フリマ開始
三屋をガストン邸に置き去りにして走り出した錬は振り返ることも顔を上げる事もせず走り続けた。
いくらか悔やんだ部分もあったがこの後のイベントを失敗してしまえば、もともこもないのでしかたがないと思い続けた。
錬は荒い息を吐きながら立ち止まった。
錬の目の前には多くの人がウロウロしていた。
そう、フリマの会場にたどり着いたのだった。
「結構人来ているんだな。」
開催主が感心して歩き回っていると今日の事を託した女性がいた。
その女性は錬に気が付き急ぎ足で近づいてくる。
「錬さんお疲れ様です。どうでした。」
「三屋と屋敷に行ったんだが、三屋が奪われた。」
その言葉にリェルはなんの反応もしめさなかった。
「あの子なら大丈夫でしょう。それよりも今の事でしょう。」
「そうですね。どういった感じですか。」
「上々です。客足もかなりあり、店を出す人もかなり多くいます。この調子で行けば難なく目論み通りになると思いますよ。」
「ならいいんだけどね。それにサーカスの団員達が来るのは最終日、二日後だ。それまでに何かしておきたい。」
「ゆっくり考えておいてください。まだ時間はありますしね。」
「そうだね。」
報告を聞いているとこの会場の本部に着いた。
そこにはいつもいる顔ぶれに町長とサーカスの団長がいた。
「おはようございます」
錬が頭を下げると相手からも返ってくる。
「竜胆さん遅いですよ。寝坊でもしましたか。」
「いえいえ、別件の仕事をしていまして。」
錬が笑って返すと町長も笑う。
少し緊張が走る会話に誰も近づこうとしない。
本部が少しピリピリした状態でフリーマーケットは幕を開けた。




