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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第4章 対転移者戦争開戦
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第88話 レイスVS10神王(2)

10神王の一角、「石王バーバラ」の戦死。

そのありえない、否、決してあってはならないことが起こり、上空で文字通り「高みの見物」をしていた8人の「10神王」は、その全員が言葉を失っていた。


「大モンスター連合国」に君臨するルルの最も近くに、最も長く仕えてきた彼ら10人は、建国と同時に「10神王」と命名され、ルルの最強の側近として力を振るってきた。

他国、神界、別次元の宇宙、数多を相手取り、勝利し、殲滅し、支配してきた。その中で10神王が欠けることはもちろん、負傷をすることすらただの1つもなかった。彼らはルルのもとで勝って、勝って、勝って、勝ち続けてきたのだ。


その圧倒的かつ絶対的な「神話」がたった今、目の前で崩れ去った。10神王の一角「石王バーバラ」が殺された。それも、どこの馬の骨とも知れないような女にである。

現実を否定したくなる目の前の光景を前にして、彼らは全員思考停止するに至った。


呆然とする彼らにしびれを切らしたのか、バーバラを殺害した女、、レイス・ビネガーが彼らを指さして叫んだ。


「さっさと下りてこい!まとめて相手してやる!」


レイスの言葉でファフニールを先頭に10神王たちが我に返る。そして、たかが人間が厚顔不遜な物言いをしてきたことに対し、ファフニールは怒るどころか馬鹿馬鹿しくて笑いすら出てくる。


「、、、フン、目も当てられないほどおめでたい頭だな。俺たち全員まとめて相手するだと?たまたま運よくバーバラを倒せたことがよほどうれしいらしい。」


そうだ、バーバラが倒されたからといって、レイスが10神王よりも高い戦闘能力を持つとは限らない。

バーバラが油断したのに加え、レイスが彼女の想定よりも高い戦闘能力を持っていた。その偶然の重なりにより哀れにもバーバラは命を落としたのだ。


そうに決まっている。


単純な戦闘で10神王が遅れをとるなどありえない。


ファフニールは脳内でそう結論づけ、平静を取り戻した。そもそも、仮に万が一レイスの力がバーバラを上回っていたとしても、それ自体はファフニールにとって何ら問題ではない。

彼は10神王の中でベリアルに次ぐ存在であり、バーバラよりも圧倒的に強いのだ。


「いいだろう、光栄に思うがいい小娘よ。この俺が自らお前に現実ってものを、、、」


自信を取り戻したファフニールが話終わる前に、レイスの膝が彼の目の前に来ており、「グシャッ」という音とともに館の方に吹き飛ばされた。


「悪いが、俺の性別は男だ。」


レイスはそう一言文句を言うと、吹き飛ばしたファフニールを追いかけて走り出した。


「ファフニール!!クッ!アンタたち行くわよ!」


海王ネレスが指示を出し、残りの10神王たちもレイスの後を追う。





「グ、、、ウゥ、、、」


勢いよく激突したことで無惨な状態となったエントランスホールの階段の上で、ファフニールは顔を押さえながら呻いていた。

話してる途中でいきなり蹴りとばされるという今まで全く無かった経験に、彼は痛みと同時にそれ以上の強い困惑と怒りを覚える。


「あ、あのイカれたクソッタレめ、、、!こっちがまだ喋ってるってのに、、、!ん?」


忌々しそうに吐き捨てながらファフニールはゆっくり目を開ける。すると、森の奥のほうで砂煙が立ち上っているのが確認できた。


「、、、、、、。」


よく目を凝らしてみると、それは誰かが高速で走ってくることで発生している砂煙であることが確認できた。さらによく見ると、その走っている人物がレイスだということが分かった。

彼は真顔のまま拳を固く握り、気づいた時には彼はファフニールの数メートルくらいの距離まで接近してきていた。


「うおああッッ!!?」


ファフニールは驚愕してとっさに横に飛びのいたことで何とかレイスの攻撃を回避する。レイスの拳は先ほどまでファフニールの頭があった場所を直撃し、腕全体の半分近くが階段の瓦礫にめり込んだ。

