第三話 連合国
淡い知識で間違いがあるかもしれませんがご了承ください。
本格的な戦争が始まる、戦争では様々な戦闘教義が用いられる、作戦や戦闘において舞台の運用しそうの事を指す、そしてリーチェが今回の戦争で選んだ作戦は電撃戦であった。
電撃戦の利点、それは敵国との圧倒的な軍事力の差が明確にわかっている中、持久戦に持ち込まれては物資や国庫の枯渇は問題視される。
だが電撃戦は迅速な攻勢による敵の殲滅である、その為に用意られる速さを重視した機械化戦闘、兵器開発はこの事の為に行われていた。
歩兵ばかりの軍ではどうしても前線を上げる為に時間がかかってしまう、ならば初速での有利を最大限に活かし敵国の穴を付きなだれ込む。
兵器開発により作られた戦闘機、マッハを超える速さを持ち、尚且敵陣の中央に直接攻撃を仕掛けることが出来る。
だが戦闘機にも弱点は存在する、それは対空砲の存在である、だがドイズ軍はステルス戦闘機を数機製造していた。
ステルスに特化した戦闘機は対空機を的確に破壊していく、制空権を確保すれば歩兵も生きていく、空いた穴になだれ込み、前線を崩壊させ一点突破した後、敵歩兵を囲むように陣形を変形させていく。
取り残された歩兵を蹂躙しながら時間をかけず前へ前へと前線を押し上げていく。
だが敵国も大人しく負け戦をするはずもなかった、塹壕を堀り、補給が容易に行える事を有利とし持久戦に持っていこうと耐え続ける。
事前の情報により戦闘機が多いという事を知っており、対空機を数多く揃えている。
その介もあってか戦闘機の機数は当初予定されていた前線の崩壊時に残っているはずの機数を大幅に減らしていた。
ドイズ国には地下資源は豊富にはない、その事を考慮しての戦闘機の開発だったが、どうやら敵国に対しては足りていなかったようだ。
敵国には地下資源が豊富にあることから鉄や銅等、戦争で使われる機械類には必需品と言われる物が腐るほど取れる。
敵国も無闇に戦争を受けたわけではなかった、勝機を見出しこの戦争での勝利で終わらせることに多大な利益を国にもたらす為に宣戦布告を受けたのだ。
だがリーチェは対空砲の準備など、視野に入れてないはずがない、どこからか情報が漏れるであろうという事は予想はついていた。
しかし敢えて戦闘機の制作を取りやめにせず作成させたか、それには意味があった。
戦闘機には従来型である速さに特化したもの、そして敵対空機の撃破をメインに考えたステルス搭載の戦闘機、そしてもう一つ別のものを極秘裏に開発させていた。
そして新しい戦闘機が今空中で姿を表した、敵国、自国共に上を見上げる、そこには空を覆う程の多きな戦闘機の姿があった。
さながら戦艦が空を飛んでいるのではなかろうか、と錯覚してしまうほどの大ききさである。
リーチェが考えた事は単純であった、対空ミサイルにも一定値以上耐えうる戦闘機を作ればいい、速さは取り柄であるが速さだけに縛られれば別の考えは浮かばない。
だがこれには様々な問題もあった、比重が重く空を飛ぶことが出来なくなるという事である、今までそのような戦闘機が無かったのはそのためである。
しかし近年開発された特殊加工金属にリーチェは着目する、その金属は柔軟性もあるが強度、そして比重は比較的に軽い。
この金属は今は車や飛行機に使用を検討されていた程度である、だがリーチェはその金属をあろうことに戦争に利用しようと考えた。
その結果は今実際に浮かんでいる物を目にすれば誰しもがわかる通り成功で収めた。
敵国の陣形は崩れ対空砲で撃ち落とそうと試みるが、空に浮かぶ巨大な戦闘機は着弾点に黒ずみだけを残し機体にはダメージは殆ど通っていない。
そして懸念されていた大型戦闘機の速度だが、従来の戦闘機と比べれば遅いというだけであって、一般人が使用している飛行機程とはいかないが、車以上の速度は出せる。
戦闘機としては遅い速度でゆっくりと飛びながら地上への爆撃、機体に使われた金属が軽く格納スペースは広く、従来の戦争では行えなかった様々な事を可能とする。
爆薬は従来の戦闘機とは比べ物にならないほど運搬、運用することが出来る。
地を焼き人を焼き、徐々に徐々に前線を上げて行く。
敵国には戦意喪失した兵士が地に膝を付け銃を起き両手を掲げている様を何度も目撃した。
