↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/14

第三章:石猴


李沐子は一人、石段に腰を下ろしていた。周りには数匹の石猿がいるだけで、彼はひどく孤独に見えた。

一匹は体の大きな老いた母猿、そして一対の小さなオス猿とメス猿だった。

老いた母猿は地面にしゃがみ込み、指で子猿たちのシラミを取り除いている。指が子猿の毛の中を動き回り、持ち上げては下ろすたびにシラミを捕まえ、それを口に放り込んで味わっている。彼女は至福の表情を浮かべていた。

オスの子猿は李沐子に向かって叫び声をあげ、手で変な顔を作る。憎らしいはずの石の猿顔で、わざと滑稽な表情を作って見せるのだ。

彼は李沐子の隣にある腐った果物の山を指差し、次に自分の手にある傷一つない果物を指して、人間じみた嘲笑の表情を見せる。

そして口を大きく開けて叫ぶ。「カン—イン—ウー、カン—イン—ウー」と跳ね回りながら、頭をかき、耳をかき、詐欺師のような笑い声をあげる。

老いた母猿の後ろに隠れて縮こまっているメスの子猿は、時々顔を出して、自分たちとはまったく毛並みの違う、毛のない二足の猿を観察している。

その目には好奇心と探求の光が宿っていた。

よく見ると、彼女は障害を負った猿だった。耳と鼻のあたりが何かの猛獣に食われたのか、恐ろしい傷跡が生々しく残っている。

ただその目つきだけは、どうしてこんなに人間に似ているのだろう。澄み切っていて、まるで湖面のようにきれいで、まるで本物の人間の少女の目そのものだった。しかし彼女はただの石猿だ。

李沐子は、この礼儀知らずな猿たちの奇妙な行動を無視した。こういう畜生に教養や礼儀を求めるのも無駄だろう。

人間と猿を同列に語るなんて、できるはずがない。

彼は目の前の水幕に視線を集中させた。

紙人形と石猿の王が前方に座っている。

猿の戦士たちは周囲を取り囲み、輪を作っている。彼らは精鋭の鎧と最先端の武器を身にまとい、人間のように背筋を伸ばして立っている。手にした長い得物は、片方を地面に、片方を天に向け、洞窟の揺らめく明かりの下で、金属の表面が銀色の光を放っていた。

紙人形はどうやら千羽鶴を折っているらしい。自分の体から紙を引きちぎり、素早く折っていく。しばらくすると、生き生きとした千羽鶴がその手の中に現れた。

それに筆で目と口を描き、何かを書き、さらに模様や彩色を施す。そして最後に、それに息を吹きかけた。

空洞で、まるで深淵のような黒い口を使って。

一羽の千羽鶴を手に取り、空中に向かって放り投げる。千羽鶴は空中で舞い、旋回し、なかなか落ちない。そしてまるで命令を受けたかのように洞窟の外へ飛び出し、遠くへと消えていく。

続けて、次々と千羽鶴が同じように処理され、見知らぬ遠くへ、灰色の世界の奥深くへと飛んでいく。

李沐子は目を伏せ、このすべてを心に刻んだ。彼はこの紙人形が何らかの未知の存在に情報や合図を送っていることに気づいた。その媒体として千羽鶴を使っているのだ。

心に留めながら、彼はすでにこの紙人形と石猿の王をどう処理するか考え始めていた。

一発で決める計略でなければならない。こいつらを一網打尽にする、決定的な一手を。

李沐子はまずは様子を見て、機会を待つことに決めた。時が来るまでは、決して軽々しく行動しない。

他の石猿たちは腹を叩きながら、李沐子が提供した現代の食品と自分たちで集めた果物や穀物で、たっぷりと大食いを楽しみ、今はのんびりと消化しながら、そこに横たわって動かない。

中には葉っぱや枝で歯をほじっている猿もいる。歯茎から血が出て、他の石猿たちの笑いものになっていた。

籐の鎧や紙の防具を身にまとった武闘派の猿たちも、今は警戒を緩めていた。皆、のんびりと休息を取っている。

李沐子は内心、もし自分が反抗したら殺されてしまうのではないかと不安に思っていた。

彼は猿たちが侵入者を生きたまま皮をはぎ、飲み込み、飼っている怪物に与えるところを何度も見てきた。

人間を肥料や何かの道具として土に埋め、奇妙な木を育てているのも見た。

祭壇で人間の心臓をあの不気味な人面樹に捧げる光景も目にしている。

要するに、こいつらは人間種にとって間違いなく危害を加える怪物(公敵)であり、この場所は隠された練級ポイントのようだ。

学院が公式に学生に配布した公式書と攻略マニュアルによれば、封王冢(ほうおうちょう)の第一層には五つの大きなエリアがあり、それぞれに顕著な特色とテーマがある。そして各エリアはさらに小さな地区に分かれている。

