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不運の集大成で死んだら、悪神のミスで絶対死なない豪運おもちゃにジョブチェンジしました  作者: 社会不適合者
素敵な生卵編

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第三十五話 ロキの助言とお詫び

 支度を整えた俺達は、ヴァルに向けて出発することとなった。

 シャワーを浴びて身奇麗になったアリスにヴァルに行くとだけは伝えたけど、そもそもなぜヴァルに行くのかや、何をしに行くのかなどは何一つ説明していなかった。

 それでいて、特になにも聞き出して来ようとせずついてくるアリスってすごいなと思ってしまう俺だった。


「ハジメ様。ヴァルへは先日のミッドを超えていきますので、まずはゲートです。冒険者ギルドに行きましょう」

「そうらしいな。ヴァルって武闘が有名な都市って聞いたけどそんなに盛り上がってるのか?」

「盛り上がりはすごいですよ!毎月開催される武闘大会は年の名物になっていますね」

「そんなにか」

 こりゃやろうと思ったら毎月武闘大会にラグナロクを送り込んで、生卵を乱獲できるんじゃないか?


「ハジメ様なんだか悪い顔をしてますが、何を考えています?」

 おっと、顔に出ていたか。


「いやいや、大したことは考えてないよ。武闘大会ってのを見てみたいなぁってぐらいだって」

 俺の目的は生卵を手に入れることなんだけど、日本人の感覚からしてではあるけど、生卵に目を血走らせて欲望全開ってのはなんか見せたくない……。

 この世界だと高級品だから間違いではないんだけどな。

 俺達は冒険者ギルドに到着すると、エルマさんとルードに軽く挨拶して、ゲートを通ることにした。


「じゃあ、ルード俺達行ってくるから、動きあったら連絡くれな」

「そのへんは任せとけ。まぁちょっとした休暇ぐらいの感覚で体躱してこいや」

「そうするよ」

 休暇?

 いやいや、とんでもない。

 こっちは、卵ハンターとして命かける覚悟なんだわ。

 戦うのはラグちゃんだけどさ。

 俺達はゲートを通ると、あのミートパテ事件のあったミッドに到着した。

 場所もここから一日程度って言ってたから、うまくすれば今日中の到着もあり得るな。


『ハジメ。聞こえる?』

「おいおい、お前がそんな落ち着いたトーンで話かけてくるなんて珍しいな」

『うるさいわよ。今日は要件があって声をかけたのよ』

「要件?また変なことさせんじゃないだろうな?」

 こいつが言う要件なんてろくなことじゃないのは明白なのだが、聞いておくべきか、無視するべきか。


『あんた今無視しようかとか考えたでしょ』

 俺の心の中は聞こえちゃうんだったわ。


「ハジメ様、ロキ様からのお声が届いてるのですか?」

「そうなんだよ。なんか今回は要件があるって」

「さすが御遣い様ですね。きっと天啓に違いありません!!」

 どうだかな。


「ハジメ。ロキ姉さまがまた何言ってきてるの?メッ。する?」

「せんでいい、せんでいい!あれ、頭に腕突っ込まれるし、気持ち悪いんだよ」

「そう。必要だったら言ってね」

 必要にならないことを祈ろう。


『で、要件だけど、あんたにちょっかいかけて来てラグナロクをポキっとやった挙句に、その娘にボッコボコにされたヤツ覚えてる?」

 なんて的確でひどい言い方だ。

 俺がこんな言われ方したら泣いちゃうね。


「そりゃ覚えてるさ。ラグナロクを折ってくれたおかげで、この通り綺麗なヤンデレが俺にへばりつくことになったんだからな」

『それについては、あんたが折ったんだから自業自得でしょうが。その勇者だけど、あんたが狙ってる卵の大会に出てくるわよ』

「何だそりゃ!?なんで勇者が大会出て生卵狙ってくんだよ!?まさか、俺が卵ハンターなのを見越して嫌がらせのために……」

『んなわけないでしょうが。魔王からの指示で出場になったらしいわよ』

「魔王はそんなに生卵愛があるやつなのか」

 もしかしたら、魔王も日本出身とかじゃねーのか?

