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不運の集大成で死んだら、悪神のミスで絶対死なない豪運おもちゃにジョブチェンジしました  作者: 社会不適合者
聖剣エクスカリバー編

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第七十九話 懐かしのギルド

「大丈夫だった?ハジメ」

 ニブル城に着いた俺たちをラグナロクが小走りに駆け寄ってきて心配そうにしている。

 俺の顔と言っても口周り、とお腹周りを入念にチェックしてくる。


「……作戦失敗」

 俺は力なくそう言った。


「……力及ばずです」

 アリスも同じく憔悴している。

 ラグナロクは頭にハテナを浮かべて俺とアリスを交互に見ている。


「なぁ、今日の夕飯もまた行こうぜ!なっ?なっ?」

「それは主の許可を得ないとわからんなぁ」

 マサルとエクスカリバーの満足そうな声が聞こえてくる。

 エクスカリバーは俺の肩口からマサルたちを見ている。

 俺はラグナロクが何もいずに無言でいることに疑問を感じ、ラグナロクの顔を見ると、初めてラグナロクが驚いて言葉を失う表情をしていた。


「美味しかった、の……?」

 前に行ったとき、ラグナロクは一口でお腹いっぱいと撤退したサラダを、バリバリと平らげていたマサルたちを見て、なぜ無事なのかという表情だ。


「おお!あんたのご主人さまほんと最高な飯屋知ってるな!感謝しかないわ」

 マサルの明るい声が城のホールに響く。


「……ハジメ。この人たちと関わるのやめよ?きっとまともじゃないよ……」

 それは俺も同意なんだけど、うちのエクスカリバーもなんだよ。


「ラグちゃん。あいつらをまっすぐ見るな。俺たちの常識が崩れる」

「ラグちゃんさん。あれは新種の生命体です。私たちでは理解が及びません」

 すると、俺たちの後ろからエクスカリバーが声をかけてくる。


「我が主よ。済まぬのだが、もし出発が明日であるなら、夕食はランスロットとその主とともに、先ほどの店にまた行ってきてもいいだろうか?別行動になりすまないのだが」

 エクスカリバーのその言葉を聞き、さらに目を見開いていた。


「ほら、常識の崩れる音がするだろ?」

 俺はラグナロクにそう問いかけると、ラグナロクは宇宙人でも見たような顔で小さく頷いた。


「好きにしてください。ハジメ様、よろしいでしょうか?」

「よろしいです。好きにさせてあげてください」

 敬語になっちゃうよ。


「ありがたき幸せ!やったぞ!またあの店に赴けるとは、出発前の景気づけとして最高である!」

 エクスカリバーとマサルとランスロットはキャッキャしてはしゃいでいる。


「ハジメ!あんなに美味い店なんだし、一緒にいくよな?」

「あーーーー。えーっとその。俺はいいかな?だよなアリス?」

「私ですか!?そ、そうですね。私たちはお城で食事しようかと思います」

「なんだよ、せっかく一緒に行けると思ったのに」

「兄ちゃん、俺も遠慮しておこう……かな?」

「ノボルもか!?」

 俺たちは巻き込まれないように必死の抵抗をする。


「そう!俺も、アリスも、ノボルも王様と話さなきゃいけないことあんだよ!今後とか明日のこととかそういう大事なやつ」

 俺の機転でアリスとノボルが救われたという顔をする。


「なら仕方ねぇなぁ。俺たちだけで行くか」

 そういって人外チームは何時ごろ行く?という旅行の予定でも立てるような気軽さで夕食の話し合いを始めた。


「じゃ、じゃあしばらく別行動して、明日の朝ここに支度して集合な」

 俺はいち早く人外チームから離れるべく、そういった。


「りょうかーい。それまで観光でもするかぁ。どこか案内してくれよ」

 マサルはエクスカリバーの胸を叩き言う。


「すまんが私もここに来るのは初めてである。なので案内はできぬな」

「そっか。じゃぁ探検だな!」

 マサルは踵を返して今着いたばかりの城を出て行った。

 エクスカリバーはこちらを見て、行ってきてもいいだろうか?という顔をしている。

 俺は手でOKとサインを送ると、エクスカリバーは深めに頭を下げてマサルと城を出て行った。

 よし、これで二次被害は防いだな。


「ハジメさん。兄ちゃんも出て行ったので聞けるのですが、あれ、美味しくないですよね?」

「おいしくないな。誤算だった」

「……ということは、あれはやっぱり兄ちゃんに向けた……?」

「そのつもりだったんだけど、なぜかノボルに当たっちまった。悪いな」

「俺はいいんですけど……。兄ちゃんにその手のやつは通用しないんです」

 なん、だと?