これらの土地には異なる頭目、統領、君主などのモンスターが駐留し、手下や僕従を従えている。これらのボスは、何百年、何千年もの間、数え切れない試練者の攻略や学院の武力掃討を生き延びてきた遺産なのだ。

これらのボスの中には、過去の人間の王者や覇者が自ら堕落して邪悪や妖怪と化した者もいれば、覇者や王者の手下や眷属が自ら繁殖して形成された族群の王、種族の主となった者もいる。

学院は時折、学生を試すために、わざと守関や試練のボス、関所を作り出し、学生の能力を試す試験問題としている。

この洞窟もその一つらしい。

同時に、この練級ポイントは隠しダンジョンのようで、通常とは異なる特殊な点もある。

彼の観察によると、洞窟の入り口にある人造の警戒碑は破損や改ざんの痕跡がなく、また成功した闖関の痕跡も残っていない。

つまり、この場所を攻略できた者はほとんどいない、非常に隠れた練級ポイントなのだ。攻略や掃討を試みた者は皆失敗している。

李沐子は深呼吸をして、自分を落ち着かせた。怖がるな、怖がるな。

絶対に生きて帰るんだ。この学院に来たのは自分の本意ではなかったが、この世界に飲み込まれて地縛霊になり、永遠にこの場所に閉じ込められ、この世界の住人になるつもりは毛頭ない。

顔を上げて、李沐子は慎重に周囲を観察した。

石猿たちの中には天秤棒を担いでいる者もいる。中には人間の血肉と植物の腐葉土が詰まっており、水をやり肥やしにするための材料だ。よく見ると、腐葉土の上にはエネルギーポーションや栄養補給剤が数本乗せてあり、これは樹人たちの生存を維持するための物資である。

彼らはこれを樹人の頭に注ぎ、人間の身体を生かし続けるのだ。

彼らは立ち上がり、人間の姿を真似て、楽しげに歌を口ずさみ、軽やかな足取りで裏庭の果樹園へ肥料をやりに行く。

人間から結実した果物はこの上なく甘く、栄養価が非常に高く、族群の幼獣たちの成長に欠かせない栄養源であり、他の地域の公敵族群やボスとの通貨や交易品としても使われている。

長い間、外界の人間と共存する中で、この猿の群れはすでに人間の血肉とその持ち物の資源を利用する方法を編み出していた。

彼らはすでに高等な知性生物なのだ。

だからこそ李沐子は彼らに支配され、資源や生活用品を提供させられている。以前も似たような人間が紙人形に操られ、ほとんどが傀儡として搾取され、殺されていた。

李沐子は幸運にも裏山に行くことができたが、それは紙人形の脅しと誘惑の下でのことだった。同時に、自分が学生として知っている学院の公開された秘密をすべて吐かされてしまった。もし学院に情報を漏らしたことが知られれば、良い結末はない。

また、人間としての限界を越えるような行為も強いられていた。だからこそ、絶対に奴らを殺さなければならない。

これが、彼がこの猿の群れを倒さなければならない理由であり、自分の将来の平穏な生活のためでもあった。

猿たちが天秤棒を担いで、石の通路を通って果樹園へ向かうのを見ながら、李沐子は果樹園で生きている栽培人間たちのために心の中で祈った。

何しろ、木と一体化し、土に植えられている感覚は、想像するだけでも苦痛だ。そして彼らはその苦痛を常に味わい続け、死んでも解放されず、邪悪な魂の木に奴隷にされ、鬼として使い続けられるのだ。

心から、彼らの苦しみが少しでも和らぐことを願う。

「吼!吼!吼!」

その時だった。

石猿の群れが騒ぎ始めた。オスの猿たちは足を踏み鳴らし、胸を叩き、叫ぶ。メスの猿たちは尻尾を激しく振り、踊り、拍手する。

すべての猿が次の出来事に狂喜し、期待に目を血走らせている。

彼らは猿の群れが残した空き地に注目した。その場所は暗赤色の土で、地表は長年にわたって蓄積された血液に染み込み、不吉な暗赤色の錆色になっていて、洗い流すことはできない。

