表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/7

クライマックス

「それでは気を取り直して、最終日の朝。レルムに向かい賞金首の確認をすると、筋次郎の懸賞金は取り下げられてます」

「首まで太い筋次郎だからな。他の奴らの確認もしよう」

「? 筋次郎の知っている人間であれば、オオナ、トマル、バンジの三名に賞金が掛かってます」


TRPGの方のリベンジアレンジのコンセプトは正しく人を襲おう! である。シナリオのクリア条件も、基本的に誰を襲うかに詰まっているのだ。


「筋太郎はいない。バンジは……友人か」


今までにとったメモを見ると、狩南が少し考えこむ。


「行き先は202号室、対象はトマルだ。流石に外せん」


狩南の声に応じるように、拍手のような音がタブレットから響いてくる。


『プレイヤーにキーパー諸君、クライマックスに到達おめでとう。ここからは私が権限を引き継がせてもらう』


ボスを固定すると、タブレットが映し出すホログラムに男性の姿が現れる。白髪混じりの頭髪か掛からないように額を晒し、その眼光は鋭い。甚兵衛に雪駄という印象的な出で立ちは、いかにも仇果衆の幹部といった感じ。

ルーニールートは回避できてるっぽいし、狩南もプレイ経験はあるようだし大丈夫だろう。


「ロールプレイの年齢感、もうちょい高くても良かったか。うん、狩南……?」

「この形態……偶然じゃないのか!?」

「RTRPG特有の自律動作モードだよ。こちらに危害を与えてくる訳でもないから、安心して」

「安心ったってなあ……」


さっきまでの雰囲気が嘘のように、張り詰めた空気が流れる。


「トロッコにとってはあくまで業務だし、やらないといけない必要はないだろ?」


確かに狩南がやめようと言ってしまえばそこまででだし、本人もそれは重々承知であるはず。だがそれなら、確認などせずに勝手に決めてしまってもいいのに。シナリオを始めた当初の雰囲気ならば、狩南だって自分の意思で切り上げていたかもしれない。うーん……。


「スタッフ的にはそうだけど。KPの俺は……ここまで来たら二人でクリアしよう。ってかんじ。無視しても良い」

「なるほど」


狩南の目はホログラムを捉えたまま動かない。さらに言葉をかけるべきか迷っていると、再度狩南が口を開いた。


「やるか。シナリオをクリアしたら自語りをする約束だったしな」

「うおん……」

「歯切れが悪いなKP。二人であのいけ好かない爺さんをぶち飛ばすぞ」


それはあんたのやる気とおふざけが比例してるせいなんだけども……。


「やる気が出たなら良かったよ……」

「だが、あくまでここにいるのは筋次郎とトマルだけだろ。バンジでも使うのか?」


『クライマックスに参加するのは筋次郎と仇果衆の追手の二名。追手の参加は3ターン目』

「KPと違ってずいぶんベラベラ喋ってくれるもんだな」

「この後はRPメインになるから、最後の情報収集だと思う」


狩南にこそっと耳打ちする。ホログラムとして実体っぽく見えるだけで、こっちを見られてる感が強い。


「じゃあ、これからは筋次郎としてトマルをシバくだけだな」

『厄介なタイミングで来てくれるじゃないか』

「賞金首になってたな。これで正々堂々ぶちのめせるぜ!」


どっちかと言うと悪役みたいなセリフを口にしつつ、狩南もとい筋次郎がGMの扮するトマルと相対する。


『もはや旅館を隠れ蓑には使えまい。お前が最後の失踪者だ』


筋次郎のカットインが投射される。バトルフェイズの開始らしい。


「マキ割チョップ! やはり明らかに打点が高い」

『中々やるな小僧。それ、仇討ちだ』

「削り合いならトロッコの出る幕もなさそうだな」


いや、何かおかしい。幹部級ならもっと打点の高い通常技も持ってるはず。


「狩南、調整された技を使ってるのは筋次郎だけじゃないかも!」

「なるほど……何かマスクされた効果があるかも。そういうことか」


こっちが頷くと、狩南も思案する。威力が低くても、追加効果があるのかもしれない。ただ、即時に効果が出るような部類ではない。


「仇討ちね……もしかしたら、リベンジアーツの威力を上げるとか?」

「こちらの攻撃回数やダメージを参照するパターンだろうか。まあ……マキ割チョップ!」

「おーい!」

「耐久技を積んでなくてな。それに、ミソは3ターン目からだろう?」


宣言のタイミングにツッコんでしまったが、合理的というか、まあそれもそうか……。少なくとも、こっちが低火力のリベンジアーツをぶち込むより良い……よな?

経験上初っ端からあまりに複雑なシナリオは持ってこないし。


『それ、仇討ちだ――ふん、新手か』

「お待ちかねの共闘といこう」


キャラデータが投影される。持ってる技は釘打ちと刀折り? 普通の攻撃技に、次の攻撃の打点を下げる技。


「やっぱり、攻撃の威力を下げるのは必須かも……」

「誰の威力を落とす?」


そういえば、別に筋次郎も狙えるのか。いや、話がややこしくなってきたぞ……。


「流石に手探りで味方の火力を調整させるようなことはしないと思うけども」

「なんなら通常技で筋次郎を殴ってリベンジアーツの威力を上げるという手もあるが」

「こんがらがってきた……。状況を整理しても?」

「相手がリベンジアーツで逆転を狙ってるっぽいな」


「選択としては、リベンジアーツを撃つ前に沈めるか、一旦しのいでやり返すか……」

「王道は受けて受けられて……って感じだよなー」

「やっぱり相手に刃折りか」

「王道だねー! なんか不安になってくる……」

「俺に刃折りでも撃つか? ……ふっ」


なんか面白くなってきたらしい。あまりに急なんだけども


「いや、友人とやってたら、絶対にKPに急かされるなと思って」

「確かにKPは辟易しそうだけど、今回は時間使い放題よ。閉店までならね」

「よし、王道を行こう。トマルに刀折りをしてくれるか?」

「構わないよ。じゃあ、最初は任せた」

「ああ、マキ割チョップ! ……命中」


三発目の攻撃を叩き込む。そろそろ来るだろう。


「目立ち過ぎたことを悔やんでください。刀折りです」

『まとめて喰らいなさい。リベンジアーツだ……』

「おっと!?」

「大丈夫だよ」


ホログラムが腕を振り上げると、瘴気が立ち上る。もちろん現実の身体に何一つ干渉しないが、紫の柱

のようなエフェクト……報酬も大きいが、体験としてもRTRPGは良いなあ。


「って火力たっか! 複数指定でこの威力かい」

「だが、耐えたな」


やはり、王道を行くスタイル。次の手番には狩南のリベンジアーツが回る。


「よし、仕留める。絶対に仕留めるぞ、トマル……!」

「俺もリベンジアーツを宣言するよ。回ってこないかもしれないけど、一応」


公開された行動は、三人共リベンジアーツ。


「さて。幕引きと行こうか! 千筋烈苦!」

『ゴフッ……二度目がないのは、私だったか……』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