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異世界逆襲物語 反逆者たちの物語  作者: リュウセイ
第4章 対転移者戦争開戦
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第86話 イレギュラー発生

「、、、これで、10神王が全員集まったな。」


長い赤髪をした、頭部に二本の角を生やし、体のいたるところに鱗がある大柄な男、「竜王ファフニール」は、自身の屋敷の会議室に集合した10神王のメンバーの人数を数えて自らも会議室の長机の椅子に着席した。


「ベリアルがいないようだけど、」


10神王の1人が唯一空席となっている場所を見ながら言うと、ファフニールは呆れたようにため息を吐いた。


「あいつがルル様のそばを離れると思うか?」

「あー、、、ハハハ、、、そりゃそうか。」


ベリアルの性格を思い出した10神王の面々は納得して頷いた。よく考えるまでもなく、ルルの狂信的な信者であるベリアルがめったなことで彼から離れるはずがなかった。


「でもさ、わざわざ俺たちが集まる必要なんてあるか?俺たちの誰か一人だけで十分じゃね?寝てていい?」


別の10神王、「獣王ギルガメオン」が文句を言い、それをファフニールはたしなめる。


「ルル様の命令だ、油断せずに黙って従え。もしも取り逃がすなんてことがあったら大目玉だぞ。」

「ヘイヘイ。」


内心では「そんなわけあるか」と思いながらも、相手は10神王でトップクラスの実力者でありルルからの信頼も厚いファフニールであったため、ギルガメオンは軽い調子で肯定の返事をする。

しかし実際のところ、ファフニール本人も含めて、自分たちがレイスを取り逃す、ましてや敗北する可能性を考えている者はこの場に一人としていない。はたから見ればそれは自信を通り越した慢心以外の何物でもないのだが、それも仕方なかった。



彼らがいた世界は、初めからモンスターが天下を握っていたわけではなかった。のちに「大モンスター連合国」の中心となる世界では、いつのころからか人間とモンスターは殺し殺されの関係となり、その争いは永遠に続くと思われていた。

そこに突如現れたルル・ルーンにより、形勢は一気にモンスター側に傾くことになる。

彼に忠誠を誓ったモンスターは例外なく新たな力を発現し、その力でもって人間の勢力圏を次々と吞み込んでいき、ルルが表舞台に立ってから半年と経たずして人間の国をすべて滅ぼして、モンスターによる統一国家が築かれた。

彼らの強大化はそれだけにとどまらなかった。特にルル本人と、後に「10神王」と呼ばれることになるルルの側近たちの強さは別格で、彼らは勢いそのままに「別の宇宙」への侵攻も開始し、ついには他の転移者とともに神々にさえ戦いを挑んだ。

そして、神々でさえももはや彼らの相手ではなく、10神王は神々を蹂躙しつくした。最上位神に次ぐ、一体一体が多元宇宙を支配し、同時に破壊することもできる上位神だけでも数百億は殺している。それよりも下の中位神や下位神に至っては、どれほどの数を殺したのかもはや数えきれない。



ルルが現れて以来、彼らは勝利に勝利を重ね続け、敗北どころか身の危険を感じるような事態にさえ陥ったことが無い。

何もかもが彼らの理想通りに進んでいった。

十年以上もそのような生活を送っていて、慢心するなというほうが無茶な話であった。

そのためこの場にいる全員が、ルルの命令であるがために表向きは基本的にまじめに取り組んでいるように見えても、内心ではちょっとしたピクニック程度の感覚であった。


「よし、それでは予定通りレイスの捕獲に向かう。殺すのではなくあくまでも捕獲だ。次元ごと消し飛ばしたりすることが無いように力はできるだけ抑えておけ。レイスを人間の地区へ追いやったら、あとは力を解放してもいい。ついうっかり、人間たちに被害が出てしまうかもしれないがな。」

「あぁ、、、そうだな。「事故」なら仕方ない。」


ファフニールの言葉を聞き、10神王たちが好戦的な顔になる。彼らからすれば人間は長年の「敵」であり、いくら痛めつけても飽き足らない存在である。そんな彼らにとってレイスの捕獲は、「ついで」に「大モンスター連合国」で強制的に働かされている人間たちを殺害する絶好のチャンスであった。


「フフフ、最近ずっと退屈だったが、久しぶりに楽しめそうだな。」

「10神王の方々、お話し中失礼します。」

「ん?」


会議がひと段落すると、会議室に声が流れてくる。彼の部下が部屋に入ってきた。


「どうした?」

「レイスの移動が確認できました。すごいスピードでこちらに向かっています。」

「なんだと?」


ファフニールが広範囲の探知魔法を発動してみると、たしかにやたらと低空飛行の旅客機がまっすぐこちらに向かってくるのが確認できた。


「これの中に奴が、、、?自爆でもするつもりなのか?馬鹿馬鹿しい。」


ファフニールは呆れてため息を吐くと、屋敷の外に魔法陣を出現させ、有無を言わさず迫りくる旅客機に向けて赤い光線を放った。一見すると普通の攻撃魔法にも見えるが、ファフニールが放った場合はそれは普通ではなくなる。

魔法の威力は使用者の魔力量で変動し、常人の魔法使いだと精々岩を破壊できる程度の威力の魔法でも、ファフニール程の魔力量の持ち主が放てば、ビッグバン無数発分の威力を一か所に凝縮したものに等しくなる。


光線が直撃した旅客機は、その瞬間に花火のように爆散した。もしもファフニールが屋敷の周囲に自分たちの攻撃を耐えるための結界を張っていなかったら、その余波だけで屋敷の周囲一帯は存在ごと消滅したはずである。


「フン、他愛もない、、、やはりただ無謀なだけだったようだな。」

「おいおい、もう終わりかよ。つまらねーな。」


あまりにもあっけない結末に、10神王たちは思わずため息をこぼす。


「キーレを倒したのが本当なら、さすがに今ので命までは落としていないはずだ。まぁもっとも、体の半分くらいは黒焦げになっているだろうがな。」


この時点で10神王もその部下たちも全員、勝負がついたものと思い込んでいた。


あとは瀕死になったレイスを拾ってルルのもとに届けるだけ。


そう思っていた彼らは、わずかながらに残っていた警戒心を完全にゼロにしてしまった。




その結果、彼らの誰も、爆炎の中から飛び出して屋敷に向かって一直線に飛んでくる存在に気づくことができなかった。




ドォォォォンッッ!!!




轟音と同時に屋敷全体が揺れる。あまりに予想外の揺れに、ファフニールは思わずよろめいた。


「な、何がおきた、、、!」


柄にもなく混乱していると、先ほどとは異なる部下が慌てた様子で部屋に飛び込んできた。


「ファフニール様!侵入者です!三階の一部を破壊して何者かが入ってきました!」

「侵入者だと、、、?レイスか!いや、待て。それよりも、、、」


ファフニールは、侵入者とは別の部分が引っかかった。


「破壊されたと言ったか?この屋敷が?」

「は、はい、、、!」

「この屋敷は我々の攻撃に耐えられるようにできているはず、、、面白い。どうやら思ったよりはやるようだな。」


レイスの戦闘力に対する認識を改めたファフニールたちは、口角を上げ、闘気をみなぎらせながら部屋を出る。刺激に飢えていた彼らにとって、「思ったよりもレイスが強いかもしれない」という事実はまさに吉報であった。


「行くぞお前たち。元気いっぱいの客人をもてなしてやるとしよう。」

読んでくださりありがとうございます。

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