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異世界ロイヤリティ ~バカどもから搾取したお金で、俺は人生楽しませてもらいます~  作者: ファイアス
第2章:収入インフラを整えていく

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第20話:人生目標を広げる

 ある夕方の帰り道、俺はカバンが急に重くなる感覚を覚えた。

 少し気になったが、エスネアの家はもう目の前だ。

 確認するのは帰ってからでいい。

 そう判断した俺は、帰宅してからベッドの上でカバンを開いた。


「マジか……」


 その中に入っていたのは大量のゼビーだ。

 数日前に契約を交わした近衛兵が給料を受け取り、その一部が俺に還元されたのだろう。


 これだけの金額が今後も安定して手に入るなら、もう俺は稼ぐ努力をしなくてもいい。

 毎日だらだらと生きる権利を手に入れたも同然だ。


「エスネア、聞いてくれ!」

「どうしたの?」

「この前契約した近衛兵から、約27万ゼビーもの大金が還元されたんだ。この収入が安定して得られるなら、俺たちはもう必死に稼がなくていいと思うんだ」


 これでコアを求めて、危険な思念ダンジョンに潜ることもない。

 それはエスネアにとっても嬉しいはずだ。


「やったね」


 エスネアの反応が薄いな。

 あまり嬉しくないのか?


「佐伯とエスっちは何の話してんの?」

「この前契約した近衛兵から大金を獲得したんだよ。その大金が今後も安定して手に入るなら、俺の願望が達成されると思ったんだ」


 もう俺は何もせずとも生きていけるかもしれない。

 その収入基盤が整った喜びを湊に説明した。


「エスっちと二人だけで暮らすにしても27万じゃ足らなくない?」

「あっ……」


 自分一人分の生活費しか考えてなかった……


「そもそも佐伯ってFIREして何がしたいの?」

「遊んで暮らすつもりだ」

「具体的には?」

「そこは深く考えたことがない」


 さすがにエスネア本人がいる前で、毎日セックスしたいとは言えない。


「はぁ、やっぱFIREする以上の願望がないんだ」

「何か変なことを言ったか?」

「変っていうかさ、佐伯は人生を楽しむセンスがなさすぎ!」


 湊、その言葉はあまりにも心に突き刺さる。

 お前は俺をダンジョン化させるつもりか?


「そもそもこの世界ってゲームもアニメもないんだし、FIREしても暇なだけじゃない?」

「それはそうかもな」


 とはいえ、俺は苦労したくないんだよ。

 人生の大半を汗水垂らして働いて過ごすとか考えたくもない。


「ねぇ、佐伯くん」

「なんだ?」


 エスネアも湊と同じようなことが言いたいのだろう。

 もう口にしなくても分かるよ。


「佐伯くんがイグナシオさんと話してたとき、すごい楽しそうに見えたよ」

「大金を稼ぐチャンスだと思ったからな」

「その期待にときめく機会は、いくらあってもいいじゃん!」

「……」


 二人は音無のように俺の願望を否定しているわけじゃない。

 九条のように倫理観を押し付けることもない。

 ただもっと人生を楽しんでほしいと言っているだけだ。

 だから反感を持つことはなかった。

 俺だってもっと人生を楽しみたいからな。


「エスっちさ、この前売ったコア代はまだ残ってるよね?」

「うん。まだ1ゼビーも手を付けてないよ」

「じゃあ、その金で佐伯に生きる楽しみを学ばせてみない? 今のこいつならそのコストもすぐ回収できるっしょ」

「いいね。そうしよっ!」

「おい、ちょっと待て!」


 俺を置き去りにして、二人で意気投合するな。


「俺は苦労したくないだけで、物事を楽しむ感性が欠如してるわけじゃない。ましてやニヒリズムになど陥ってはいない。だから、感情を育むための介護をしてもらうほどじゃない」

「でもニヒリズム予備軍のマインドだよね」

「……」


 湊はまた反論しにくいことを……


「つーか佐伯はさ、FIRE生活以外の目標を立てたら?」

「何のためにだ?」

「人生楽しむための指標を増やせって話!」

「なるほど、少し考えさせてくれ」


 俺は二人との話を切り上げ、これからの異世界生活をどう生きるか考えることにした。

 苦労の義務から解放されるのは、もう間近に迫っている。

 ならば次は湊の言うように、人生の楽しみを増やしたほうがいい。

 そのための目標設定をしろという話だったな。


 もっとレベルを上げたい。

 装備を整えたい。

 魔法を使えるようになりたい。

 ゲーム感覚で楽しめそうなのはこのあたりだ。

 特に魔法は絶対に使えるようになりたい。

 何せ俺のステータスはあからさまな魔術師タイプなんだ。

 それなのにこのまま魔法と無縁でいるのは、学年一位の秀才が家庭の経済事情で高卒労働者になるようなものだ。

 あまりにも勿体ない。


 他には事業を展開してみたいな。

 錬金術を使えるエスネアの才能を開花させたら、市場競争では絶対有利になれる。

 ましてや彼女は≪鑑定≫もできる。

 商売に協力してもらえるなら、最高のパートナーとなることは間違いない。


 いっそ最強を目指してもいいかもしれない。

 俺の≪ロイヤリティ契約≫は、最強の成長インフラだ。

 このスキルさえあれば、毎日欠かさず鍛錬をする人間を上回ることだって難しくはない。

 今の俺は才能に恵まれた側の人間だ。

 ならば、その才能を腐らせるわけにはいかないよな!





 2章はここまでとなります。

 ここまでご愛読ありがとうございました。

 3章は人生の楽しみを広げていくという形で話を展開していく予定です。

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