 ……いや。流石にそれはないか。

 でも、この世界かなりの日本人が流入してたみたいだから、ない話でもないか。


『少なくとも、あんたがその娘を戦わせようとしているのはわかるけど、必ず絡んでくるわ。今度は気をつけることね』

「気をつけるって言ってもなぁ。仮にラグちゃんとかち合っても、前回ボッコボコのボコなわけじゃん?負けるわけないっしょ」

『忘れんじゃないわよ。その娘は基本的に聖属性の攻撃食らったら特攻になっちゃうんだから、その娘と勇者の相性は本来最悪なのよ』

「確かに。そういうのもあったな。なぁラグちゃん」

「なに?」

 俺の左頬のにピタっと自身の右頬をつけてラグナロクが反応する。

 俺の反応が薄いって?

 人形になってからずっとこうなんだよ。慣れたわ。


「あのラグちゃんがボコった勇者いたよね」

「いた」

「また戦って、聖属性の攻撃されたらラグちゃんもきつい?」

「勇者は弱いから大丈夫。でも聖属性はいや」

 本当に特攻になるのか。


「戦うと危ない?」

「あのときの勇者のままなら、絶対負けない」

「成長してたら?」

「辛いけど、殺す」

「ラグちゃん、そこは倒すとかやっつけるとか言おうね」

「うんわかった。絶対殺す」

 絶対殺すマンになっちゃだめなのよ。


「ロキ、うちのラグちゃんはこう言ってるけど?」

『なぁにがうちのラグちゃんよ。しっかり飼い主になってるじゃない』

 飼い主とは心外だな。


『ラグナロクはそう言ってるけど、厳しいことに変わりはないわ。火が水に弱く水が電気に弱いのと同じでそもそもの相性なんだから』

「そりゃまぁ、そうだわな。さんきゅ。ひとまず感謝して用心しとくわ」

『それがいいわね。それと、一応だけど、この間のお詫びも兼ねて、商品の卵だけど、イイヤツに変えておいたわ』

「イイヤツだと?それってのは、高級なやつってことか!?」

 何だこの悪魔幼女、流石に前回のは自分が悪かったと自覚したか!?


『そうよ。大きいやつにしておいたから、もともとのやつより高級かと言われれば確かに高級ね』

 大きやつ?一気に不安になったぞ。

 それはあれか?ダチョウの卵みたいなそういうデカイやつなのか?

 それとも、この異世界ならではのドラゴンとかコカトリスとかの超巨大卵なのか?

 そんなんで、卵かけご飯はできるのか?


「アリス、この世界の卵ってどんなサイズ?」

「サイズですか?……そうですねぇ。このくらいでしょうか?」

 アリスは両手で大きな丸を作った。

 なるほどね、これがこの世界基準か。

 にしてもでけーな。

 そんでもって、更にデカイヤツに切り替えたと?


「お前またなんか企んでんじゃないだろうな?」

『……さぁね』

「ちゃんと答えろよ」

『うるさいわね。いいじゃない。こっちが気を遣ってあげてるんだから』

 開き直りやがったよ。


『ハジメ様?いま姉上から声かけられてますか?』

 おやおやヘルさんじゃないのさ。


「ちょうど来てますよ。一緒じゃないんですか?」

『姉上から荷物運びをさせられてまして、もし今会話されているのでしたら、姉上に、黒い方を運んで、白い方を捨てて置きましたと伝えてください』

「わかりました。黒い方を運んで、白い方を捨てたですね」

『そうです。よろしくお願いします!』

 そう言ってヘルは消えていった。


「ロキよ」

『なによ。なんか文句あんの?』

 まだ何も言っておらんだろうが。


「いまヘルさんから連絡きて、黒い方を運んで、白い方を捨てたって伝えてくれってさ」

『え?白い方を捨てた?えっそんなはずないわ!?渡したメモの内容には白を運べって……ひゃぁああああ』

 どうやら逆の方を記載したメモを渡したらしい。

 てかPCとかあったのに、指示はメモなのね。

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