戦いのその後
正直やばかった。ドラゴンってこんな最初に戦う相手じゃないだろ。クリスの魔法がなかったら死んでいた。それに最後のとどめをなんとか俺が刺せたけど普通ならシオリが倒してた感じだったぞ。そしたら俺が何もしてないやつみたいになっていたからドラゴンの心臓部分の皮膚の厚さに感謝だな。
「なんとかなったな。ナナさんに薬草届かないといけないし薬草とったら急いで戻ろうか。いや、エルフがいるのを忘れてたな。どうする?」
「はい。それも大事なんですが1つお願いがあるんです。先程の魔法なんですが他言無用でお願いしたいんです。実はさっきの魔法は7つあるエルフの王族が伝承している魔法の1つなんです。父や兄が私を狙ったのはこういったことが無いようにってことなんですよね。もう見せてしまった以上忘れろとは言わないですが誰かに知られたらその人たちも狙われる可能性もありますし」
「わかったよ、そういうことなら言わないよ。ただ俺は神戯大戦の優勝を目指している。ということはいつかクリスにその7つの魔法全部教えてもらえるようにするつもりだから覚悟しておいてくれ」
「拙者はクリス殿が強いとわかっただけで満足でござる。いつかクリス殿ともお互いが本気の手合わせをしたいでござるな」
「ありがとうございます。ただ私もエルフとしての誇りとかもありますしそう簡単に手の内は見せないようにしたいと思いますよ。他の人に知られたりしたら大変ですから」
「わかったよ」
「わかったでござる」
「でだ、あのエルフたちはどうする?」
あのエルフたちも薬草を取りに来てただけだろうから別にクリスを狙ってきたわけではないだろう。
「私はあまり顔を見られてしまうとバレてしまう可能性があるのでもし起こすなら私は先に薬草を回収して離れて待ってますよ。起こさずに放置しても問題ないと思うのでシュンさんに任せます」
「拙者は難しいことはわからないので任せるでござる」
ふむ、2人から任されてしまったので真剣に考えるとしよう。このまま放置するとしてこれはまあ薬草さえ置いといてやれば問題ないだろう。なら起こした場合はどうだろう。まあ問題とすればドラゴンを倒したということで顔を知られてしまうということだ。だが逆に言えばここで顔を知られておくことで命の恩人という貸しを作れれば後々役に立つかもしれないよな。
よし、シオリと2人でエルフの人たちを起こすとしよう。
「俺とシオリで起こすからとりあえず薬草を集めよう。ドラゴンはどうする?これって空間魔法に入るのか?」
「一応入るのですがこれほどの量となるとマナの量が相当多くないとダメですよ。私でもこの大きさとなると今入ってる分も考えるとギリギリかもしれません」
「よし、なら俺に任せとけ」
そう言ってドラゴンに近づいて行く。とりあえず首から上の部分を集める。うーん上限というのがわからない。何か入らなくなるのに感覚とかあるのだろうか?まあそんな感覚があるなら体の方を回収したらわかるかもしれないな。
ドラゴンに触れて回収をする。すると空間魔法がなんとなく圧迫された感じがした。まだまだ入りそうな気もするがどうなんだろうか。回収も終わったので薬草を回収していたクリスたちの方に戻る。
クリスは唖然とした顔をしていた。こんな顔は初めていや2回目か。俺の魔法適性が6属性あると知った時もこんな顔をしていた気がする。
「まさか本当に回収してくるとは思いませんでした。顔部分を回収するだけでいっぱいになるんですよ。というか回収できないのが普通です。まああんなおかしい魔法適性ならありえるかもとは思っていましたがまあ流石ですと言っておきます」
「はは、まあ俺にそんな能力があるとしれて何よりだよ。じゃあそろそろエルフたちを起こしてもいいか?」
「はい、なら向こうで待ってます」
「拙者はどうしたらいいでござるか?」
「横に立っておいてくれれば後は俺がなんとかするよ」
「わかったでござる」
話も決まったのでエルフたちを起こしに行く。
「おい、起きろ。大丈夫か?」
「うっ、うん?うお、ドラゴンは?」
「ああ、ドラゴンなら倒したよ、あんたらも結構やられていたみたいだが大丈夫か?」
「お、おお、あんたそんなに強いのか。いや、助かったよ。ありがとう」
「そういやあんたたちはなんでこんなところにいたんだ?」
「ああ、俺ら商人なんだけどよ一応腕っぷしも自信があったから森が荒れてるのはわかってたんだが金欲しさに薬草を取りに来ちまったのが間違いだった。まさかドラゴンがいるなんて思ってなかった。死んだと覚悟したもんだよ」
「やっぱ薬草を取りに来てたのか。ならよかった。これは持っていってくれ。俺らの分はとってあるからもらってくれ」
「おお、あんたすげーいいやつだ、命の恩人な上にさらに恩を重ねてくるなんてもう感謝しきれねぇ。俺の名前はリュートだ。エルフと人族の関係は良好ってわけではないが交流はある、だからもし何かあったら俺らのことを頼ってくれ。絶対力になるよ」
思ってた以上の展開になっているが結果オーライだな。
「ああ、なら何かあったら頼るよ。俺の名前はシュンだ。よろしくな」
リュートたちとは別れを告げて向こうに行くのを待ってクリスと合流する。
