私の先生は犬先生
前世が天狼だったため突然異世界へ連れて来られた加奈。そんな加奈は、もう既に家に帰りたくなってきていた。
「帰りたいんですけど、先生ー」
先生と呼ばれた灰色犬はため息をつき、その姿で帰ってもいいならすぐにでも送り返すが?と言った。頭には犬耳、お尻にはふさふさと尻尾を生やした半分獣な加奈は、「でもさ先生」と言う。
「先生がこの耳と尻尾、どーにかしてくれたら帰れるよ。出したの先生なんだから引っ込める事もできるんでしょ?」
「無理だ。一度外に出してしまった力は俺にはどうする事もできない。それに天狼の力をコントロール出来なければ力に押し潰されてお前は天狼化してしまうと言っただろ」
前世の天狼の力、それをコントロールして抑えられなければ、いずれ加奈は天狼化して化け物になってしまうらしいのです。
「でもさ先生、全くできる気がしない」
異世界にきて早3日。いまだ力のコントロールは出来ず犬耳、尻尾は出っぱなしだ。「引っ込めー引っ込めー」とか「消えろ消えろ、この野郎」と朝から晩まで頑張っているが、引っ込む気配はまるでない。最近では半ば諦めモードに突入してしまっている加奈である。
「天狼化して化け物になっちゃったらどーなるんですか?」
「処分」
先生は一言で簡単に説明してくれた。
処分、殺されると言う事だ。
「天狼化したら自我が無くなる。無差別に人を襲う。そんな危険な存在、おいておくわけにもいかないからな」
加奈はなんて事ないようにそう言う灰色犬先生を見ながら顔をひきつらせる。
「せ、せんせー、コツとかってないんですかね?」
「念じるだけだと言っただろ。集中しろ」
そう言って先生は何処かへと行ってしまった。冷たいよ、先生と思いながら加奈は目を瞑り、集中して取り組むことにした。
処分なんてされたら堪らないな。そう思いながら。