「兄ちゃん、地球にいるときも腐ったものですらものともしない人で……。両親は、鉄の胃を持ってるんじゃないかって言ってました」

 それ、早くいってほしいよね。

 そもそも、仕掛けたタイミングでこっちの負け確定じゃん。


「ハジメ様。素直に負けを認めましょう」

「そうだな。とはいえ、次こそは」

「ハジメさん、それならこういうのはどうですか?」

 まさかのノボルの援軍である。

 今まで猫耳カチューシャをつけられたりしてきたことの仕返しぐらいはしてやろうというものらしい。

 俺たちはノボルの進言を聞きつつ、いつか実行することを心に誓った。


「ハジメ。仕返しはそのうちしたらいいと思うけど、そもそも明日ラグたちはどこに行くの?」

「そりゃ、エク君の奥さんに会いに行くんだろ?」

「でも場所わからないよ?」

「あっ……」 

 それぐらいはエクスカリバーに聞いてから行かせるべきだったと少し後悔する。


「困りましたね。エク君も今いないし、明日聞けば済む話ですが準備しにくいですね」

「そうだなぁ。そういえば、ラグちゃんギルドに行きたいって言ってたよな?」

「行きたいね」

 髪飾りでエルマに煽りをかましに行くと言っていたはずだ。

 ギルドで聞けば多少なり情報が手に入るんじゃないか?


「じゃぁギルドで聞いてみようぜ」

 俺たちは久しぶりにギルドに行くことにした。

 結局俺たちも城から出るんか。

 ギルドについて俺たちは辺りを見回すと、懐かしい、お役所感満載なギルドで少し安心感を覚えた。

 一番窓口の受付に行くと、エルマがけだるそうに冒険者たちの相手をしていた。

 俺たちを見つけたエルマが他の冒険者を押しのけて俺たちに駆け寄ってくる。


「ハジメ様!お久しぶりです!ヴァルに向かわれて以来でもう何年も会えなかったような気分ですよ!」

 するとラグナロクが俺の背中越しにエルマに掌をぐっと突き出した。


「エルマ久しぶり。妻のラグナロクです」

「妻のアリスです」

 二人が同時に言い出す。

 わざと距離を置くような敬語がエルマに刺さるうえに、ラグナロクが流暢に話せるようになったことでさらに攻撃力は増している。

 エルマはぽかんとしているが、ラグナロクは止まらない。

 突き出していた掌を引っ込めて、自身の頭の菫の髪飾りを指さす。


「エンゲージ髪飾り。わかるよね?」

 ラグナロク。そんな言葉は存在しません。

 アリスもちらちらとエルマに視線を送りながらわざと髪をかき上げて、翡翠のイヤリングが見えるようにしている。

 こいつら……。


「ハジメ様?もうご結婚を?」

「いや、まだだけど、時期見て結婚するかな」

「そ、そんな……。食事に誘ったのに、お返事すらいただけてないのに……」

 エルマは心底落ち込んでいて、ラグナロクは満足そうな表情だ。

 アリスもさりげなくにやにやしているところを見ると、俺の影響かだいぶ性格がねじ曲がってしまっているようだ。

 近いうちに再教育が必要だな。


「もう、いいですよ。いい男なんてそこら中にいますもーーーん!!!」 

 エルマはそのまま受付に走って戻ってしまった。

 なんか俺が悪いことしたみたいになってるけど、俺じゃないからね?

 そこに、聞きなれた声がする。


「生きてやがったか、小僧」

「また小僧呼びかよ、オッサン」

 懐かしいルードの声がした。

 俺たちはお互いに目を合わせ、二ヤッと笑うと懐かしむように握手を交わした。


「で、帰ってきてここにいるってことは、魔族問題は何とかなったんだな?ハジメ」

「それはもちろん。それで、紹介するけどこちらが魔王様です」

 俺はそういってついてきているノボルを紹介した。


「今、なんて?」

「だから魔王様だって」

「おっ?あ、なんだか眩暈が……」

 ルードはそういって酒も飲んでいないのに千鳥足になった。


「ちょっとついてこい」

 そういって千鳥足のルードに連れられ俺たちは奥の部屋へと連れていかれた。

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