表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/117

112

「なぁ、バンビ……俺さ、ハーレム同好会を作るにあたって、学校のホームページを調べてみたんだよ。

 存在は知ってたんだけど、見るのは初めてだった。

 そこで知ったんだが、同好会の設立には8人以上の参加希望者が必要なんだってさ」


 我ながら益体もなさそうな話の始まりではあるが、妹は黙って聞いてくれている。


「で、部員ってのは誰かっていうとな、まず、リンとリッコだ」


 言いながら、指を立ててカウントする。2本の指が立った。


 リンは「うん」と返事をしてくれたが、


「おい!? 自分はハーレムなどに興味はないぞ!?

 誉れ高きジークンドー部の女子キャプテンだ!」


 リッコからは異を唱えられた。


 俺は2本の指をバンビに向けたまま、背後の仲間たちともやりとりできるように身体を90度だけ回転させる。

 危険な状態のバンビに背を向けるわけにはいかなかったからだ。


「……リッコ、ジークンドー部のキャプテンとハーレム同好会の部員を掛け持ちしてくれ。

 見返りにリンをジークンドー部に貸してやるから」


「ぬうっ!? そ、それは……なかなか魅惑的な提案ではないか……!

 よ、よかろう! 了承した! ハーレム同好会に入るぞ!」


 交渉は難航するかと思っていたのだが、あっさり納得してくれた。

 そんなにリンに執着があるのか……まぁ、いいか。話を続けよう。


「リンとリッコ……あとは、シキとフミミだ」


 俺は立てていた2本の指に、さらに2本を加える。あわせて4本になった。


 シキの「はい」という素直な声の後、


「えっ!? なぜ私まで!?」


 驚きに満ちたフミミの声が飛んできた。次はコイツの説得か。


「フミミ、文芸部はハーレム同好会の傘下に入ってもらう。

 そうしたら、文芸部もなくならずにすむぞ」


 俺はつい勢いで先生を呼び捨てにしてしまった。

 フミミはキッと怖い顔になる。


「その提案は、文芸部の存続という観点では魅力的ですが……人の弱味につけこむのは、最低の行為です!」


 しかし呼び捨て以外のところで怒られてしまった。


 論議では今までやられっぱなしだったが、ここで引き下がるわけにはいかねぇ。

 俺は負けじと言い返す。


「ほう……言いたいことはそれだけか?

 なんだったら、見捨ててやってもいいんだぞ!?

 伝統ある文芸部を、潰しちまってもいいのか、オイッ!?

 それにシキだって、責任を感じて悲しむはずだ!

 部をひとつ潰して、ひとりの生徒を悲しませて……そんなヤツぁ教師失格だ!

 フミミ、お前に選択の余地はねぇ!

 大人しく俺の軍門に下って、ハーレム同好会に入れ!」


 俺はヤツの十八番(おはこ)を奪うように、感情剥き出しで言ってやる。

 すると、面白いくらいにたじろぎやがった。


「ううっ……! し、しかし、私は生徒ではないので……!」


「生徒じゃなけりゃ部員になれない規則はねぇ! 顧問のルナナも部員だ!」


「わぁ! 私も、はあれむに入ってもいいの!? やったぁ!」


 緊張感ゼロの声で、ルナナが話に割り込んできた。


「ね、フミミ先生も私といっしょに、はあれむに入りましょ?」


 頼もしい加勢だ。こうなったら、後は任せても大丈夫だろう。と、バンビの様子を伺う。まだうつむいたままだ。


 俺の傍らで、ルナナのおねだり声とフミミの戸惑う声が交錯する。


「フミミ先生ぇ~、はあれむぅ~はあれむぅ~。

 ホラ、言葉の響きだけでも楽しそうでしょ!? 活動はもっと楽しいですよ!?

 ねっ! ねっねっ!?」


「る、ルナナ先生、何をおっしゃって……ルナナ先生はともかく、私はもう年齢的に……。

 陰では、いや、世界的にもババア先生なんて呼ばれるくらいのオバサンです。

 お堅いだけが取り柄の、オバサン先生なんですよ?」


「えーっ、誰がそんなことを!?

 私にとってはフミミ先生はお姉ちゃんですよ!? つまりお姉ちゃん先生です!

 お姉ちゃんと一緒だったらきっと楽しいのになぁ……嬉しいのになぁ……いっしょに、はあれむに入りたいなぁ……」


「そ、そんな顔でお願いされても、無理なものは無理です!」


「あっ、シキちゃんもそうよね!? お姉ちゃん先生に、はあれむに入ってほしいよね!?」


「はうっ!? は……はいっ!

 わ、私、まだ心細くって……フミ……お姉ちゃん先生がいっしょに、はあれむに入っていただけると……安心できて嬉しいです!」


 はあれむ組ふたりに説得されて、フミミはようやく重い首を縦に振ったようだ。


「……たしかに、ハーレム同好会がどんな活動をするのか、見届けるためにも、少しだけ入ってみるものいいかもしれませんね……」


 少しだけ入る、の意味がわからなかったが、まぁこれで確保だ。先を続けよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