地面には無数の刀や斧、剣で刻まれた跡があり、それは無数の抵抗者が残した痕跡だ。

会場の雰囲気も一変した。これまでの陽気でリラックスした雰囲気から、次の瞬間の嗜虐と残虐へと移り変わり、空気さえも淀んでいく。

衆猿の期待の視線の中、主役が登場した。

遠くない隠れた洞窟から、数匹の大柄な壮年の猿が現れた。彼らは簡素な巨大な鎧をまとい、背中に大斧や大剣を背負っている。身の丈は約一丈もある巨大な猿で、鉄の檻を押してきている。檻の中には、絶望の表情を浮かべた人間たちがいる。

これらの人間の中には、衣服をはぎ取られ、武器を没収された者、手足の欠けた者、息も絶え絶えで檻の中で死を待つ者もいる。それでもなお、最後まで利用される運命にある。

彼らは石猿の群れと戦って敗れた者たちだ。殺戮の宴を開くために、一時的に生かされているに過ぎない。今こそ、その時だ。

石猿たちは食事の後、すでに敗北させた捕虜たちと決闘試合を行う。もし再び敗北すれば、戦意を完全に失った奴らは族の勇士や幼獣たちに生きたまま食い荒らされ、彼らの食料となる。

石猿たちには、敵の血肉や魂を食らうことで、その技能や特長を獲得する能力、さらに敵の武技や戦技、格闘技を素早く学習し、自在に使いこなす「転写眼」というものがあるらしい。

普通の猿の目は人間と同じような丸い瞳孔だが、これらの石猿の目は波紋のような輪っかが重なった、湖のように青い目だ。感情が高ぶると赤くなり、赤さが深まるほど能力が強くなる。

いったいこの猿たちの祖先は、どんな覇者や王者の眷属だったのか、それとも過去に学院が作った生物兵器なのか。

そんな彼らが、次々と人間の部隊を打ち負かしてきたのだ。

猿たちは大声で叫び、手で胸を叩いて鈍い音を響かせ、あるいは力強く足を踏み鳴らして地面に煙を巻き上げる。

武士猿たちは武器で地面を叩き、金属と石がぶつかる澄んだ音を立てる。三回浅く一回深く長く、五回浅く一回深く短くと、リズミカルな律動を生み出し、それがまるで楽器の奏でる音のように響く。猿たちはその拍子に合わせて体を揺らす。

澄んだ金属音が空間に反響し、人間たちの心に打ち寄せる。まるで死の訪れを告げる前奏曲のように、死神たちが彼らの魂を刈り取ろうとしている。

この人食い石猿たちは、この方法を勇士たちと捕虜との決闘の戦曲とし、同時に幼獣たちの成人式の祝い曲としているのだ。

成人式を通過することで、自分たちの領地に侵入してきた人間の侵入者を食べ、その天命とすべてを奪い取り、自分たちを強化し発育させる。

人間は公敵を狩り、王者や覇者の継承を獲得する。公敵は外部からの侵入者を食べ、その一生の精髄を自分たちの養分として吸収する。

それがこの世界の自然の摂理なのだ。

これらの人間たちも、その覚悟を持って封王冢に入り、危険を冒して強くなることを選んだのだ。

カチャリ——!

鉄の檻が開かれる音だ。複数の武士猿の得物に尖らせられ、囚人たちが檻から出て戦わされることになる。

最初に出てきたのは、平凡な顔つきの中年の男だった。顔色は青白く、血に染まった衣服を着ている。しかし手足は揃っており、息遣いはやや不穩だが、全盛期の戦闘力にはまだ戻っていないようだ。

