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環境保全局の浄化師〜不人気官庁に配属された新人浄化師ですが、最強上司たちと一緒に人々の日常を守っています〜  作者: 真白みこと
第一章 環境保全局 入局編

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2. 初出勤


卒業式の翌朝、灯里は重い足と重い荷物を引きずりながら、国の中枢である霞ヶ原の高層ビル群へ向かっていった。

就職許可通知書に書かれていた住所は、想像とは違いオンボロビルではなく、真新しい高層ビルを示していた。


(ほんとにここ…?このきれいなオフィスビルで合ってるのかな?)


あまりにも昨日の周囲の反応や、昨晩土下座をして友人たちから聞き出したおどろおどろしい我が職場の噂話とは一致しない場所である。


綺麗なエントランスホールには、なんの形なのかよくわからないオブジェと、石造りのスタイリッシュなベンチ、そしてレセプションにエレベーターへ入るための複数のゲートが設けられている。

レセプションにはまだ誰もおらず、どうすればいいのよ…と灯里は困り果てた。


「おはよう、霧島さん」


と上から声が降ってきた。

チラッと見上げると端正な顔立ちをした蒼が覗き込んでいた。


「わわわっ!」


あまりの近さにドキッとして後ずさるが、灯里はくらりとよろけてしまった。

トンっと誰かに支えられた。


「おいおい、初日から怪我はしないでくれよ」


「わっ、すみません、ありがとうございま…す…?」


振り返ると美丈夫、という言葉をそのまま体現したかのような体躯の良い男性が立っていた。


(…ん、誰?)

「白瀬蒼と霧島灯里だな?ついておいで」


そう言うと、彼はカードキーを2人に渡し、エレベーターホールへつづくセキュリティゲートを潜っていった。白瀬に続き慌てて灯里もセキュリティゲートを潜った。


灯里は一歩足を踏み入れると、息を呑んだ。その先はただのエレベーターホールではなく、壁と天井の全面に紫色の透明な防護壁が膜のように張られ、ひとつしかないエレベーターの入り口には複数のレーダーが走っている。


「ここは登録者以外は立ち入れないように厳重に管理している。あとで2人とも登録しておいて。」


その人はそういうと、レーダーの前に立った。

するとレーダーが消え、エレベーターのドアが開く。促されるまま、灯里達はエレベーターに乗った。


「あの…環境保全局の方ですよね?」


灯里は恐る恐る、エレベーターのボタンを押す男性に尋ねた。なんだか物凄く迫力がある上に、イケメンすぎるので気遅れする。彼が振り向くと、黒髪に混じる金髪の髪がキラキラ光った。金色の眼を細めたその人は、


「うん、ま、そんなところ。君達とはそんなに関わらないと思うよ」


とサラリと答え、また黙ってしまった。


(き、気まずい〜、っていうかもうちょっと愛想の良い人が迎えに来てくれないかな〜!)


重い沈黙に耐えていると、最上階でエレベーターが止まった。降りるとそこはまるで高級ホテルのラウンジのようで、ふかふかの絨毯や重厚な家具が置かれている。


(な、なにここ?!え?本当に職場?!)


チラッと隣の白瀬を見るが、特に驚いた様子はしていない。すると、奥の方から1人、眼鏡をかけた男性がやってきた。


「あれ?恭弥が連れてきたの?咲良さんがお迎えに行ったと思ってたよ。」


「ん〜、たまたま、下にいたから連れてきた。」


「え〜、間違ってたらどうするのさ、まぁキミならそんなことないだろうけど。あ、初めまして、白瀬くん、霧島さん、ようこそ環境保全局へ。学園を卒業したての新人を迎えるのは初めてなんだ。不慣れでごめんね。僕は東雲悠真、この局の分析官。戦場では参謀役かな。」


アッシュグレーの髪にフレームレスの眼鏡をかけた東雲は、にっこりと微笑んだ。


「しっ、東雲さん!あの、大昔に僕、お会いしたことがあって、ずっと憧れています。同じ職場で働かせていただけて光栄です!」


突然、白瀬がはきはきと挨拶をして東雲と握手をした。謎のキラキラビームが彼からも出ていて、その眩しさに灯里はめを細めた。


(イケメンビーム、眩し…)


「霧島灯里です。宜しくお願いします。」


灯里はとりあえず無難に名前を告げ、頭を下げた。

灯里の挨拶が終わると、じゃ、と恭弥と呼ばれた人は颯爽と奥の部屋へと消えていった。

すると、背後でチーン!と音が鳴り、ホッとしたような甘い声がした。


「あぁ〜ん!良かったぁ。レセプションに着いたら誰もいないんだもん。恭弥と知らない魔力残渣があったから、もしかしてって思って上がってきたの。2人とも無事に入れたのね〜、迷子になってなくて良かったわぁ〜」


エレベーターから降りてきた美女は紫色のウェーブのロングヘアを揺らしながら、ホッとした声を出した。


(何ここ〜、顔面偏差値高い人しかいないんですけどぉ、、)


「白瀬くん、霧島さん、紹介するね、彼女は九条咲良、防護班班長。この局トップクラスの結界術師だよ。当面、2人が慣れるまでのサポートとか内勤的な業務の指導は彼女から受けてね。こう見えても封印のスペシャリストなんだ。」


「ハァーイ!咲良さん、か、咲良お姉様って呼んでね〜♡」


「じゃあ咲良さん、僕は恭弥と打ち合わせがあるから2人のこと、お任せするね。」


「もちろーん!大丈夫よ。じゃ、また食堂で。」


東雲が先ほど恭弥が消えた扉の方へ行くのを見届けると、咲良が元気よく振り返った。


「よーし!2人ともいらっしゃい!先ずは浄化師の制服の配布と正装の採寸をしちゃいましょう!」


(ん、、、?浄化師?)


「あの、咲良さん、浄化師ってなんですか?私たち魔法師になったんだと思ったんですが…」


おずおずと灯里が尋ねると、咲良はキツネにつままれたような顔をした。


「あれ…?灯里ちゃん、なーんにも知らずにウチに来ちゃった….?」


「昨日の様子をみるあたり、噂話程度しか知らないようですよ。今、こちらの情報は秘匿性が高過ぎて白家の僕でも、3ヶ月前の職場選択の時まで父から知らされていませんでしたし。」


白瀬の呆れたようなコメントに、咲良は頭を抱えた。


「ううう、情報防護強くし過ぎたかしら…悠真のやつ、セキュリティレベルどこまで上げたのよ…。」


灯里の頭の中はハテナで埋め尽くされている。一体この謎のゴージャス空間に不思議な防護魔法はなんなのだ。イメージしていた無機質な箱のような職場とは程遠い。


「よし!ここで唸っててもしょうがないから、採寸しながら説明しましょ!こっちの部屋にいらっしゃい〜」


灯里達は素直に従い、咲良が開いた豪華な木製のドアの部屋へ入った。


つづく



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