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この荒廃した地で新たな人生を。  作者: 影之 朱里
一章 戦争編
3/8

第二話 開戦

 テンポが早いのは本編への序章のようなものなので、掻い摘んで書いています、ご了承ください。



 アルベルト国王が暗殺された日の朝、侍女が首から血を流した国王を発見した。

国の重鎮達は王の不在の混乱、そして民の不安を危惧し暗殺を隠蔽した、暗殺による死より衰弱による死と国民に伝えたほうが国の混乱が少なくすむからだ。

だが隠蔽するにしても城内は混乱の渦である、国王の見張りだった者は既に逃亡しており、城内はもちろん国内を隈なく探すが見つからない。

騎士は既にリーチェが手を回し、今頃はどこかの土に埋まっているか国外へ逃亡している頃だろう。

それなれば暗殺者を探すが見つからない、痕跡は何も残っていない、騎士は街を慌ただしく走り回る、その様子は知らされていない国民は不安になる事は必然であった。

その事をリーチェが利用しないはずがない、国王の死は裏の人間に手を回させ噂を流していく「国王は暗殺された」と。


 噂が広がるのは早かった、国王の暗殺とは国を揺らがすほどの出来事、王の不在は国民にも被害があるからだ。

国民の不安が募る事に時間はかからない、これを収めるためには代理であろうと国王を据えることである。

王の候補としては三人いる、長男のブランド、次男のレントル、そして三男であるリーチェ。


 長男のブランドは堅実家である、自分が長男であるという事もあり、手堅く王権争いにはあまり参加して居なかったこともあるが、それでも長男という事の影響は大きく有力者の支持者は多い。

そして次男のレントルは控えめな性格をしていた、自分が次男であるという事からはなから王権争いには参加しておらず、最も候補者の中では期待されていない。

次にリーチェである、リーチェには長男程の支持者は居ない、と誰しもが思っていた、だが実態は違った、今まで行ってきたことは長男を支持する有力者達の引き抜きである。

この事はブランドは知らない、既に王になることが確定したかのような自信に溢れた顔をしている。

その顔を見てリーチェは表には出さないが内心嘲笑っている、既に勝利が確証されたようなものだ。


 それから数日後、国王選定の義が執り行われた、国王の選定方法は有力者による国王選挙である。

次代の王に相応しいものを選ぶ、基本は長男が王に選ばれる事が多く、有力者は王の支持をすることで利益を得ようとする。

だが今回の国王選挙では違った結果となった。


 国王選定の義、それは国民を集められ大々的に行われた、集まった国民は万を軽く超え、次の王への期待を膨らませる。

次の国王が国民に発表される時が来た、城下に国民達は集まり上を見上げる。

そんな中、一人の男が中央に立つ、宰相のフィルドレアだ、彼は大きく一呼吸つき口を開く。


「皆が知るとおり前国王であるアルベルト様は亡くなられた、噂では暗殺とされているがアルベルト様は老衰であった、噂はあくまで噂であることを心に刻んでおくようにしてくれ、だが国王の死は多くの民を混乱させる出来事となっただろう、だが先日新たな国王が決まった、次の国王の名はリーチェ・ポースマンである」


 国民の誰しもが疑問に思った、次の国王は長男であるブランドが次ぐものだと思っていたからだ。

だがそれと同時に期待した、三男であるにも関わらずリーチェは国王の座に付いたのだ。

宰相が下がるとリーチェが前に出た、国民はそこで実感する、リーチェの佇まいは見た目は若いが次の国王に相応しい程の貫禄をしていたからだ。

国民は一歩遅れ声を出し歓喜を表す、リーチェは腕を上げ静まるよう促すと、一気に声は止み静寂に包まれる。

皆がリーチェの言葉に耳を傾けている中、緊張している様子もなく堂々としている。


「今回は私のために多くの国民が集まってくれたことを心より感謝する、私が国王になった事でドイズ国は更に豊かにする事をここに誓おう、飢えに耐える事も、犯罪に怯える事も無くなる程の豊かな国にしてみせる、今日この日からドイズ国は大きな一歩を踏み出す事になるだろう、皆も私を信じついてきてくれ」