檻から出てきた彼は、武士猿たちを恐れ見つめる。彼らが動かないのを確認すると、勇気が湧いてきたようだ。

状況を理解した彼は、自分が目の前の幼獣と決闘しなければならないことを知る。相手がただの小さな幼獣であり、自分が熟練の武者であっても、彼は不満を感じていた。

男は憤慨して、目の前の幼獣が手にした武器を指差し、相手が武器を持っているのに自分にはない、公平な対決ではないと非難する。

周りの猿たちからは嘲笑うような耳障りな声が漏れる。彼らが男を見る目には邪悪な光が宿り、一瞬にして食い殺そうとする野性がほとばしり出そうになる。

しかし、石猿の王が命令を出していないため、彼らは欲望を抑え込んでいる。

石猿の王は動かない。ただ一匹の巨猿を睨むように見て、その目で意思を伝えている。

男の横にいた一匹の巨猿が頭をかき、石猿の王の方を一瞥する。その深遠な海底のような目から意思を汲み取ると、ゆっくりと後ろの武器箱から精巧な槍斧を取り出し、手に取って破損がないことを確認し、男の前に放り投げた。

槍斧は地面に深く突き刺さり、槍先は地中に沈み、柄の先が微かに震える。斧面の金属が反射する人影も激しく揺れている。

「こ、これは……!」

男の驚喜と、失ったものを取り戻したような戸惑いの表情から、これが彼の慣れ親しんだ主武器であり、過去に数多の宿命的な強敵を倒してきた、自分の半身のようなものだということがわかる。

武器を手にした瞬間、男の震えていた体はすぐに落ち着き、全身の気配も内側に収まり、長く続くものへと変わった。彼の武術の腕前が決して低くないことを示している。

戦士は、自分の手にした武器と、戦う心さえあれば、どんな敵も恐れることはない。

男は戦闘態勢をとり、歓喜の表情を浮かべる。

槍斧の刃を目の前の幼獣の石猿に向け、両足に力を込め、今にも攻撃を仕掛けようとする姿勢を見せる。

彼からすれば、自分たちが敗れたのは武士猿や巨猿の訓練された連携攻撃の前だからだ。目の前の幼獣など、敵ではない。これを倒せば、自分はこの場所から抜け出せるかもしれない。他の者と連携してこの石猿の巣穴を討伐すれば、さらに上の段階に進めるかもしれない。

一瞬にして、地獄から生還できるという歓喜、下等な猿の群れに囚われ、敗北した屈辱、そして幼獣相手に人間の尊厳を取り戻せるという歪んだ復讐心が彼を支配する。

周囲に立つ石猿たちの嘲笑と軽蔑の目、そして背後からの人々の評価や、実験台として見る視線にも構わず、彼はすでに攻撃の態勢に入っていた。人間の強者として、高等生物としての尊厳を取り戻すために。

李沐子は心の中で静かにため息をついた。あの男の様子を見て、彼はすでに結果を予測していた。

あの男はおそらく死ぬだろう。自分が劣勢であり、絶体絶命の状況にあることにまったく気づいていない。また、敵の強さを探るための捨て駒として差し出されたことにも気づいていない。

ここまで追い詰められてもなお、双方は種族間の戦争ゲームを続けており、互いの探り合いは終わっていない。

一方で、猿たちは捕虜たちにまだどれだけの戦力と反抗の意志があるのかを探っている。だから故意に、あの男のような四肢が揃っていて頭の単純な愚か者を選び、幼獣の相手として武器を返したのだ。それによって、彼や一部の捕虜に、自分たちは生きて帰れるかもしれないという錯覚を与えるためだ。

たとえその錯覚が、彼らが仕掛けた罠や餌であり、本当の目的は人間が究極の絶望に陥る瞬間の醜態を楽しみ、幼獣に武芸の鍛錬を積ませることだとしても。

同時に、人間が自分たちの絶体絶命の状況を悟り、哀兵必勝の状態に陥るのを防ぐためでもある。そうなれば、形勢が逆転する可能性は極めて低いかもしれないが、猿たちはそのようなチャンスすら与えない。

だから故意に捕虜たちに、自分は生き残れるかもしれない、いや将来復讐もできるかもしれないという錯覚を抱かせ、その上で絶対的な武力と知略で人間としての尊厳を完全に粉砕し、肉体をペットの餌や幼獣の飼料にするのだ。

これが石猿の王とその長老たちが人間に対して練った戦略であり、戦術である。正面から武力で打ち破るだけでなく、心理的な面でも、道義的にも、人間を完全に打ち負かすのだ。

これが李沐子の、この微妙な状況についての推測の一つだ。

これが隠しダンジョンの難易度なのか?

