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異世界ロイヤリティ ~バカどもから搾取したお金で、俺は人生楽しませてもらいます~  作者: ファイアス
第2章:収入インフラを整えていく

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第11話:キープなんてさせたくない

 エスネアが俺に投資してくれると言った額は150万ゼビーだ。

 前回の依頼でロジーに支払った金額は30万ゼビー。

 つまりあと120万ゼビーは、俺がレベルを上げるために使ってもいい。

 そこで俺はまた別の冒険者に養殖(レベル上げ)を依頼した。

 これで数日後にはまた大きく成長できるはずだ。


「そういやさ、今日三人で夜に暁ノ牙に行かない?」


 冒険者ギルドで依頼を発注した帰り道、湊はなぜか俺たちと暁ノ牙に行きたいと言い出した。

 暁ノ牙はロイゼンで最高級の武具を扱っている店だ。

 エスネアの所持金でも手が出せる商品はない。

 そんな店に何の用があるというのか?


「何しに行くんだ?」

「茜から聞いた話だとさ、あの店にオタクどもが通ってるみたいなんだよね」

「だからどうしたんだ?」


 オタクたちとは俺も湊もよく話す仲ではない。

 会ったところで挨拶して終わりじゃないのか?


「佐伯がエスっちと付き合ってるって知ったら、オタクどもがどんな反応するか楽しみじゃん!」


 それは面白そうだ!

 ただ、好意を寄せてくれるエスネアを見世物みたいに扱いたくはない。


「佐伯くんと仲良くしてるところ、見せに行こっ!」


 ……と思っていたのに、なぜかエスネアが乗り気だ。

 もはや行かない理由がない。

 あいつらの羨む顔を拝ませてもらおう。


「よしっ、じゃあ行くか!」


 俺たちは日没を待ち、オタクたちと会うために暁ノ牙を訪れた。


「よっ!」


 湊は店内にいた太田と緋色を見つけると、気軽に声をかけた。


「え、えぇっ、湊さん、何か用ですか?」

「あ、ああ……」


 湊に声をかけられて緊張しているのだろう。

 いくら何でも女への免疫がなさすぎる。


「佐伯はもうこの世界で彼女を作ったみたいだけど、あんたらはどうなのかなーって」

「あの子が佐伯の彼女って嘘だろ……」

「めっちゃ可愛いのに……」


 期待通りの反応だ。

 お前たちの羨む視線が気持ちいいよ。


「えへっ」


 エスネアは羨む二人に視線を向けながら俺の腕に抱き着いた。

 もはや煽るためにやっているとしか思えない。


「なあ佐伯、お前はどうやってそんな可愛い子と付き合うことができたんだよ」

「俺たちにも教えてくれよ!」

「突然声をかけられただけだ」

「何それ、完全に運ゲーだろ!」

「微塵も参考にならねぇ!」


 実際そうなんだから仕方ないだろ。


「緋色(ひいろ) 正義(まさよし)くんだよね」


 俺の腕から離れたエスネアは、出会いを求める緋色に近寄って声をかけた。

 明らかに色恋営業モードだ。


「えっ、何で俺の名前を知ってんの?」


≪鑑定≫で覗かれただけだよ。

 チートスキルネタのラノベが好きな緋色でもすぐには気づかないんだな。


「もしかして俺のことも知ってる?」

「うん、太田(おおた) 邦夫(くにお)くんだよね」

「は、はい!」


 太田、何でお前は名前を知られていたことを喜ぶ?

 名声が広まっているならともかく、今の状況なら怖がる場面だろ!

 緋色もまんざらではなさそうに見える。

 王宮のクズどもを見た後なのに、この警戒心のなさは異常だろ……


「太田くんは緋色くんの付き添いで来てるの?」

「ど、どうしてそう思うんですか?」

「だって太田くんのスキルって、内政寄りじゃん」

「えぇっ!」


 名前だけじゃなくて、スキルのことまで言い当てられたんだ。

 いい加減気づけ!


「緋色くんはいつか強くなって、みんなを守ってくれるんだよね?」

「は、はい! もちろん君のことだって守ってみせます!」

「期待してるね!」

「はいっ! 任せてください!」


≪守り抜くヒーロー≫を持つ緋色なら、この店の装備に興味を持つのは当然。

 エスネアはそう解釈したのだろう。

 緋色もカッコイイからって理由で、ここの武具を眺めてるだけだろけどな。


「エスネア、そろそろネタバラシしていいか?」

「えーっ、まだダメ!」


 いつもならすぐに≪鑑定≫のことを喋るエスネアにしては珍しい反応だ。


「!」


 ……いや待て、エスネアが≪鑑定≫のことを喋らない理由が分かった。

 こいつらをキープしたいんだ。

 そもそも俺がエスネアに好かれているのは、世間知らずな転移者である以外の理由がない。

 言ってしまえば唯一性のない、替えの利く存在だ。

 他に魅力がないままならば、いずれエスネアはこいつらや他の転移者に気移りしてしまうかもしれない。


「お前の意図は分かったよ」


 そうはさせない。

 俺はエスネアを抱きしめて、彼女に好意を示した。

 キープなんて必要ないと分かってもらうためだ。


「なぁ佐伯……」

「俺たちの前でイチャつくなよ!」


 いいぞ、太田!

 お前が器の小ささを見せてくれるほど、俺の評価は相対的に上がる。


「お前たちだって、立場が逆なら同じことするだろ?」


 緋色はともかく、太田はできないと思うけどな。


「そんなの分かんねぇよ!」

「俺もそう思う。そもそも佐伯ってそんなキャラだったっけ?」


 今までの俺とは違って見えるのか。

 周囲の状況が変わったことで、今まで見えなかった一面に気づいただけだろう。

 それを変わった、成長したと勝手に解釈しているだけだ。


「この数日で変わったのかもな」


 俺はあえて二人に成長したかもしれないとアピールした。

 その方がエスネアも含めて、自分の株を上げられるからだ。


「……」

「彼女ができると変わるんだな」


 それから俺たちは羨む二人と別れて、暁ノ牙を後にした。


「佐伯にしては上手く立ち回ったじゃん」


 湊はあの場でエスネアを抱きしめたことを評価してくれた。

 立ち回りについて、彼女がそう言うなら間違いない。


「湊さんは俺がまた立ち回りを間違える前提で誘ったのか?」

「あったりー!」


 湊、お前はとことん性格が悪いよ。

 でもそんなお前だからこそ、親近感が湧くのも事実だ。

 だから、お前はそのままでいてくれ!

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