↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ロイヤリティ ~バカどもから搾取したお金で、俺は人生楽しませてもらいます~  作者: ファイアス
第3章:視野を広げる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/30

第23話:収入源を育てる投資

 レッドウルフの解体を終えた俺たちは、毛皮を買い取ってもらうべく市場に足を運んでいた。

 街のすぐ近くにいた誰でも倒せる獣、しかも俺と湊のせいで毛皮の状態はかなり悪い。

 どうせ大した金額にはならないだろう。


「こちらの買い取りをお願いします」


 俺は毛皮を扱っていた露店商に声をかけ、レッドウルフの毛皮を差し出した。


「ああ、レッドウルフの毛皮か。この状態じゃ出しても150ゼビーが限界だ」

「それで構わないです」


 案の定ゴミみたいな金額だ。

 一食分の食事代にも満たない。

 それでも妥当な金額だと思った俺は迷わず取引に応じた。


「毎度!」


 取引を終えた俺たちは市場を離れ、エスネアの家まで帰ろうとしていた。

 そんな時、後方からものすごい勢いで近づいてくる足音が聞こえてきた。

 何事だろうか?

 不思議に思って後ろを振り向くと、勢いよく走ってきたのはクラスメイトの九葉(きゅうば) 蒼麻(そうま)だった。


 九葉はサッカー部に所属する男で、定期試験の成績は中の下。

 顔は良い方だが、何かとやらかしが目立つ。

 そのため、女からモテることはない。

 ざっくりと言い表すなら、残念なイケメンだ。


「おー、佐伯! それに湊も一緒だったのか」

「葉っぱじゃん。もしかして、この世界でもやらかした?」


 湊が九葉を「葉っぱ」と呼ぶのは、過去に大麻を吸引して警察に捕まっているからだ。

 先輩に誘われて吸引したらしいが、同調圧力はなかったと警察に証言している。

 つまり軽い気持ちで吸ったわけだ。

 九葉自身のやらかしとしか言いようがない。


「多分……」

「えっ、マジでやらかしたの?」


 やらかしたと気づいて、王宮から逃げてきたのか。

 逮捕された経験があるのに、迂闊なことをするのは治らないんだな。


「実は俺さ、夜中にこっそりと魔導具の保管庫に忍び込んだんだよ」

「ガキかよ!」


 ほんとに子供の悪戯みたいだ。


「そんで保管されてた赤い球体に触れたら、なんか身体に力が流れ込んでくる感覚があったんだよ」

「なにそれ?」

「俺もよく分かんねーよ。ただ、その球体に込められてた力を吸っちゃったらしくて、翌日兵士たちはみんな大騒ぎだ」


 まさか九葉はマジックオーブを勝手に取り込んだのか?

 だとしたら、処刑されても当然だよ。


「そんで怖くなって逃げだしてきたんだ?」

「そうそう。だから王宮の外で暮らしてるお前たちに、どうやって過ごせばいいか聞きたかったんだよ」


 俺たちに声をかけてきたのはそういうことか。


「エスネア、九葉は魔法を取得済みか?」


 エスネアに≪鑑定≫してもらえば、取り込んだものがマジックオーブかどうかはすぐに分かる。


「うん、炎魔法が使えるみたい」

「やっぱりな」


 しかも俺が二番目に取得したい炎属性かよ。

 ちょっと腹が立つ。


「俺、魔法を使えるのか? というか、佐伯は王宮にあった球体の正体を知ってるのか?」


 やっぱり魔法を使えるようになった自覚もないんだな。


「ああ、お前が取り込んだのはマジックオーブだよ」

「なんだそれ?」

「取り込むと魔法が使えるようになる道具だ。ちなみにマジックオーブは安いものでも1500万ゼビーの値が付く。取り込んだのがバレたら、お前はほぼ間違いなく処刑される」

「お、おい、冗談だろ。勘弁してくれよ」


 小川と水島は暴言を吐いただけで処刑されたんだ。

 勝手にマジックオーブを取り込んだ九葉なら、処刑されるに決まっている。


「真面目に言ってるつもりだ」

「ど、どうすりゃいいんだよ!」


 目の前に困っている人間がいるんだ。

 契約の話に結び付けるしかない!


「九葉、俺と契約するなら、数日分の生活を支援してやる」


 エスネアの家に滞在している俺が言っちゃいけないセリフだけどな。


「よく分かんねぇけど、支援してくれるなら助かる!」

「契約を許可したってことで構わないな?」

「ああ!」


 せめて契約内容を聞こうとはしないのか?

