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かな

残酷シーンが入ります。苦手な方、嫌いな方は先に進まないで下さい。

朝、加奈が起きると穴蔵に先生はいなかった。きっとアブリルの町へ行ったのだろう。そう思い、一人外で天狼の力を出す特訓をしようと加奈は穴蔵から出る。


「晴れだぁー」


外は気持ちいいほどの快晴だった。加奈は大きく伸びをして、朝の澄んだ空気を吸う。もしかしたら先生は散歩に行ったのかもしれない、そう思えるほどの天気の良さだった。加奈はこのままぼけーっとしていたい気分に囚われた。


「……はっ!駄目だ駄目だ。特訓しないとー」


そして加奈は一人特訓に入るのであった。

犬耳尻尾を出して、目を瞑り神経を集中させる。人間の方の耳には先生に貰った耳せんをつけるのも忘れない。


静寂が辺りを満たす。少しお腹が減っているが気にしない。自分の中にあるのだろう『天狼の力』を感じようとする。天狼の力、狼の力、化け物の力。


ざわざわと、毛が逆立っていく感じがする。犬耳がいつもよりピンと立ち、尻尾の毛が膨らみ、左右にゆっくり揺れる。全身が緊張しているのが分かる。静寂の中、今までは聞こえてこなかった鳥のさえずりが聞こえた。川に流れる水の微かな音がする。風が森の木々を揺らすざわめきが聞こえる。その風が体を吹き抜けて行く。



何かが掴めそうな気がしたその時、背後に視線を感じた。先生かな、と思い振り向くと、体に何かが当たる衝撃があり、その衝撃により加奈は吹っ飛ばされてしまう。吹っ飛ばされた先、木に背中からぶつかり息を詰まらせる。


「……っ!」


急な展開に頭がついていけなかった。膝をつき、体を折り曲げ傷みに耐える。何かが体にぶつかり吹っ飛ばされたのだが、その『何か』は見えなかった。突然、気持ち悪さが込み上げてくる。


「げほっ……!」


血を吐く。自分でもびっくりしてしまう。これが吐血と言うものだろうかと、事態についていってない頭で考える。口元を手で覆う。体の節々がまた痛くなる。初めての体験に、知らず体が震える。何が起きたのか全くわからない。


傷みに耐え、頭の回らない俯く加奈の視界に黒い布が入ってくる。と思ったら、今度は横にふっ飛ばされた。今度は蹴られたのだろう事が分かった。地面に擦れながら滑り続け、しばらくしてから止まる。先程よりも強い傷みに襲われ、起き上がることが出来なかった。体のどこが痛いのかもわからない。目が霞み意識が遠退きそうになる。



足音が近付く。

霞む目でなんとか見ようとするがやはり加奈の体は動かなかった。


このまま死ぬのかな?


何が起きたのかわからない状況のまま、その事だけを思う。突然、見知らぬ誰かに攻撃され、人生初の吐血をして苦しんでる所を、追い討ちをかける様に蹴りを入れられ吹っ飛ばされ全身が痛くて動けず、ついでに目も霞んでよく見えない。


最悪のバッドエンディング。笑いが込み上げてくるが笑えない。


足音が止まる。服を掴まれ起き上がされる。そのまま首を掴まれ木に叩きつけられる。


「……っがはぁ!」


口からまた血が出て口端をつたる。首を掴まれたままなので、息がさらに苦しくなる。満身創痍とはこの事を言うのだろうか。体が動かない。意識も限界。目も霞む。目の前にいるのは人だろう事だけは薄れていく意識の中、分かった。



女の子に酷い仕打ちだなーこの人、なんて最後に思った。



そして加奈は意識を手放した。

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