 その言葉に対する国民の反応は様々であった、ここまで堂々と言えるという事は何か策があるのだろうと思う人も居れば、国王になったことで大きく出た後、実際には口にしたことの半分も成すことが出来ないだろうと思う人も居る。

だがその考えも全て、リーチェの想定内であった、ここまで大きな事を宣言し、実際に現実にした後の事を考えているからである。

そんな事を考えることが出来るのは全てを成功させてきたリーチェだからこその言葉であった。


 リーチェは国王になった事で行動の制限が更に無くなり自由に物事を進めることが出来るようになる。

国王になったことで今まで知りえなかった国の事情がわかるようになる、そこでリーチェが気づいたことはこれ以上手を尽くすことが無い程完成された国のあり方であった。

数百年もの間、歴代の王が改良してきた内政、いくら頭のいいリーチェが王になったところで一代ですぐに変わるほど国の内政は歪んでいない。

ならばどうするか、自国に旨味がないのであれば隣国ならばどうだろうか、自国で取ることの出来ない地下資源など、隣国には豊富にある。

石油や石炭、鉱石などドイズ国では取れないものを輸出する事が出来るようになれば国は富む、だが問題があるとすれば、隣国は自国領ではないことである。

話し合いで奪えないのであれば武力行使も異問わない、この考えこそが後の独裁者として名を世に知られる事になる。


 だがそれを実行するには一つ問題があった、それは軍事力である。

長年戦争のない中、戦争を仕掛けるほどの軍事力が無くなっているのはどこも同じあった、もしもの自体に備え自国を守るだけの軍事力はある、だが戦争を仕掛けるには足りない。

戦争を仕掛けるために軍事力の強化を行うと馬鹿正直に命令しても人は集まらない、だがここでリーチェが取った行動は、再び噂を流すことであった、その内容は隣国が軍備の強化を行っているという噂。

噂が広まれば、備えるという口実で軍事力を高めることが出来る、そして副産物として職のないものを働かせることも出来る、国庫の浪費は先行投資だと考え頭の隅に置くことにした。

 

―――噂は順調に広まる、その噂は城内にまで響いた。

宰相は国民の不安を取り除くという名目で噂の芽は摘まなければならないと考え隣国に対し使者を送る、だがリーチェはそれを逆手に取る。

使者は隣国へ行った後、行方不明となった、この行為は隣国が行ったのであれば宣戦布告だと捉えられてもおかしくはない行動である。

だがその事実は国までは届かない、この事がきっかけで虚言も真実へと変わる、戦争の準備を行っているとしても使者を殺す事は基本は無い、だが相手はそれを実行したと自国に思わせる。

それでも宰相は時間を空け再び極秘に使者を送る、だが帰ってくるはずもなく、一通の手紙だけが城に届く。

 手紙には国王の名と国王しか持つことの出来ない印が押されていた。

だがこの手紙はリーチェが細工したもの王の手紙の偽装工作等、バレれば死罪は免れない、だがリーチェはそれをやってのける。

宰相が手紙を開き中を見ると、一枚の紙が入っていた、その紙には何も書かれていなかった。

白紙で送られた親書、この行為の意味は宣戦布告である、宰相は戦争は避けることが出来ない事を確信した。

  

その間にリーチェは軍の強化に勤しみ研究者には兵器開発の指示をする。

ドイズ国が軍の強化を行っている事を隣国が知る事になるのは時間はかからなかった。


 ドイズ国が戦争の準備をしていると、隣国ではまことしやかに流れ始める。

それも当然のことである、使者を介さなくても隣国には常に数名の国のものが滞在している、密かに行われていた軍の強化でも人材を集めていればいずれ話しは耳に入る。

その噂を真実だと確信するまでに半年を要した、その間、ドイズ国は着々と準備を進めていく。

元々国力では隣国に勝っていたドイズ国が初動で勝っていては隣国の軍事力の差は明白なほどひらいていた。

 

 そして軍の強化にも目処が立ちドイズ国は隣国へ宣戦布告する、この戦争が後の第三次世界大戦に繋がる一歩となる。


 誤字脱字など発見しだい修正していきます。

次話更新は今日か翌日になると思います。

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