 お前はその迂闊さが原因で逮捕されるし、今は窮地に陥ってるんだ。

 それなのに詳細も聞かずに即決するって、学習しないにも程があるだろ。

 もっとも、損するのはこいつだけだ。

 俺の知ったことではない。


 とはいえ、九葉に死なれてしまうと、せっかくの収入源が消えてしまう。

 まずは新たな収入源となった九葉の生活を安定させるほうが先だ。

 還元率は0%に設定、定額還元に関しても本人からは徴収しないほうがいいだろう。

 今は九葉を雇った人間からのみ、ゼビーを回収すればいい。

 その還元額も1日500ゼビーが妥当だ。

 何せ俺は九葉がFランク冒険者として雇われることを想定している。

 当然そんな人間を雇う側も、大した資産を蓄えているとは思えない。

 だったら、騒がれない程度の金額に設定しておくべきだ。


 どうせ九葉は俺のスキルを理解していないんだ。

 稼げるようになったら、その時は搾取対象として再契約すればいい。


「ならば35,000ゼビー渡しておく」

「おお、マジでサンキュー!」


 1日の費用を宿代5000ゼビー、食費2000ゼビー、その他生活費込みでこの金額だ。

 少なくともこれで4日は過ごせるはずだ。

 それ以降は自分で稼いで生活してもらいたい。


「エスネア、九葉のレベルはいくつだ?」

「15だよ」

「それなら今すぐFランクに昇格できるな」


 Fランク昇格の実技試験はレベルが10もあれば十分だと、以前エスネアから聞いた。

 つまり今の九葉でも十分昇格できるはずだ。


「実技は大丈夫でも、筆記試験で落ちると思うよ」

「筆記試験もあったのか」

「うん。せっかくだからみんなで勉強する?」

「そうしようか」


 俺もまだGランクなんだ。

 この際だから、九葉と一緒にFランクへの昇格を目指したい。


「助かるよ」

「えー、勉強とかだるいんだけど」


 湊は勉強って聞いただけで拒否するなよ。

 地頭は良いんだから、その気になればすぐに覚えられるだろ。


 エスネアの話す内容は、いずれも聞いたことのある話ばかりだった。

 天然ダンジョンと思念ダンジョンの違い。

 自然生物と魔物の区分。

 狩りの基礎知識。

 スロウスタートルが自然生物であること。

 これだけ知っておけば、Fランクの筆記試験は合格できるらしい。


 エスネアの話はすぐに終わった。

 それだけ覚えることは少ないようだ。


「俺も昇格試験を受けたいし、一緒に来るか?」

「ああ、道案内を頼む」


 冒険者ギルドの場所も知らなかったのか。


「分かった」


 九葉を連れて冒険者ギルドに向かった俺たちは、必要な書類を記入して受付嬢に手渡した。


「それではお三方、こちらへどうぞ」


 手続きは速やかに進み、Fランクへの昇格試験が始まった。

 実技試験はレベル74の俺が苦戦するはずもない。

 筆記試験はエスネアから聞いた内容がほぼそのまま出題された。

 これなら落ちるはずがない。


「これにて試験は終わりです。ご自分の番号が呼ばれるまで、ギルド内で待機していてください」

「分かりました」


 番号が呼ばれるまでの間、俺たちは適当に雑談しながら時を過ごした。

 王宮組の情報は以前片浜から聞いた内容とほぼ変わらない。

 九条が思念ダンジョンになったことは今も知られていないらしく、ほぼ全員が脱走したと認識しているようだ。


「8番の番号札をお持ちの方、昇格試験の審査が終わりましたのでカウンターまでどうぞ」


 そんな話をしているうちに、自分の番号が呼ばれる時間になった。

 俺は結果を確認するため、カウンターまで向かった。


「佐伯さんは武器への依存度こそ高いものの実技は文句なし。筆記試験は想定を遥かに上回る答案内容でしたので、Eランクへの飛び級が認められました」

「ほんとですか!」

「はい。これで冒険者らしい依頼も受けられると思います」


 Fランク昇格は間違いないと思ったが、まさか飛び級までできるとは思わなかった。

 もっとも安い依頼を受けるくらいなら、エスネアたちと思念ダンジョンに潜ったほうが効率良く稼げる。

 Eランク向けの依頼を受けることはほとんどないだろう。


「9番の番号札を──」


 次に呼ばれたのは九葉だ。

 どうやら飛び級はできなかったものの、彼も無事合格できたらしい。

 少なくともこれで最低限の収入は確保できるはずだ。


「10番の番号札を──」


 最後に呼ばれたのは湊だ。

 エスネアから軽く話を聞きかじっただけの九葉が合格できたんだ。

 湊も当然合格できるだろう。


「あー、やっぱダメだった!」

「まさか落ちたのか?」

「うん、全然分かんなかったもん」


 湊の記憶力は決して悪くない。

 なのにペーパーテストになった途端、何であの程度の問題すら解けなくなるんだよ!

 お前は勉強って言葉が絡んだ途端、記憶できなくなる呪いにでもかかってるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。