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不運の集大成で死んだら、悪神のミスで絶対死なない豪運おもちゃにジョブチェンジしました  作者: 社会不適合者
素敵な生卵編

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第三十四話 ラグちゃんの指導

「アリス。あの時勇者の何が強かった?」

 唐突に話し出したのはラグナロクだった。


「そうですね。こちらの剣が手元にある間はよかったのですが、剣が弾き飛ばされた後でした。相手の剣に対してこちらの攻撃手段がなくなったことで、魔法攻撃に切り替えましたが発動までの間に攻め切られてしまいました」

「そう。アリスは間違っている」

「私、なにか間違っていましたか?」

 アリスはいまいち理解できないという顔をしていた。


「間違ってる。剣、魔法ともう一つ攻撃手段が必要」

「もう一つですか……」

 なんだか先が見えないでもないが一旦静観しておこう。


「そう。実際に見た方が早い。アリスが次また負けるとハジメが危ないから教える」

 ラグちゃんそういう火に油注ぐのやめようね。

 それとお前さっきは休んだ方がいいとか言ってなかった?


「また、負ける……?ハジメ様が危ない……?……いいでしょう!!そのご指導ぜひお願いいたします!!!」

 ほら見ろ。

 せっかく落ち着かせたのにアリスが燃え始めちゃったじゃねーか。

 もう知らんぞ俺は。


「まず、あの時と同じにする」

 ラグナロクは落ちている剣を拾うと、アリスの足の重りをいとも簡単に破壊した。

 確かに、元が剣だけあって扱いは上手いようだ。


「アリス。好きに魔法をラグに当てて。当てられないと思うけどね」

 ピキっとアリスの額から音が聞こえてくる、気がした。

 明らかにアリスからはピリピリした空気が伝わってくる。


「しりませんよ。そのお召し物ごとボロボロにして差し上げます」

 アリスは一瞬に火の塊をラグナロクに放った。

 初級中級は詠唱要らないってのは本当だったんだな。

 それに、あれだけトレーニングしてたのにこんなに動けちゃうアリスもアリスなんだけどさ。


「こんなの当たる方が難しい」

 そういってシースルーのゴスロリをひらひらとさせながら全ての魔法を躱している。

 そのうちいくつかは剣で撃ち落としている。

 まるで踊っているような感じだった。

 そのまま躱す動きは止めずに距離をずんずん詰めていく。


「くっ、当たれ!当たれ!当たれ!!!」

 アリスの魔法はさらに加速して放たれるものの、俺から見ても直線的過ぎて狙っているところが丸わかりだ。

 なるほど、そのためにラグナロクは煽って意識をいっぱいいっぱいにさせたな?

 ラグナロクは最後の魔法を剣で弾くと一気に間合いを詰めてアリスに切りかかった。

 おいちょっとそれはやばいって!!


「はぁ。はぁ。はぁ」

 アリスの荒い息遣いだけが聞こえる。

 ラグナロクは息をしているのかすら静かだ。

 アリスの鼻先に切っ先が向けられ寸止めされていた。


「わかった?アリスの魔法遅すぎて当たらないし、心が乱れすぎて直線的過ぎて弱い」

 心乱れすぎとか言ってるけど、お前が勇者ボコってるときなんて乱れるとかいうレベルじゃなかったからな?


「それが、どうしたって、はぁはぁ、言うんですか……」

 まだ息が整わないアリスの目の前にラグナロクは剣を地面に突き刺した。


「だからこれを使う」

 そういってラグナロクは自分の右手を握りこぶしにして、左手でその握りこぶしを指さしている


「私に体術を使えと言うのですか?」

「違う。使うのは暴力」

 暴力!?

 先生!この人おかしいこと言ってます!!


「剣が振り下ろされる。魔法は遅い。その時はここにコレを差し込む」

 ラグナロクは右手の拳を少し振ると、左手で自身の左わき腹を指さしてツンツンとしている。

 あ、あの時のボディフックか。

 結局それがきっかけになって勇者はボッコボコのボコにされたんだよな。


「それが体術と何がちがうのですか?」

 そりゃそうだね。

 どう考えても拳でいくなら体術だもんね。

 どっちかというと武闘家の領分だものね。


「技術いらない。練習いらない。必要なのは、ハジメを守る気持ちと、相手を確実に殺す気持ちだけ」

 後半怖いな。

 ラグナロクは右拳を数回フックでスイングしている。

 あれ、これボクシング漫画だっけ?


「要は気持ちの問題ってことですか……」

「そう。アリスは気持ちが弱い。勇者に負けたのは体がついてこなかったんじゃない。心が折れたから」

 ラグちゃんそうやって人の傷口に塩塗るのはよくないよ。


「いいでしょう。ラグちゃんさんの右わき腹砕いて差し上げます」

 アリスもすぐ挑発に乗っちゃうんだから。

 その後ラグナロクは剣、アリスは拳というどう考えてもおかしい戦闘修行が続いた。

 何度も空振りに終わるのだが、その中でも数回はラグナロクの右脇を捉えていた。

 そのたびにラグナロクは左手でいなしていたけど……。

 ほんとラグちゃん完全に見た目に反する武闘派だよね。


「そう。それでいい。さっきの無い拳じゃ意味ない」

「こう!です!か!!!」

「違う。今のはだめ」

「どうしろと!!言うんですか!!!」

「そうそれならいい。

 俺どんな気持ちでこれ見てればいいのよ。

 一時間ほどラグナロク先生のスパルタ修行が終わり、完全にアリスは力尽きていた。


「これなら大丈夫。ちょっとだけ強くなった」

 そういうとラグナロクは静かに地面に剣を置き、また俺の背名という定位置に戻った。

 アリスは息も絶え絶えで地面に倒れているが、今日一の笑顔で俺の方を向いて言う。


「では、ハジメ様。旅に行くのですよね!?今すぐ出発しましょう!!」

 ちょっと怖いんだけど。

 全身から汗噴き出して土埃でドロドロの美女がキラキラした顔で言ったらちょっと引くって。


「アリス」

「はい?」

「まずはシャワー浴びて汗流してきなさい。出発はそれから」

「し、失礼しましたぁぁぁあああ」

 ほんとに今までの状況からどこにそんな体力残ってるの?という速度で立ち上がると、一目散に訓練場を出て行った。

 

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