自分みたいな初心者にはとてもクリアできる難易度ではない。あまりにもオーバースペックすぎるのではないか。

王座に座る石猿の王は、年老いた衰えた姿ではあるが、それでもなお族群の王としての超雄な風格と、指導者としての超人的な姿を隠しきれない。

顔中に刻まれた深い皺、額や体のあちこちに隠しようもなく生えた濃い白い毛、顔や腕に点在する老人斑、そして底知れぬ深海のように深遠な青い瞳。

これら歳月の重みと時が刻んだ痕跡は、族群の王者としての彼の風格を損なうどころか、むしろ経験豊かな賢者の輝きを加え、族群の最も賢き者の偉大なイメージを形作っている。

彼は今、片手で顎を支え、頭と体を巨大な王座の片側に傾け、まるで人間の王者が臣民を見下ろすように、眼下の光景を見下ろしている。

彼は下で起こるすべてを見つめている。その眼窩は幽玄な渦のような深淵で、直視することはできず、渦に吸い込まれそうになる。

彼の側には、長年にわたって彼に仕えてきた五人の長老がいる。長老たちは王座の周りに散らばり、彼を円形に囲んでいる。彼らは彼の頼りになる知恵袋であり、同時に彼の最強の親衛隊でもある。

五匹の長い髭と白い眉を持つ石猿は、まるで人間の古老のように、権力の象徴である金属の杖を手にし、華やかな衣服をまとい、松や柏の木のようにそこに立っている。枯れた井戸のように静かな深い眼差しからは、計り知れない知恵と、底知れぬ力が感じられる。彼らは五本の擎天の柱のように王の側を守り、いつでも王の命令を待っている。

彼らは皆、人間の賢者にも劣らない広大無辺な知恵と、公敵として無数の殺戮と戦闘を経て蓄積された深淵のような戦闘感覚、そして精妙かつ神業的な武芸を持つチャンピオン猿たちである。

彼らこそ、数百の臣民を擁するこの猿の王国の最高指導部であり、討伐すべき最も難しい公敵の長老階級なのだ。

石猿の王・季(き)は今、眼前の人間と族群の幼獣との戦いを楽しんでいる。その口元には、意味不明の不気味な笑みが浮かび、鮫のように無数の牙が覗いている。

彼はこの戦いに興奮している。

眼底からは、洞窟世界を貫く二筋の深遠な精光が放たれている。実際にその程度のことは可能なのだ。

地面にぺったりと貼りついて休んでいた紙人形が、突然立ち上がり、体を震わせて風に乗って膨張し、瞬時に大人の大きさの紙人形となった。

紙人形はふらふらと地面から立ち上がり、石猿の王のそばに浮かび、二人だけに通じる暗号のような言葉で何かを話している。その空洞の彩色された人の目は、まるで画竜点睛を施されたかのように、人間のずる賢い計算高さを宿した輝きを放っている。

王はこの老友の言葉を耳を傾けて聞く。

石猿の王は何かを考え、目に一瞬の鋭い光を走らせ、一声吠える。奇妙な鳴き声を発し、一人の長老に合図して、洞窟の入り口へ行き、自分の客人を迎えるように指示する。

さらに一匹の巨猿を手招きし、いつものことをするように命じる。巨猿は咆哮し、両手で地面を叩き、跳ねるように駆け出し、禁断の部屋へと向かい、王の意思を果たすために。

これらすべてを終えると、石猿の王・季は再び永遠の石像のように、冷たい王座に身を横たえ、王者として自らの王国のすべてを見下ろす。

その深遠な、世界で最も深い海底のような青い目は、今、何かの計画を巡らせている。

場では、中年の男が精巧な槍斧を手にしている。主武器である槍斧には無数の割れ目や欠けがあり、大小の傷跡が刻まれている。それは彼が武人として刻苦修行し、戦い続けてきた武勲の証だ。

全身に纏う澎湃たる闘気は、遠慮なく外に迸り、収縮し、三尺の厚さの闘気の保護層を形成して彼自身を包み込んでいる。この技を見せるだけで、彼が並々ならぬ闘気の腕前を持つことが示されている。

一方、彼の対戦相手は、彼の膝にも満たない小さな猿の幼獣だ。体重は二十キログラムあるかどうかもわからない。澄んだ青い大きな目には、幼子の無邪気さと純真さだけが宿り、まるで親に置き去りにされた、地面を這う愛らしい生き物のようだ。

