23. 分析班①
融合個体との遭遇から4日も経つと、環境保全局は一見、いつも通りに戻っていた。
レベル別にアラートが鳴り、戦闘班が出動していく。
…しかし、2〜3人での任務は無くなり、必ず5名以上での出動へ、ルールが変わった。
融合個体と出会った場合、すぐに本部へ応援要請を出すこともルールに加わり、全班員が小型の周波数測定器を身につけている。
その日は、灯里と白瀬はレベルBの浄化任務を終え、本部で報告書を書いていた。
「今日みたいに普通の穢れの浄化だと、5人はちょっと人員が余る感じがしますね…」
カタカタ…と報告書を書きながら、白瀬が呟いた。
そうなのだ、融合個体との遭遇に備えて、レベルが低くても出動する人数は多く、皆の出動回数は増えていた。
「ま、しょうがないさ。班員たちの安全が確保されることが一番だからな。」
橘はプリントアウトした紙を手に、丸いデスクへやって来た。
「霧島、ちょっといいか。」
「はい。」
灯里は橘に呼ばれ、小さい会議室へ入った。
人にあまり聞かれてはいけない話なのだろうか、何かミスしたことがあっただろうか、と少し不安になる。
橘が紙を灯里に差し出して言った。
「急で悪いんだが、霧島は戦闘班からいったん離れてもらう。その代わり、各部門を回って、そこでのOJTを受けてくれ。」
(…え?なんで……?)
灯里の瞳が不安気に揺れるのを見て、橘が慌てて付け加える。
「飛ばされた、とかそういうんじゃないぞ!融合個体への対策を各部門で立てたり、検討するために、この間の情報を各部門に話してもらいたいんだ。
そのついでに、各部門で戦闘浄化型以外のタイプの加護の使い方を教わってこい。お前のオールラウンダー型の能力はもっと伸ばしていったほうがいい。
それに、戦闘班だけじゃ融合個体には対応できないかもしれない。分析、防護、医療…全部門が連携できるようにしないとな。」
「はい!わかりました。そうですよね、一部始終を知っているのは私だけなので、お役に立てるよう、頑張ります。」
戦闘班から外されるわけではないと知り、灯里は胸を撫で下ろした。
「分析班、防護班、医療班の順に回ってもらう。細かい日程はこの紙に書いてあるから、読んでおいてくれるか。わからないことがあったら、いつでも俺に聞きに来い。」
受け取ったプリントには、日程表や班の名前、OJTの実施予定事項や担当者の名前が細かに書いてあった。
「じゃあ、この後早速で悪いが分析班に顔を出してくれ。東雲には話をしてあるから。」
はい、と頷いて灯里は会議室を後にした。
デスクに戻って荷物をまとめた灯里を、白瀬が不思議そうに見る。
「あれ?霧島さん、もう帰るの?早退?」
ううん。と灯里は首を横に振る。
「こないだの融合個体について、情報共有のためにこれから1週間、各班を回ってくることになったの。」
「そうなんだ。霧島さんと離れるの寂しいな。でも、頑張ってね。」
「そんな、たった1週間だけだよ。」
寂しそうに微笑む白瀬は、哀愁を漂わせている。
(…もう!無自覚王子は危ないったら!)
じゃ、と白瀬に手を振り灯里は分析班のあるフロアへと降りていった。
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エレベーターが3階に止まる。
扉が開いた瞬間、思わず目を瞬かせた。
ピー…カチカチカチ…
カシャン…カシャン…カシャン…
辺りを見回した灯里は、思わず息を呑んだ。そこは戦闘班とは別世界だった。
つづく
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