戦いのあとの恐怖
諸事情で長い間更新を空けてしまいました。
なるべく早く更新していくようにするのでこれからも読んでいただけると嬉しいです。
勝利の喜びを一通り終えたあとシュンたちは街に戻っていた。
街の前まで行くと戦いに参加することのなかった冒険者たちが守りを固めていた。
あまりにも早い帰還にスタンピードが発生しなかったかのかと、それぞれに疑問な顔を浮かべる冒険者たちに殲滅したと報告すると、まず何を言ったのか分からないという感じになり、シュンがもう一度言い驚愕の顔を浮かべたあと本当かと終始苦笑いを浮かべていたガストンに確認をし、ようやく信じたのか歓声をあげた。
冒険者たちの歓声は凄まじく、街の中で避難していた人たちもその声を聞きつけて何事かと飛んできて、勝利を伝えるとこれまたこちらにやってきて確認をしてくるのを頷くと喜びだし、凄まじい事となった。
喜びに狂う街の人たちは凄まじくシュンたちのおかげであると聞いた途端シュンたちに人が押し寄せた。
その中には冒険者も含まれていたりして、むさい男たちが主に押し寄せてきたのでシュンはゾッとして逃げ出そうとするが、人はクリス、シオリの方にも押し寄せていく。
恐怖の顔を浮かべるクリス、シオリを見て気を持ち直し、二人をむさい奴らに触らせるかと近づいてくる奴らをケガをしないようにしながらポイポイと放り投げていく。
やがて、クリスとシオリに近づくことを諦めた街の人たちはその矛先をシュンに向ける。
二人に向かってくる奴らには容赦をしなかったシュンだが、自分に向かってくる人たちを無碍にすることが出来ず、されるがままになる。
もみくちゃにされ、胴上げ(力の強いものを中心に上げてきたため高さ10メートルは超えるかというほど上げられた)を繰り返されて、恐怖を感じたシュンは胴上げから逃げ、気配を断ち命からがらという風に逃げ出す。
ガストンを見つけたシュンはどういう事だという風に詰め寄る。
「おい、どういう事だ?なんでこんなに盛り上がってるんだよ?あんなの胴上げって言わねえよ。怖えよ、魔物より怖いわ」
「早口で捲し上げるんじゃねえよ。てか、魔物より怖いは言い過ぎだろ」
ガストンは笑いながらそう言い、少し真面目な顔に戻したあと続ける。
「まあ、街の奴らがあんな風に盛り上がるのも仕方がない事だ。通常スタンピードはSランクが複数人で相手して抑えるものなんだ。それを俺たちだけで抑えたんだ。あの喜びを受け入れてやってくれ」
そう言われると受け入れるしかと思い仕方ない割り切るかともう見たくないと目をそらしていた人だかりに目を向ける。
「「シュンさーん(どのー)!!」」
人だかりのどこかから悲鳴じみた声が聞こえてくる。
多分クリスとシオリなのだがあの二人が悲鳴をあげて叫んでいるということに冷や汗が出てくる。
悲鳴は鮮明になっていき、一緒になってドタドタという足音が大きくなって聞こえてくる。
とりあえず仕方ないと思った人だかりから距離をとる。
すると、スポンとクリスとシオリが人混みから飛び出てくる。
二人は今にも泣きそうな顔になりながらこちらに少し怒りの表情を浮かべながら詰め寄ってきた。
「最初は私を守ってくれて優しい、カッコいいって思っていましたのになんで途中で居なくなってしまうんですか。酷い目にあったんですよ」
「そうでござるそうでござる。もうあんな人たちには会いたくないでござる」
二人はそんな風に俺に怒ってくる。しかし、カッコいいか、そんな風に思われると無意識に動いていたのだがよかったってもんだな。でも、俺が飛び出たあとになんかあったのだろうか?
そんな風に思っていると目の前の人混みから怪物たちが現れた。
いや、怪物ではなく普通の人なのだが思わずそう表現
してしまうような見た目なのだ。
さらっと胸のあたりの高さまで伸びた髪に口紅などの化粧が施された顔に胸元が見える服に足をよく見せるスカート、ただ素材が悪かった。胸元から見える胸はゴリゴリで胸毛が見えており、すらっとしているはずの足はバッキバキであり、厚化粧をしているにもかかわらず隠しきれていない男感。まさに化け物である。クリスとシオリが怯えるのも納得である。
そんな化け物が複数人でこちらにくねくねしながらやってくる。
「あらー、どうして逃げるのよ、もう。せっかくこの街で一番の旅館の女将の私とその部下たちがお礼におもてなししてあげようってのに逃げるなんて酷いじゃない。あら、あらあらあら、ちょっとーそこにいるお嬢さんを庇っている男は誰かしら。めちゃくちゃ私の好みじゃない」
化け物はそんなことを言いながら最早どう動いているのだというように高速にくねくねしながら高速でこちらに向かってくる。
ゾッとして思わず失神してしまいそうになるシュンにクリスとシオリがしがみつく。
「おい、クリス、シオリ離れてくれ。どうやら俺はアレにロックオンされてしまったらしい。頼む逃げさせてはくれないか」
「む、むむ、無理でござる。先ほどまでは拙者たちがアレに擦り寄られていたでござるよ。次はシュン殿でござる」
逃げさせはしないというシオリに同意するかのようにクリスもガシッと掴んでくる。
二人の胸が当たって、普段ならなんという状況と顔を赤くしていたであろうシュンであるが今は状況が状況である。
全く嬉しそうにしない、いや、もう逃げたいという思いだけが頭を駆け巡っており、胸が当たっていることに気づいていない。
そんなシュンについに化け物がタックルのように飛び込んできた。
もうぶつかるかというタイミングでクリスとシオリがシュンから離れる。
息のあった素晴らしい連携でシュンのみを犠牲にする。
涙を浮かべながらシュンから離れていく二人。
裏切り者ーと泣き叫ぶシュン。
シュンに抱きついた状態で「本当にいい男だわ、筋肉のつき方もいいし、もうあなた私と付き合わない?」という化け物。
ついにキレたシュンが
「こんなのは感謝じゃねえ、ただの罰ゲームだ。このクソッタレがーーーーー!!!!」
という虚しい叫びが歓声の鳴り止まない街の人たちの声をかき消し響いていった。
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