13. 初めての浄化
ワンボックスカーに乗り、灯里たちは穢れの発生が報告された地点へ向かった。
発生が報告されたのは住宅街の一角にある、日当たりの悪い小さな公園だった。
4人はその公園に降り立ったが、穢れは見当たらない。
「橘さん、穢れってもう移動してますよね…?」
「ん〜、まぁ見てなって」
灯里は単純に不思議に思った。穢れの報告地点に今来ても、もうとっくに穢れはいないはずだ。
奴らは生き物のように容易に移動できる。
橘は公園のトイレの陰の方へ歩いて行き、すぐそばの地面にゴルフのティーのようなピンを取り出して刺した。
「残渣測定を開始します。」
千景がタブレットのアプリを起動して言った。
アプリを覗き込むと、マップが表示され、放射線状に円がついたり消えたりした。
しばらくすると、ピッピッという音がタブレットからした。
「追跡できそうです。」
「おっ!今日はツイてるな。」
(???)
灯里がタブレットを覗くと、地図上の今いる場所から中心角が30度くらいの扇状の部分が赤く囲われている。
千景がその部分を指差して言った。
「穢れって、それぞれ固有の周波数を持っていることが分かっているの。さっき採取した周波数と同じものが、この赤い範囲で計測されたってこと。
だから、この穢れは今、この辺りにいるって予測できるのよ。」
「おおー!便利ですね。闇雲に探さなくて済みますね!」
「昔は足で探してたらしいけどね。」
千景が肩をすくめた。
「えっ!?」
「浄化師が何時間も街を歩き回ってた時代があったのよ。」
「想像以上にアナログだった…」
灯里が驚く横で、白瀬が少し胸を張って言った。
「これを開発したのが東雲さんなんだよ。」
「あの人ってそんな凄い人だったの?!なんか飄々としてる人だな〜って思ってた…」
「当たり前だろ!東雲さんはいろんな実績があって、なんてったってあの若さで分析部門の副部門長なんだぞ!」
(あ、始まった…)
未だに理由を詳しくは聞いていないが、白瀬は東雲を尊敬してやまないのだ。
「まっ、まぁまぁ、じゃあ探しにいこっか。」
千景が2人を宥める。
「なんだぁ〜まだまだお子ちゃまかい〜?新人二人組は〜」
ニヤニヤする橘の背中に、千景が軽いチョップを入れた。
「はいはい、先行くわよ。」
そう言って千景が歩き出した。
ガサッ...
(ん……?)
微かな気配がして、灯里は公園の茂みを振り返った。
バサッ
何かが灯里たちめがけて飛んできた。
灯里は咄嗟に防護壁を展開する。壁にバン!と当たったのはカラスのような形をした穢れだった。
実際に触れてはいないものの、半分の羽が衝撃で折れ、ベトベトしたヘドロのような液体を垂れ流している。
あまりの気持ち悪さに、イヤッ!と小さく叫ぶ。
その瞬間、訓練で橘に何度も叩き込まれた動きが頭をよぎった。
(考えるな、動け!)
灯里は加護を纏った足で穢れを蹴り飛ばした。
穢れは一瞬だけ眩く光ると、灰のようになって消えていった。
心臓がドクドクと音を立てていた。
(……え、できた……?)
パチパチ、、、と拍手が響いた。
「お手柄だな、霧島。初浄化おめでとう。」
橘が真剣な目をして言った。
つづく
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
本話でやっと灯里が浄化師として歩み始めました!
この第二章から、更新予定や環境保全局の小ネタなどを、少しずつ後書きでもお届けしていきたいと思います。
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次の話も楽しみにしていただけたら、と思います。
真白