あまりにもかけ離れた差にもかかわらず、その場の誰も簡単に勝敗を語ることはできない。

一方は、少なくとも一隊の訓練された人間の兵士を殲滅できる格闘系の強者。もう一方は、地面を這い、戦いの意味すら理解していないかもしれない公敵の幼獣。

それでも、その場の誰も警戒を緩めることはできない。

これまでの教訓が、十分すぎるほど物語っているからだ。

数多の強者が封印されたこの封王冢では、どんな存在も、たとえ一匹の蟻であっても軽視してはならない。そうしなければ、必ず耐え難い大きな代償を払うことになる。

檻の中の捕虜たちも、眼前の不均衡な戦いを見つめている。檻の最も奥にいる、気品のある女性が、仲間の一人と自分の観察結果を小声で話し合っている。

他の檻の中の者たちも、それぞれの方法で残りの生存者たちとコミュニケーションを取り、決して諦めないという鋭い光を目に宿している。

彼らもまた、李沐子と同じように、これらの無数の人間を害してきた公敵の族群を完全に倒すための、適切な時機を静かに待っているのだ。

戦いは、いったいどのように展開するのだろうか?

あの中年の格闘家が、疑いようのない勝利を収めるのだろうか? 外の世界であれば、そうなるのが当然だろう。

しかし、ここは確かに異常な空間である。

認識や常識を覆すような出来事が日常的に起こる場所だ。だからこそ、勝敗の天秤は、まだ男の側には傾いていないように見える。

ただ、心に重くのしかかる石は、決して落ちることなく、消える気配もない。

息を深く吸い込み、表情が一気に引き締まる。

彼はすでに戦王の槍斧を高く掲げ、槍先を目の前の弱々しく愛らしい公敵の幼獣に向けている。

その手首に巻かれた骨の腕輪——数個の三日月形の獣の牙と磨かれた珠のような鉱石を通した、原始人のような造りのもの——を無視し、

そして武器と言えるのかもわからない骨の刃を無視した。

そんなもの、簡単に消し去ってやれる。

腹腔から喉管を通して、長く淀んだ息を吐き出す。その息は長竜の如く空に留まり、なかなか消えない。男はついに我慢できずに攻撃に出る。

「禍斗戦法、鶴朝天の構え、不滅型五番、十歩穿心刺!」

戦闘態勢をとっていた男が、地面を力強く踏み込む。足元の地面は瞬時に陥没し、砕けた石の壁が露出する。彼の影は肉眼では捉えきれない流星となり、その場に人型の残像を残す。彼は瞬時に幼獣の目前に襲いかかり、皆の目前で、槍の形をした冷たい閃光が幼獣の肩に向かって放たれる。その勢いは凄まじく、空気が激しく震動する。

この一撃の槍斧は、雷のような重みで轟く。もし避けきれなければ、幼獣は惨憺たる代償を払うことになり、貴重な命を失うことすらあり得る。

李沐子は目を見開き、その後の展開を固唾を呑んで見守る。あの小さな猿は、この攻撃にどう対応するのか?

避けるか? 回避するか? それが一番普通だ。

それとも突然変身して、尻尾が弱点の赤い毛の巨猿になり、あの中年の男を地面に叩きつけ、玩具のように振り回すのか?

それとも、想像を超えた何らかの対応方法があるのか。いずれにせよ、記録に値するデータだ。彼はしっかりと目に焼き付ける。

李沐子は持参したノートに、一人と一猿の戦いの過程と展開、そして自分が予測する結末を素早く書き留める。

自動鉛筆の龍蛇が舞うような動きとともに、白い紙面にはびっしりと細かい黒い文字が刻まれていく。それは繊細で、かつ霊気を帯びていた。

彼の目には、戦闘知識への渇望と探求心が宿っている。彼自身は戦闘に関しては素人同然だが、読んだ格闘書や戦闘関連の本の量だけなら、クラスで彼より多い者はいない。そして彼は、身の回りで起きる大小の戦いを記録する習慣を身につけており、時折一人で戦いの経過を味わったりもする。

「来るぞ!」

一人の女が興奮した口調で言う。その声音には隠しきれない期待が込められていた。

檻の中に座る女性リーダーとその仲間たちは、この戦いについての検討会を始める。

女性リーダーは拳を地面に強く打ち付け、その目には希望の微光が宿っていた。

この一撃こそ、彼らの復讐の槍が敵の胸を貫いたかのようであり、彼女にもう一度冒険に出るための勇気が湧いてきた。

彼女は早口で、少し興奮した口調で語る。周りの者たちは黙って彼女の話を聞いている。こんな絶望的な状況にあっても、彼女はまだ諦めていない。彼らが命をかけて従うに値するリーダーだ。