だがそれでもドイズ軍は止まらない、敵国が白旗を上げ降伏するまでは止まることは許されない。
戦争が始まり二日が経つ頃、ドイズ国は敵国の首都にまで手を伸ばそうとしていた。
電撃戦とはいえあまりにも早い戦況の変化、圧倒的な力の差を見せつけ敵軍を押しのけていく。
こうなれば敵国の降伏は時間の問題である、これ以上、戦争による土地の崩壊は後々自国領となる時に不利益となる。
ドイズ国がそう考えている最中、敵国からの使者が送られてくる。
使者が告げる内容は降伏であった、こうしてドイズ国は白星を飾った。
戦争に勝利したドイズ国が敵国に要求した内容は、属国になるという内容であった。
領土内で取ることの出来る地下資源類を優先的、そして比較的安価でドイズ国への輸出、そして兵器開発工場の譲渡、ドイズ国が開戦した時の場合の増援。
敗戦国は拒むことは出来ない、ドイズ国に利のあることばかりだが了承する他はなかった。
こうして会談は終わり、短い戦争は幕を閉じた。
ドイズ国に軍が戻ると国民達は歓喜していた、拍手をするもの、家族が無事帰ってこられたという安堵からの涙を流すもの、様々である。
最初、国民達は戦争に対する不安を持っていた、しかも新しく国王になったリーチェの指示である、不安があるのは仕方のないことであった。
だがその不安も終われば安堵へ、そして歓喜へと変わった。
戦争によって得られるものは多い、敵国の兵器工場に譲渡による軍の強化、捕虜は労働力となる。
浪費した国庫は回復するどころか、金は増えていくだろう、国が富めば国民にも影響はある。
戦争により使用した金属や食料などは品質が悪くとも国が買い取った、戦争による国庫の浪費は国民の懐に入る。
そして国庫の浪費は他国から入る、こうなれば水を得た魚のように国は活気に満ち溢れる。
戦争を毛嫌いしたものも自分に利益があるとわかれば話は変わる、そしてその考えは次の戦争へと繋がる―――。
リーチェは考えていた、当初の予定通り一分の国民を除き信頼は得ることが出来ただろう。
だがそれでも彼の欲求は満たされない、戦争での利益がリーチェを更に歪ませていく。
しかしいくらドイズ国が軍事力があるとしても戦争での浪費はすぐには解決できない、今回の戦争が終わったからと言って次の週に別の国へと戦争をしかけるには準備が不十分すぎる。
戦死した軍人の家族への遺族年金、そして戦死により減った軍の募兵、破損して使い物にならなくなった戦場兵器、次への戦争へは時間がかかる。
それらの事を考えリーチェが唸っていると、一つの考えが思い浮かぶと一時の休息を取った。
日が落ち街の中は闇に包まれていた、そんなか複数の人影があった、その人影の正体はリーチェである。
リーチェを囲むように屈強な男達が警護している中、リーチェは裏路地へと入っていき一つの扉を開く。
その扉の先には机と椅子などの最低限のものしか置かれていない、その部屋は以前、優との密会に使用していた部屋だ。
当然、その部屋には一人の男性が居た、ドイズ国に来た時と比べやつれ頬がこけていた、だがリーチェはその事に対し心配などしない、要件だけすませると言い自分だけがソファーへと腰を掛ける。
「今回での戦争の糸を引いた功労者はお前だ、感謝する、そして次に俺が考えている事を再び頼みたいのだがいいか?」
こう言われては優に拒否する事など出来ない、無言でうなずき肯定する。
「我が国と隣接しているイヒレスという国は知っているだろう、あの国へ赴きルーチェ・ツェペリという名の男を暗殺してこい、根回しはしておく頼んだぞ」
そう言い終わるとリーチェは優の肩を叩き部屋から出ていく。
先程リーチェが言ったルーチェ・ツェペリという男は軍の参謀である、頭がキレる事で有名な男、最高指揮官ではないものの、その補佐をし数々の武勇を残していた初老の男である。
今の戦争の無い世の中では活躍することは出来ないが、戦争となれば別であると考えた、リーチェが警戒する程の人物である、第二次世界大戦の最中に様々な功績を残してきた人物の影の埋もれた才能のある人物、それがルーチェ・ツェペリであった。
だが優にはどうでも良かった、ただリーチェの指示に従う、それだけが彼の生きる意味となっていた。
優が何故ここまでやつれているかには理由があった、これもまたリーチェの指示のせいである。
