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「なぁ、バンビ……俺さ、ハーレム同好会を作るにあたって、学校のホームページを調べてみたんだよ。
存在は知ってたんだけど、見るのは初めてだった。
そこで知ったんだが、同好会の設立には8人以上の参加希望者が必要なんだってさ」
我ながら益体もなさそうな話の始まりではあるが、妹は黙って聞いてくれている。
「で、部員ってのは誰かっていうとな、まず、リンとリッコだ」
言いながら、指を立ててカウントする。2本の指が立った。
リンは「うん」と返事をしてくれたが、
「おい!? 自分はハーレムなどに興味はないぞ!?
誉れ高きジークンドー部の女子キャプテンだ!」
リッコからは異を唱えられた。
俺は2本の指をバンビに向けたまま、背後の仲間たちともやりとりできるように身体を90度だけ回転させる。
危険な状態のバンビに背を向けるわけにはいかなかったからだ。
「……リッコ、ジークンドー部のキャプテンとハーレム同好会の部員を掛け持ちしてくれ。
見返りにリンをジークンドー部に貸してやるから」
「ぬうっ!? そ、それは……なかなか魅惑的な提案ではないか……!
よ、よかろう! 了承した! ハーレム同好会に入るぞ!」
交渉は難航するかと思っていたのだが、あっさり納得してくれた。
そんなにリンに執着があるのか……まぁ、いいか。話を続けよう。
「リンとリッコ……あとは、シキとフミミだ」
俺は立てていた2本の指に、さらに2本を加える。あわせて4本になった。
シキの「はい」という素直な声の後、
「えっ!? なぜ私まで!?」
驚きに満ちたフミミの声が飛んできた。次はコイツの説得か。
「フミミ、文芸部はハーレム同好会の傘下に入ってもらう。
そうしたら、文芸部もなくならずにすむぞ」
俺はつい勢いで先生を呼び捨てにしてしまった。
フミミはキッと怖い顔になる。
「その提案は、文芸部の存続という観点では魅力的ですが……人の弱味につけこむのは、最低の行為です!」
しかし呼び捨て以外のところで怒られてしまった。
論議では今までやられっぱなしだったが、ここで引き下がるわけにはいかねぇ。
俺は負けじと言い返す。
「ほう……言いたいことはそれだけか?
なんだったら、見捨ててやってもいいんだぞ!?
伝統ある文芸部を、潰しちまってもいいのか、オイッ!?
それにシキだって、責任を感じて悲しむはずだ!
部をひとつ潰して、ひとりの生徒を悲しませて……そんなヤツぁ教師失格だ!
フミミ、お前に選択の余地はねぇ!
大人しく俺の軍門に下って、ハーレム同好会に入れ!」
俺はヤツの十八番を奪うように、感情剥き出しで言ってやる。
すると、面白いくらいにたじろぎやがった。
「ううっ……! し、しかし、私は生徒ではないので……!」
「生徒じゃなけりゃ部員になれない規則はねぇ! 顧問のルナナも部員だ!」
「わぁ! 私も、はあれむに入ってもいいの!? やったぁ!」
緊張感ゼロの声で、ルナナが話に割り込んできた。
「ね、フミミ先生も私といっしょに、はあれむに入りましょ?」
頼もしい加勢だ。こうなったら、後は任せても大丈夫だろう。と、バンビの様子を伺う。まだうつむいたままだ。
俺の傍らで、ルナナのおねだり声とフミミの戸惑う声が交錯する。
「フミミ先生ぇ~、はあれむぅ~はあれむぅ~。
ホラ、言葉の響きだけでも楽しそうでしょ!? 活動はもっと楽しいですよ!?
ねっ! ねっねっ!?」
「る、ルナナ先生、何をおっしゃって……ルナナ先生はともかく、私はもう年齢的に……。
陰では、いや、世界的にもババア先生なんて呼ばれるくらいのオバサンです。
お堅いだけが取り柄の、オバサン先生なんですよ?」
「えーっ、誰がそんなことを!?
私にとってはフミミ先生はお姉ちゃんですよ!? つまりお姉ちゃん先生です!
お姉ちゃんと一緒だったらきっと楽しいのになぁ……嬉しいのになぁ……いっしょに、はあれむに入りたいなぁ……」
「そ、そんな顔でお願いされても、無理なものは無理です!」
「あっ、シキちゃんもそうよね!? お姉ちゃん先生に、はあれむに入ってほしいよね!?」
「はうっ!? は……はいっ!
わ、私、まだ心細くって……フミ……お姉ちゃん先生がいっしょに、はあれむに入っていただけると……安心できて嬉しいです!」
はあれむ組ふたりに説得されて、フミミはようやく重い首を縦に振ったようだ。
「……たしかに、ハーレム同好会がどんな活動をするのか、見届けるためにも、少しだけ入ってみるものいいかもしれませんね……」
少しだけ入る、の意味がわからなかったが、まぁこれで確保だ。先を続けよう。