「私たちが戦いに敗れ、捕虜になった根本的な原因は、敵の情報が不足していたことと、自分たちの戦力を過信し、自分自身も敵も見誤っていたことにある」

女は舌を巧みに動かし、いつものように自分の意志と見解を宣言する。

「敵の具体的な情報を知らないまま、広大な平原で激しい遭遇戦、陣地戦を繰り広げ、最後には戦闘の捕虜として彼らの巣穴に連れてこられた」

「いわゆる『驕れる兵は必ず敗れる』というやつだ。こんな結果になったのも、当然と言えば当然だろう」

彼女は惨めな笑みを浮かべる。それは、自分はわかっているつもりで、実際にはまったく自分たちの実態を理解していなかったことへの自嘲だった。

「ふん、救援隊はまだ外で私たちを探しているはずだ。地面に残した痕跡や救援信号が、天候や他の公敵に消されていなければいいが」

彼女は低い声で言う。その声は、周りの者が耳を澄まさなければ聞こえないほどのものだった。

「しかし、これは一体どういうことだ?」

「この猿の軍団は、いくらなんでも戦力が規格外すぎるんじゃないか? 数も質も、第一層の弱小公敵とは比べ物にならない」

後ろ頭に無数の小さな三つ編みを残した、格好いい顔立ちの槍兵が言う。今思い返しても、まだ肝が冷える思いだ。

突然平地で名も知らぬ伏兵に遭うのは、彼らにとっては日常茶飯事だった。普通の怪物の群れだと思っていた。

部隊が三下り半で簡単に片付けられるはずだった。

まさか『英雄』級の存在がいるとは思わなかった。しかも一匹だけではない。これは初心者レベルの者にとっては、越えられない壁だ。

初心者レベルの最上級の対象は、せいぜい二十から三十レベル程度だ。しかし英雄級の公敵は、少なくとも人間の七十レベル以上の強者に相当する。

学院の大師や大教授を呼んできても、英雄級の公敵を討伐するにはかなりの手間と労力が必要だ。

だからこそ、この第一層の隠された公敵の族群と、このダンジョンの洞窟は、どうかしている奴が設計したとしか思えない。

「ああ、相手の能力や技をコピーするわ、無限に分裂するわ、奇妙な固有の呪法を使うわ、数も多いわ。このダンジョンには二度と来たくない。早く帰って風呂に入って寝たい」

かつては頭の上に溶岩のような流動する炎が乗っていた火の法师も、今ではその髪は灰がかって燃え尽きた火山灰のようだ。エネルギーを使い果たし、髪は灰の中に鮮やかな赤が混じっている。

その口調は、怨みと焦りで満ちていた。

彼女はただ、一刻も早くこの場所を脱出し、自分の三階建ての大豪邸で思う存分休息を取りたかった。

他の者たちもそれぞれ意見を述べ、瞬く間に牢獄全体が大規模な愚痴大会と化した。

愚痴の対象はもちろん、この正体不明の石猿の群れだ。皆、この間受けた冤罪と不満を存分に吐き出していた。

愚痴を言い合うことで、皆の心の恐怖や不安を和らげようとしているのかもしれない。

フニーアは皆の不平不満を聞きながら、心の中で黙って対策を練っていた。もし事態が取り返しのつかないところまで進んだ場合、リーダーとしてせめて彼らに全屍を残してやらなければならない。

彼女はすでに決意していた。戦いに敗れて捕虜になったその瞬間、体内に眠る悪魔を自らの手で檻から解き放ったのだ。

彼女がしてきたことはすべて、皆のためだ。

檻の中の数人と目を合わせる。その目には、成功するか死ぬかの覚悟が宿っていた。

放たれた槍斧は、石猿の幼獣の体に巨大な三日月形の傷を穿ち、幼獣の小さな半身を血煙と化し、戦場の空気中に漂わせた。

小石猿は断末魔の叫びをあげる。その叫び声は悲惨極まりなく、凄まじく、その場に居合わせた心の弱い者は見るに耐えず、顔を背けた。

李沐子は、この光景が人の生きた猿の脳を食べる場面よりも、さらに凄惨に感じられた。

小さな猿は地面に這いつくばり、うごめいている。その小さな半身は一撃で血霧と粉塵と化した。本来は澄んだ宝石のような青い目は、今や深紅の血珊瑚色に変わっている。そこには人間に対する限りない怒りと怨念が宿っていた。傷口からは臓器の断面が見え、肉のぼんやりとした胸腔の中には胃や腸、肺などが露わになっている。中にはまだ蠕動し痙攣しているものもあり、見る者の胃を逆なでにし、吐き気を催させる。