合流した後は魔物たちも脅威となっていた存在が消えて混乱しているようだったので全速力でスルーして走っていった。
町に戻ってきた頃には夜になっていた。戻ってすぐに宿に行く。宿の前ではマナが心配そうに立っていた。
どうやら心配をかけてしまっていたようだ。
「マナ殿、約束通り薬草取ってきたでござる」
「よかった。遅いから何かあったのかと心配しちゃったよ」
「それで悪いんだけどこれからギルドに行かないといけないからこれをお母さんに飲ませてあげてくれないか?」
「わかりました。ありがとうございます。また今度お礼はさせてもらいます」
マナに十分な量の薬草を渡して、ドラゴンの報告をしにギルドへ向かう。
ギルドの中に入っていくとすぐにジューダスに声をかけられる。こいつまたここで飲んでいたのか、暇なのだろうか?クエスト受けれないから暇なのか。
軽く返事をして受付へと向かう。お姉さんがいたので声をかける。
「森の異常を引き起こしていた原因がわかったのとその原因を倒してきた」
「は?……もう一回言ってもらっていいですか?」
どうやら急ぎすぎでうまく伝わらなかったらしい。
「だから、森の異常を引き起こしていた原因とその原因を倒してきたと言っているんだよ」
「ハハハハハ、面白い冗談ですね」
「真剣に言っているんだがどうしたらいい?」
「えっ、本当に?えっ、じゃあ原因はなんだったんですか?」
「パルティア山の頂上にグリーンドラゴンがいた」
「ド、ドラ、ドラゴンですか。えっ、しかも倒したんですよね、いや、もう意味がわかりません。ちょっとギルドマスター呼んでくるので証拠とかありますか?」
「ドラゴンなら全部回収してきたからすぐに出せるよ」
「待っててください」
結構待つのかと思ったがギルドマスターとやらはすぐにやってきた。
「俺の名前はドラン。ここのギルドマスターだ。お前がドラゴン倒したって言っているやつか、ドラゴンを回収してきたって空間魔法か?」
「ああ、出したほうがいいか?」
「ああ、空間魔法に入る程度ならここで出しても問題ないだろう」
「いや、ここで出したら机とか下敷きになっちゃうから外の広場じゃないと危ないですよ」
ふと気づくがさっきまで騒いでいたギルドが静かになっている。どうやら話を聞かれてしまったらしい。
ドラゴンを出すために広場にやってきたがどこから広まったのか大量の人が集まっていた。この量この前の決闘よりも多いぞ。
「なら、その回収してきたドラゴンを出してくれないか」
そう言われたのでドンッと広場にドラゴンを出す。
周囲から悲鳴が上がる。まあこんなの急に現れたら準備はしていても怖いわな。
「はぐれにしたとしてもこの大きさはやばいぞ。普通Sランクの案件だ。お前あれだろこの前冒険者になったやつだろ。おかしいだろ。ドラゴンか、この素材はギルドでもらってもいいか?もちろんちゃんと金は払わしてもらう。それに森の異常も納めてくれたお礼もしなきゃいけねえ。すぐには用意できないが早急に用意させてもらう。今日はもう疲れただろうから解散してくれてもいいがまたギルドに来てくれ。このドラゴンはギルドで解体しておくよ」
なんかいろいろな情報を言われたせいで頭がパンクしそうだが話は信じてもらえたようだし悪いようにはならないだろう。
「おい兄ちゃん、やりやがったなぁ。この大きさのドラゴンなんて一生遊んで暮らせる金が手に入るぞ。それにこんなドラゴンを倒したとなると兄ちゃんたち一気に名前が知れ渡るぞ」
「まじか、でもSランク案件クリアできたんだ、Sランクの試験受けても合格できるだろう。これでまた神戯大戦に近づいたな」
「そうか兄ちゃん神戯大戦目指してるんだったな。まあそんなこといいよ、これから金が入るんだパァーッと一杯奢ってくれよ」
こいつなんてふてぶてしいのだろう。だがこういうノリはなんか冒険者っぽくていいな。視線でクリスたちに確認をする。2人も仕方ないという感じで頷いてくれた。
ギルドに戻って全員から歓迎されて騒ぎまくった。前世ならこんな経験絶対しなかっただろうな。こんな経験が出来たことはこの世界に連れてきてくれたティナに感謝しないといけないな。
そこから5日間は激動の日々だった。
ドラゴン討伐の翌日にはギルドがお金を用意していて感謝とともに金貨1000万枚が渡された。とりあえずこれは持っていると怖いのですぐに空間魔法で収納し、あとで3人で均等に分けた。
そのあとは宿で元気になったナナさんにめちゃくちゃ感謝されてその日の夜は宿でパーティーとなった。
その次の日はトレーニングをしてゆっくりして、次の日ギルドへ向かうと領主が呼んでいるということで領主の家へ向かうことになった。そこでまた感謝を伝えられ報酬を用意するのでなんでも言ってくれと言われた。今はないのでまた今度ということにして領主の元を後にする。
そうして様々な出来事があり疲れていたのだが一番の衝撃は最終日だった。疲れたと思い夜寝たのだが気がつくと真っ白の部屋にいて、目の前にはティナがいた。
一章はこれで完結です。
次回からは間章を書きたいと思います。
次回は26日に更新予定です。
感想などよろしくお願いします。




