表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
左遷された辺境ギルド長は、戦わないのに最強でした  作者: アズマユージ
第二章 古代防衛機構編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/94

第八十四話 点と線

 足早に施設へ戻った一行の前にあったのは、安定を取り戻した表示パネルだった。


 先ほどまで警告色に染まっていた表示は消え去り。


 代わりに青色のインジケーターが規則正しく点滅している。


「おっ?」


 マックスが思わず声を上げた。


「なんか良さそうじゃねえか」


 その前にある制御端末へ、イリスが駆け寄る。


 淡い光が端末表面を走り、古代文字が次々と浮かび上がった。


 細い指が迷いなく操作を続ける。


 数秒後。


 イリスが振り返った。


「非常冷却設備、正常動作を確認」


「炉心温度、低下中」


 一同の肩から力が抜けた。


「つまり、助かったってことか?」


 マックスが念を押すように尋ねる。


「はい」


 イリスは頷いた。


「当面の危機は回避されました」


「よっしゃあ!」


 マックスが拳を突き上げる。


 ヴァレリアも小さく息を吐いた。


 エルナはその場にへたり込みそうになり、リリアに支えられる。


「よ、良かったぁ……」


「本当に……」


 張り詰めていた空気がようやく緩む。


 しかし。


「ただし」


 イリスの一言で、再び全員の視線が集まった。


「現在の状態は、あくまで仮復旧です」


「仮復旧?」


 カイが問い返す。


「本来の施設機能は回復していません」


「非常冷却設備による応急処置です」


 端末には依然として複数の警告表示が残っていた。


 青くなった表示もあるが、多くは停止状態のままだ。


「なんだよ、それ」


 マックスが頭を掻く。


「助かったんじゃないのか?」


「助かりました」


 イリスは即答した。


「ですが、問題が解決したわけではありません」


 その言葉を聞きながら、カイは端末を見つめていた。


 そして。


「そうか」


 小さく呟く。


「これではっきりした」


「何がだ?」


 マックスが首を傾げる。


 カイは腕を組んだ。


「古代遺跡群は、すべて繋がっている」


 一同が顔を上げる。


「塔」


「観測所」


「そして精製所」


「今までは別々の遺跡だと思っていた」


「だが違う」


「最初から一つの仕組みとして造られていたんだ」


 イリスが静かに頷いた。


「その通りです」


 短い返答だった。


 だが、それで十分だった。


 カイの推測が正しいことを示している。


「つまり?」


 マックスが尋ねる。


 カイは苦笑した。


「全てを復旧しない限り、根本的な解決にはならないってことだ」


「今やったのは応急処置に過ぎない」


「なるほどねぇ……」


 マックスは頭を抱えた。


 せっかく終わったと思ったのに。


 どうやら話はまだ始まったばかりらしい。


 その時。


 イリスが再び端末を操作した。


 画面に、新たな情報が表示される。


「古代遺跡群と呼ばれている施設は、あと四つあります」


 一同が固まった。


「……は?」


 最初に反応したのはマックスだった。


「まだそんなにあるのか!?」


「はい」


 イリスは淡々と答える。


「場所だけは分かります」


「ですが、記録の大半が失われているため、施設の用途までは判別できません」


 カイは思わず苦笑した。


 ようやく危機を脱したと思った矢先に、次の課題である。


 だが不思議と嫌な気はしなかった。


 むしろ。


 散らばっていた謎が、少しずつ形を持ち始めている。


 塔。


 観測所。


 精製所。


 そして今回の施設。


 それらは無関係な遺跡ではなかった。


 一つの巨大な仕組みの断片だったのだ。


 点だったものが、線として繋がり始めている。


「時間がありません」


 イリスが告げる。


「早急な調査を推奨します」


 カイは頷いた。


「ああ」


 そして仲間たちを見渡す。


「次の遺跡へ向かおう」


 マックスが大きくため息をつく。


「休む暇もねえな」


「まあな」


 カイは笑った。


「でも、ようやく見えてきた」


 何を作ろうとしていたのか。


 古代文明が、何を残したのか。


 その全貌が。


 まだ断片に過ぎない。


 それでも。


 彼らは確かに、その輪郭へと近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