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不運の集大成で死んだら、悪神のミスで絶対死なない豪運おもちゃにジョブチェンジしました  作者: 社会不適合者
素敵な生卵編

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第三十九話 観客のアイツ

 翌朝俺たちは闘技場での開始説明を受けていた。

 ルール説明とトーナメント表の発表。

 場外と相手を殺害した場合は失格となるとのことだった。

 これで、ラグちゃんが本当の意味でキリングマシーンにならないのはありがたい。

 命の重さが極端に軽いこの世界だと、少し珍しい禁止事項なのかもしれない。

 トーナメント表は、ラグナロクとアリスが反対の場所に配置されており、アルマが手を回したなと想像できた。


「ラグちゃんさん。Bブロックの決勝までいけばお相手いただけます。先日ご指導いただいたこと、お返ししますので期待しててください」

「楽しみにしてる。でも。その前にアリスが負けたらそれで終わり」

「縁起でもないこと言わないでください!!」

 実際、ラグナロクはいいとして、アリスはちょっと微妙な部分ではある。

 Sランク冒険者と言えど、単体の強さで上回る人間は多数いるだろう。

 この世界のどこか現実っぽい部分だろうな。

 Sランクはこれまでの実績や、貢献度によっては実力を覆して得ることができる称号のようなものだから、Sランク冒険者が必ずしも最強というわけでもないのだ。

 

「まぁ二人とも。怪我しないように気を付けて、是非俺に卵を持ってきてくれ」

 あれ、これ、すごい情けない上に小物感がすごいセリフだな。


「ラグに任せて。ハジメは観客席で見ててくれればいい」

「お、おう」

「ハジメ様、わたしもぉ……」

「もちろんアリスも、まぁ、なんだ。怪我だけしなければいいから」

「なんか私だけ期待値低くありませんか!?」

 二人の、というかアリスの緊張もほぐしたところで、俺は観客席に移動することにした。

 会場は人がごった返しており、誰かにぶつかってしまいそうなほどの盛り上がりになっている。


 ドンッ!


 俺は右肩が人にぶつかってしまったようだった。

 ほんと、この都市の人はこのイベントが好きなんだろうなぁ。

 これだけ人が多ければ当たってしまうこともあるか。

 俺はぶつかってしまった相手に向き直って少し頭を下げた。


「すいません。大丈夫ですか?」

「……あれは、確実に、異物。回……収の必要、がある……。対象を、特定及び、確定」

 なんか変な人にぶつかってしまったようだ。

 その人はこちらに反応することも無く、俺とは反対の階段から観客席に歩いて行ってしまった。


「それではBブロック第一試合を開始します!!第一試合はゴスロリの美人!ラグちゃんだぁああああ!!!」

「やべ。俺も急がないと」

 実況の声にそれまでのことから意識を放され、俺は観客席に急いだ。

 ラグナロク、登録名までラグちゃんなのね。

 急いで観客席に走ると、空いている席はほとんどなく、何とか一席空いているのを見つけてそこに俺は滑り込んだ。

 ちょうど試合が始まる直前のようだった。

 相手は、ラグナロクが見上げるほどの長身の男だった。

 さてどうなるものやら。

 ギリギリで席に着いたから相手の名前とかは聞けなかったけど、試合は見逃さずに済みそうだ。


「それでは、お互い殺害と場外以外のルール違反はしないように」

 ラグナロクと対戦相手が小さくうなずく。


「それでは、開始!」

 実況の号令で試合が開始された。

 少しラグナロクの様子がおかしい気がする。

 ラグナロクは左手の手のひらを口に当てて、何かをこらえているように見える。

 ……あいつ、欠伸我慢してやがる……。

 俺より、それを気にしたのは当然ながら相手だったようだ。

 明らかに怒ってる……。

 ここからは声は聞こえないが、何か叫んでいるようだ。

 そりゃ自分よりも小柄な女性が、対戦相手の自身を眼中にありませんという態度だったら怒るわなぁ。


「ラグちゃん!ちゃんとやれ~~~~!!」

 おいおい、観客から野次が飛び始めちゃったよ。

 その声もラグナロクは聞こえませんというそぶりで、今度は両手で耳を塞ぐ仕草をした。

 対戦相手は我慢の限界だったらしい。

 目でギリギリ追えるかという速度でラグナロクに特攻して、その手の剣を突きの状態でまっすぐにラグナロクに襲い掛かった。

 のだが……。


「あちゃぁ……」

 つい俺の声が漏れてしまう。

 そのまっすぐ突き出された剣の切っ先をラグナロクは右手の人差し指と親指でつまんで、受け止めているのである。

 そりゃ、なんとなくわかってはいたけどさ。

 まぁこれはもう見守るとかはいらなそうだな。

 俺はそう思って観客席に目を向けると、目を引く二人がいることに気づいた。

 一人はさっき俺がぶつかった人。

 明らかに異様な雰囲気を発している。

 目深に被ったフードと、全身が隠れるほど長いローブ。

 これが不審者じゃなければなんだというのか。

 もう一人は、気づきたくなかったが、どこかの魔王の兄貴ということらしい、馬鹿勇者だ……。

 ラグナロクが出場することを知らなかったのだろう。

 明らかに顔を青くしてみているのが見える。

 偶然か、不審者、勇者、俺は全員が東西南北のうち、東西南に分かれて座っているからこのことに気付いているのは俺だけだろう。

 すると、会場がいきなり歓声に包まれた。

 俺はまさかラグナロクが殺害を!?とラグナロクに目を向けたタイミングで実況が入った。


「も、持ち上げています!!!その華奢な体のどこにそんな力があるのかという状況です!!!」

 ラグナロクは人差し指と親指で剣をつまんだまま対戦相手ごと持ち上げ、頭上に掲げているのである。


「お、おおう。ラグちゃん今日はそっちの意味でパワーファイターですか」

 ラグナロクはそのまま対戦相手を場外に放り投げ、自身の勝利を確定させ、勝手に会場から出て行った。

 うん。

 これもう応援とかいいや。

 俺はこの後アリスについていることにしよう。

 気になる二人もいるけど、まぁいいか。

 俺は、控室のアリスのもとへ移動することにした。

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