自国内で噂を流し他国へ行き下準備をしていく、情報が漏れるそうな事があれば、その人物を殺し続ける。
優が動いていなければ戦艦のような戦闘機の存在もバレ対策されていただろう、情報は戦いを左右するほど重要であることをリーチェに教わり、無事命令を果たした。
何人もの人を短い間隔で殺し続けた、既に好奇心に満ちあふれていた活気のある姿はどこにもない、だがそれでも優は感情を捨て去ったわけではない。
優はまだ気づかないが彼の心の中で渦巻く黒い感情を無意識に押し殺し、次の命令を完遂する為、部屋を後にした。
一年後
リーチェの快進撃は止まらない、様々な国へ軍を動かし、その全てに勝利を収めていく。
そして周辺国を統治下に置くことに成功した、その間も優は様々な国へと赴いていた。
イヒレスへ行き暗殺を成功させてからは、リーチェからは更に信頼された事が原因である。
だがそのリーチェをよく思っていない国もやはり存在する、東の小さな国、ニコン国や大国アムルカ等、国同士の距離は遠いが、いつ火の粉が降り注いでくるかわかったものではない。
そこで共通の敵を倒すための連合が組まれた、軍事力に優れた四国の連合はリーチェの頭を悩ます事になる。
周辺国を収める事に成功したとしても、覆ることの出来ない軍事力の差、統治国の軍を徴兵しても他国の軍では自軍と比べ士気の差は明らかである。
身勝手な戦争に巻き込まれリーチェに対して忠誠を誓ったわけでもない人々が死んでも敵を殺せという命令に快く頷くはずがない、亡命や捕虜として捕まるであろう。
ならばどうするか、こんな時に頼ることの出来る存在は一人しか存在しなかった、彼は夜な夜な再び路地にある部屋へと赴く。
「我が友よ、俺はどうすればいいと思う」
今まで弱音など見せなかったリーチェが頭を抱えている。
優はその姿を見て、言葉では慰めの言葉を送った、だが優の心の中にある黒い何かは爆発寸前の所まで来ていた。
リーチェの問に考え込むが、優が言葉を発する前にリーチェは思いついたかのように目を開いた。
「そうだ殺せばいいんだ、全てを殺せば収まる……何を恐れていたのだろうか、今まで俺がやってきた全てを使いあの連合国を完膚なきまでに倒し勝利を掲げれば、世界の統率者となれるではないか、蹂躙し虐殺し全てを焼き払えば済む話、簡単なことではないか」
そう言葉を発したリーチェの目は正気ではなかった、掻く手は更に強くなり頭皮からは血が出てきている。
毎日のように人を殺し続けた優はその姿を見て改めて思う、目の前の男は『狂っている』と、そして自分も目の前の男になりかけていることに優は気がつく。
このままでは自分の中に少しでも残っている人の心は完全に無くなってしまうであろう恐怖、それはリーチェに背き死ぬ事よりも怖いのではないだろうか。
優はこの日、リーチェの姿を見て考える、自分に残っている最後の罪滅ぼしはなにかと、そんな中一つの言葉が脳裏をよぎった。
リーチェの父であるアルベルトの言葉である、最後には自分に返ってくる、それはリーチェだけではなく自分にも向けられていたのではないだろうかと。
だが、優には考えがまとまらず、リーチェはその場から去っていってしまった。
リーチェは考えに老けていた、どうすれば連合国に対抗できうる力を持つ事が出来るのか。
様々な資料を漁り戦略や武器の改良等、考えつく限りの事は考えた。
そして考えた結果、悍ましい事を思いつく、それは核による無差別な殺戮であった。
「核兵器禁止条約」第二次世界大戦後に定められた国際条約である、リーチェはその事は知っているが、守っていては勝つことが出来ないという考えに至る。
しかし核兵器の開発には多大な時間と金が必要となる、だが時間なら稼ぐことができると考え、指示を出す。
従来の核兵器ならば一発や二発作るのが関の山である、だがリーチェが考えた核兵器は違った、それは核兵器の小型化である。
手榴弾ほどの大きさで周辺を焼き払う、もしこの考えが実現すれば戦争は大きく傾くだろう。
そう確信し考えがまとまった所でリーチェはベッドへと体を沈めた。
書いてて思ったんですが戦争って奥が深い、けど戦争はしたくないです。
誤字脱字などありましたら見つけ次第修正していきます。