彼は残った片方の手で地面を叩き続け、悲痛な叫びをあげる。見開かれた大きな目は目の前の中年の男を凝視し、その目の赤みはますます深くなり、最後には復讐の魂を象徴する深い血の赤い輪っか目へと変わる。

この時になって初めて、周りの者たちは気づく。小石猿の破れた半身から、肉芽が蠢き始めている。

皆の愕然とした表情の中、猿の幼獣の傷は急速に治癒し始める。無数の肉芽が傷口から素早く出現する。

肉芽の蠢きが速まるにつれ、細胞組織の増殖が加速し、やがて泡のように小さな猿の欠けた半身を満たしていく。

瞬時にして、彼は半身の猿へと変貌した。半分の体は正常で、もう半分は血肉が露わになり、皮膚や毛皮に覆われていない、暗赤色の生々しい筋肉が露出している。その様子は恐ろしい。

檻の中の者たちは、これを見て分析を始める。

「これまでの観察と同じだ。この猿の公敵たちは肉体の回復速度が異常に速い。幼獣であっても、致命傷を受けても、おそらく十秒以内に完全に体を復元できる。たとえ粉々に粉砕しても、ある程度の大きさの血肉片が残っていれば、その血肉を基点に何度でも復活できる。まさに不死の体そのものだ」

左目に眼帯をつけた中年の男が、嫌な顔で言う。先の戦場で、彼は瞬時に数十匹の猿を解体し、バラバラにした。猿の群れは一瞬にして敗北した。しかし最終的には無駄な努力に終わり、敗れて捕虜になったのだ。

猿たちが目を赤く変えた後、彼らの体内の何かのスイッチが入ったように、戦闘力がその場で急上昇した。元々はただの戦闘力の低い普通の猿だったのが、瞬時に精鋭の兵士と互角に渡り合えるだけの戦力を持つようになる。

毛は非常に頑丈になり、まるで十重の鎖かたびらを着込んだかのようで、精良な品質の武器でも、その毛皮に傷をつけるのは難しい。

移動速度は速度系の異能者すら凌ぐ速さにまで上昇し、肉眼で見る限り、その移動軌跡は夜空を駆ける流星群のようで、目で捉えたり目標を特定することは不可能に近い。ましてや通常の攻撃など当たるはずもない。

たった一匹でさえ手に負えないのに、群れ全体となれば、まるで一群の鬼のようだ。人間の反応速度では彼らに対抗することはできない。

最も恐ろしいのは、赤目になった後の猿たちは、五感を共有する特殊能力や、想像を絶する怪力、超高速治癒、そして仙猴モードなどの特殊状態を切り札として持っていることだ。

五感共有は、非常に恐ろしいことだ。これは彼らの攻撃が互いに連携し、無縫に連携できることを意味する。人間で言えば最も精鋭で訓練された特殊部隊のように、意のままに動き、心を通わせ合うことができる。これはチーム戦においては神技とも言え、非常に大きなアドバンテージを持つ。

怪力と超高速治癒は、石猿たちと人間の戦闘にさらなる強みをもたらす。彼らが人間の強者に一方的に倒されるのを防ぎ、人間の強者と互角に戦うことを可能にする。

仙猴モードは、彼らに無類の神通力をもたらす。仙猴モードに入ると、身外化身、金剛不壊、火眼金睛などの神通力に加え、定身術、幻惑術、迷眼術、逃生術などの基本術法も使えるようになる。

仙猴モードの持続時間は五分を超えないが、猿の数を考慮すれば、これは非常に反則的な能力だ。

これらの猿の軍団と戦うことは、探索隊にとっては心身ともに疲れ果てるものであり、まるで猿に追い詰められて死にそうだと感じさせるものだった。

まるで小さな斉天大聖の群れと向き合うような感覚は、二度と味わいたくない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。