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昭和レトロ自販機来客簿〜迷えるお客様の癒しの夕食〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・アズとかき氷

 風村アズは、全国を旅しながら美味しいものを探し、それを発信することを仕事としていた。


「おー、このベンダーショップ・天国ってお店も、すごいレトロな……」


 そんなアズ、昭和レトロな自動販売機の食事も好き。コインレストラン・佳味という店で出会ってから、全国にある昭和レトロな自動販売機の店も巡るようになった。今もとある田舎にあるベンダーショップ・天国という店にやって来ていた。


 一見、コンビニのような店構えだが、中は全く違う。壁一面に並んだ昭和レトロな自動販売機は圧感。


「おぉ、写真も撮っておこう。このタイムスリップしているような感覚、いいねー」


 今は夕方だ。他に客がいないので、自由に写真を撮っていたが、一番目を引くのはかき氷の自動販売機だろう。他の自動販売機はコインレストラン・佳味でもよく知ったものばかりだっtが、これは珍しい。


 デザインも古めかしいが、いちご、レモン、ブルーハワイのかき氷の写真がデザインされ、なんとも華やか。目がちょっとチカチカするぐらいだが、それがいい。どちらかというと、地味なアラサー女のアズ。服装なども他人目を気にしてしまう。おかけで、この昭和レトロな華やかさがキュンとする。


 さっそくかき氷の自動販売機に百円玉を入れる。一杯百円、安い。味は定番のいちごに決定。


 取り出し出口を見ると、カップにシャワシャワと氷が降っていた。自動販売機から大きめな音も響くが、それもまたいい。令和には決して見えない野生味、キュンキュンしてきた。


 完成したかき氷を取るだす。カップがいい。ペンギンのキャラクターがワイワイと遊んでいるイラストがデザインされ、アズの口元はふっとゆるむ。


 確かにカフェのかき氷と比べ、氷は粗ぽい。シロップも絶対健康に良くない添加物入りだが、その色は綺麗。生命力が滲んだいちごの色だ。昭和レトロな明るい色。


 さっそくテーブルにつき、備え付けの木のスプーンで食べてみた。


「わ、頭がキンキンしてきた! でも、これが逆にいいね!」


 かき氷の写真を撮ることも忘れた。夢中でかき氷を食べる。味はまあ、すごく美味しいわけでもないが、楽しくなってきた。楽しくて明るい味。グルメじゃなくても、こんな味も素晴らしい。

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