もし自分があそこに座ったままでいたらどのようなことになっていたか、そう考えるとゾッとした。

それを隠すように、ファフニールはできるだけ平静を装いつつ口を開く。


「ハァ、、、ハァ、、、最近の若い奴は礼儀というものがなってなくていけないな。話してる最中に攻撃はしないってのがマナーってもんだ。」

「年寄りは話が長いのがいけない。お前のクッソ長い口上を聞いていたら戦う前に眠っちまうだろうが。」

「フン、口は達者だな。口だけは。」


2人が睨みあったその時、


「アクアレーザー!!」


レイスは背中に強い衝撃を受けて、不意を突かれたレイスは思い切りのけ反ってしまった。


「ウッッ!!?」


間髪入れずファフニールが攻撃を仕掛けてくる。レイスは反射神経でなんとか彼の連撃を防いでいくが、今度は腹部に強い衝撃を受けてレイスの動きが一瞬止まる。


「隙ありだ!!」

「クッ!」


ファフニールの蹴りがレイスの腹に刺さり、今度はレイスのほうが壁に叩きつけられた。


「クソ、、、!」


腹を押さえながら忌々しそうに吐き捨てて立ち上がり、状況を確認する。

見ると、ファフニールの後ろでは10神王の1人である人魚、「海王ネレス」がレイスに人差し指を向けている。先ほどの謎の攻撃が彼女の仕業であるということは容易に理解できた。


「まぁ、、、そりゃ追ってくるよなぁ、、、」


そうこうしているうちに他の10神王も集まってきて、レイスは殺気だった10神王8人と向かい合う。ある者は武器を構え、またある者は拳を強く握りしめる。先ほどまでの余裕とは打って変わり、全員が臨戦態勢。

常人なら即死するほどの鋭い威圧を全身に浴びて、さすがのレイスも顔にうっすら汗が浮かぶ。


「「まとめて相手してやる」とか抜かしたな。お前の望み通りにしてやろうじゃないか。」


周りに仲間がいることで安心したのか、ファフニールは余裕を取り戻して口角を上げる。

一瞬だけ気圧されそうになったレイスも、好戦的な笑顔をしてみせ、指を鳴らす。


「やっとその気になったようだな。ビビッてずっと宙に浮いたままかと思ったよ。」

「その減らず口もすぐにきけなくなるさ。俺たちの本当の力を見たらな。」


彼らの間にピリピリとした、まさに一触即発といった空気が流れた。しかしその時、レイスの目が突然驚愕に見開かれ、10神王の後ろを指さして叫んだ。


「おい!!あれはなんだ!!?」


彼らは一斉に、レイスが指さした方向を向く。

レイスはそれとほぼ同時に駆け出し、ファフニールの後頭部にドロップキックをお見舞いした。


「アバッ!?」


眼球が飛び出す錯覚に襲われながら彼は前方に10メートルほど飛び、受け身も取れずヘッドスライディングのように地面に突っ込んだ。


「ハッ!?えっ!?」


残り7人の10神王が呆気に取られた表情で、バックドロップ状態から地面に着地したレイスを見る。


「こ、このっ!!」


我に帰った筋骨隆々のドワーフ「鉄王ゴードン」がハンマーを振り上げる。


バキッ

「ブッ!!」


しかし、ハンマーを振り下ろすよりも先にレイスの裏拳が決まり、ゴードンはそのまま地面に倒れた。


「ウオラララッ!!!」


瞬く間、まさに一瞬でレイスは残り全員の顔にパンチや蹴りを叩き込んでいき、彼らはほとんど同時に地面に倒れ伏して、苦悶の声を上げながら顔を押さえる。


「あ、、、が、、、や、野郎、、、!」


ファフニールがレイスに憎悪の目を向けながら後頭部を押さえて立ち上がる。脳震盪でも起こしているのか、その足は小鹿のように震えている。

レイスはファフニールのそんな有様や、顔を押さえながらレイスを睨む10神王たちを見渡すと、フンと鼻で笑い一言だけ告げた。


「、、、アホじゃないの?」


そう言った瞬間、レイスの耳には「ブチッ」という血管が切れたような音が聞こえた気がした。それと同時に、彼らのレイスを見る目が明らかに変わる。今までとは異なり、明らかに憎しみをもった視線。

彼らが「キレた」ことを感じ取ったレイスは、彼らに背を向けて廊下に駆け出した。


「ここまでおいで!おマヌケ共!!」


レイスが最後に吐いた捨て台詞によって、彼らは完全に激昂して冷静さを失った。


「あのくそったれが!!追え!!追えぇッッ!!!」


ファフニールの怒声とともに、怒り心頭となった彼らはレイスを追って廊下に殺到していった。

読んでくださりありがとうございます。

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