鉱夫と思われる人々の姿もあったが、その表情は皆暗い。

 少なくとも一発当てて一攫千金を、という雰囲気ではない。


「疲れたし、さっさと宿を探そう」

「そうだな」


 村の調査は明日やればいい。

 今日はとりあえず休もう。


「あら、お泊りですか?」

「はい」

「三人で2400ゼビーとなりますが、よろしいですか?」

「大丈夫です」


 ロイゼンの宿代は一人あたり2000ゼビーは取られるのに、ミスラでは800ゼビーで済むのか。

 そこまで離れているわけじゃないのに、価格が違い過ぎる。

 提供される食事の量こそ少なかったが、宿のサービスは決して悪くない。

 安いのは有難いが、もう少しお金を取ってもいいんじゃないか?


 ミスラで一泊した翌朝、俺たちは市場調査から始めた。

 村の奥に採掘場があるため、鉱石の価格が安いのは当たり前だ。

 だが、いくら何でも安すぎる。

 全ての鉱石価格を把握しているわけじゃないが、大半が5割以上安く売られている。

 交通の便が悪いだけで、ここまで物価に違いが出るのか?


「お、お願いします。これでも我々は限界で……」


 近くから悲痛な様子で訴える老人の声が聞こえてきた。

 何かあったのだろうか?


「少し気になるな」

「村の奥で言い争ってること?」

「ああ」

「揉め事は佐伯にとっての契約チャンスだもんね」


 湊は俺を悪魔みたいな扱いしやがって!

 ……でも契約のチャンスだと思っているのは否定できない。


「とりあえず近づこう」


 俺たちは聞き耳を立てるため、近くの物陰に身を潜めた。


「鉱石はロイゼンやヘズンのほうでも余ってるんだよ。それでも仕入れてやってるんだから有難く思え!」

「そんなことを言われてもこれじゃ生活が……」


 偉そうな小太りの男は行商人のようだ。

 ミスラに立ち寄る人々が少ないことを利用して、鉱石を安く買い叩いているらしい。

 追い詰められている痩せ細った老人は、恐らくこの村の村長だろう。


「俺はわざわざこんな辺鄙な村にまで足を運んでいるんだ。その時間にどれほどの価値があるのか分かっているのか?」


 この偉そうなおっさんこそ、鉱夫たちの時間の価値を考えていないだろ?


「エスネア、あの行商人のレベルと資産はどのくらいだ?」

「レベルは84で、資産は約3500万ゼビーあるよ」

「行商人にしてはかなり強いな」


 一応俺のほうがレベルは高いが、装備を加味したらあの行商人のほうが格上だ。

 下手にトラブルを起こすべきではない。

 しかも相手はかなりの資産を持っている。

 仮に殴り合いで勝てたとしても、今度は傭兵を連れてくる可能性も否定できない。


「あの行商人が帰るまで待つか」


 俺たちは行商人が帰る姿を確認すると、すぐさま村長らしき老人から話を聞くことにした。


「ちょっといいですか?」

「は、はぁ…… 何でしょう?」

「あの行商人はどれだけ安く鉱石を買い叩いたんですか?」

「み、見ておられたのですか」

「はい。ビジネスの花が咲いてる気がしたので」


 ……期待を持たせるために商人っぽく気取ったつもりだが、これじゃ半分詩人だな。

 さすがにセンスのない言葉選びをしたと思う。


「び、ビジネスの花ですか……」


 案の定、変な印象を与えてしまったよ。


「とりあえず要求価格だけでも教えてくれませんか?」

「こちらがハイランド殿が要求してきた買い取り価格の一覧です」

「……」


 さすがにあり得ないだろ。

 これじゃロイゼンの市場価格の10%にも満たない。

 完全に舐められているよ。


「じゃあ、不偏石と、天王石と、始原石を合計で10キロ分、ハイランドの提示した倍の価格で買い取ります」

「あ、ありがとうございます」


 比較的高価格で取引される鉱石三種、これだけ買っても合計で約15万ゼビーだ。

 これをロイゼンに持ち帰れば、約90万ゼビーは稼げる計算だ。

 自分で露店を開かず、中間業者に流すだけでも30万ゼビーは堅いだろう。

 買わない理由はない。


 もはや鉱石の運送をやっているだけで余裕で生活できるレベルだ。

 とはいえ、ロイゼンとミスラを何度も行き来したくはない。

 それに俺は自分の人生を楽しむため、日々の生活を同じことの繰り返しにしないと決めたんだ。

 ならば結論は一つしかない。

 この仕事は九葉にやらせよう!


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