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環境保全局の浄化師 〜窓際局と侮るなかれ、不人気官庁の新人ですが裏では世界の危機(穢れという怪異)をひっそり片付けています〜  作者: 真白みこと
第二章 OJT -世界を守る浄化師の役割-

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27. 特殊な防護魔法陣


(っあ〜、昨日は慣れないことしたから疲れたなぁ。)


入局してから、長時間のデスクワークをしていなかった灯里には昨日の魔法陣作成はなかなかにハードだった。

足は立ち上がれないほど痺れ、肩も凝り、目まで朝からしょぼしょぼしている。

なんで魔法陣は細かい模様ばかりなのだろうか…。


今日はイミテーションドームでのOJTだし、流石に昨日のようなことにはならないはず、と前向きに考えて灯里はドームに一歩、踏み入れた。


…すると、そこには想像以上に人が沢山いた。

咲良だけかと思っていたのだが、大量の魔法紙を抱えた防護班員が2人、OJTの様子を見にきたような橘、タブレットを手にしている東雲に、さらには恭弥までいた。


「おはようございます……?」


ついつい問いかけるような挨拶になってしまった。


「おはよう、灯里ちゃん。ごめんね〜昨日の魔法紙の話をしたらちょっと大所帯になっちゃって。」


「いえ、それは構いませんが…その大量の魔法紙はなんでしょうか?」


昨日、あの後灯里が追加で書いたのはせいぜい30枚程度である。どう見ても多い。


「灯里ちゃんが描いた魔法陣と同じものを私や他の班員が試しに描いてみたの!これも発動できるか試してみようと思って!」


…だとしても枚数が多い。あのあと皆んなで残業したのだろうか…。

防護班の就業環境についてはとりあえず、頭から追い払うことにした。


「じゃあ、まずは一番弱いレベルAのイミテーションで試してみよう!」


わくわくしながら東雲が言い、ドーム中央に球体をセットしに向かう。


「ごめんねぇ〜、橘に協力を頼んだら、聞きつけた悠真まで来ちゃったのよ…」


「先ずは、普通の魔法紙で防護壁を展開するぞ。」


ツカツカと中央へ橘が向かい、魔法紙に加護の力を通した。透明の紫の卵形の膜が橘を囲む。


イミテーションドームの中は草原の風景へ変わり、レベルAの小さなウサギ型の穢れが橘へ向かって飛んでいく。


防護壁に当たった穢れは跳ね返るが、とくに弱ることなく、ピョンッと跳躍して灯里たちの方へ飛んできた。

恭弥が飛んできた穢れをペシッと払い退けて簡単に浄化する。


「普通の防護壁なら、弱い穢れの攻撃から中の人間を守れる。」


恭弥は穢れが飛んできたことなど大したことでもないように、手をパンパンと払って言った。


「橘〜、次は灯里ちゃんが作った成功作の魔法紙を使ってみてー!」


咲良が橘に灯里が描いた魔法紙を使うよう指示を出す。そう、昨日30枚ほど追加で作成したが、綺麗に光って完成したのは半分ほどなのである。


橘は頷いて灯里の魔法紙に加護を通して防護壁を展開した。展開の瞬間、普通の防護壁と異なり金色の光が舞う。


またレベルAの小さな穢れが、卵形の防護壁へ飛んでいく。防護壁に穢れがぶつかった途端、金色の光が弾けた。


「っ……!」


灯里は思わず目を閉じる。

数秒後、おそるおそる目を開けると——

そこにいたはずの穢れは、跡形もなく消えていた。


(な、なに?どうなったの……?)


「今のは…防護壁に穢れが浄化されたのか?!」


東雲が興奮したように声を上げる。

灯里は目を瞑ってしまったので、よく見えなかったが、先ほどの穢れがいない、というのは浄化されたということなのだろうか?


「…ああ。中にいたからよく見えたが、防護壁に触れたと同時にあの金色の光に焼かれるように浄化されていったぜ。」


「……こんなことって…起こり得るのね…」


咲良が感動したように呟く。


「九条班長〜!!これは凄いですよ!何十年と続いてきた魔法陣研究でも成し得ていない大発明ですよ〜!」


魔法紙を抱えた防護班員たちも興奮したように騒いでいる。


「防護壁はね、穢れからの攻撃を多少は防げるけど、それ自体で浄化の作用を持つことは出来ないんだ。それに浄化師の攻撃以外で、穢れを浄化できる方法は今までなかったんだよ。」


相変わらず頭にハテナが浮かび続けている様子の灯里の耳元で恭弥がこっそり教えてくれた。

確かにそんなことを座学で聞いた気がする…。


「…ただ、これは...魔法陣の"護"の文字を"諍"に変えただけで本当にこの効果があるのかを確かめないとだわ。」


咲良はぬか喜びせず、自身が描いた魔法紙を取り出した。

魔法陣の模様は灯里の描いたものと同一である。


橘がその魔法紙を使って防護壁を展開する。先ほどのように金色の光は舞わなかった。


先ほどと同じようにレベルAの穢れが防護壁へ向かって跳んでいく。

…しかし、防護壁へぶつかっても穢れは浄化せず、最初の時のように跳ね返った。


ふたたびこちらに跳んで来た穢れを、恭弥が両手でパンッと挟み、浄化した。


「……文字だけが原因じゃなさそうだ。」

東雲は顎に手を当て、しばらく考え込む。

「……次は僕が、霧島さんの描いた魔法紙を使ってみてもいいかな?」


そう言って恭弥は魔法紙を手に取った。こちらへ向かってきた橘と入れ替わるようにドーム中央へ歩き出した。


(…なんか私、変なことしちゃったのかな……)


自分では教わった通りに描いたつもりなのだ。灯里はちょっと不安になった。


つづく


27話をお読みいただきありがとうございます。

次回は引き続き灯里の描いた"魔法紙"についてのお話です。


「続きが読みたい」と思っていただけましたら、

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