12. 新人、現場へ
2章 プロローグ
—灯里は目の前に対峙する"穢れ"を見た。
大きさでいえば下から三番目程度のレベルCだが、スペックが一般的なレベルCより確実に高い。
じり…と後退りして逃げたくなったが、自身の脚にしがみつく温かい存在を見てハッとした。そうだった、彼らを守るために踏ん張ると決めたのだったー
ーーー
10日前
「おーし!第七班、集合〜!」
朝10時、そう早い時間ではないが、まだまだ眠そうな顔の班員が橘の号令に引き寄せられるように集まってきた。
「はよーす。」
灯里と白瀬を含め、全部で7人ほど集まった。
橘は2人の側に立って、班員へ向かって話し始めた。
「よくここで顔を合わせてるからみんなは知ってると思うけど、今年の新人、霧島灯里と、白瀬蒼だ。2人ともゆくゆくは戦闘部門のいずれかの班へ配属になる予定だが、今日からOJTの一環として実地の任務に就くことになった。」
橘は班員達の顔を見回した。
「基本的には俺と一緒にレベルの低い穢れに対する任務から始めていくが、七班のどこかのチームの任務に参加させてもらうこともあるから、サポートしてもらえるとありがたい。
特に霧島は戦闘浄化型で基本的に体術での戦闘スタイルだから、危ない時は助けてやってくれ。」
灯里は申し訳なさで俯いた。すると、灯里よりやや背が高いくらいの男性が明るい声で話しかけた。
「ダーイジョーブ!あかりん!俺も戦闘浄化型なんだけど、最初なんてもーずっとボロボロだったもん。
ただ、レベルが上がれば上がるほど、直接攻撃じゃないと浄化できないことも増えていくから、むしろオレたちみたいなタイプは貴重なのよ?
自信持ってこ!」
顔を上げると、目の前にニコニコと笑う元気な男の人が立っていた。
しば犬を連想させるような明るい茶髪を、ツンツンと立ててセットしていて、いかにも元気の塊!という感じの人だった。
その笑顔から力をもらい、灯里は元気よく返事した。
「はい!ありがとうございます!」
「ありがとな、長谷。よし!今日は俺、千景、霧島、白瀬の4人で組むぞ。
残りのメンバーはレベルD以上の要請への対応と緊急出動に備えて待機。19時には夜勤組と交代しておくこと。」
パンッ!と場を締めるように橘が手を叩き、一同は解散した。
第七班の女性隊員、風間千景が灯里たちの近くへやってきた。
「今日は宜しくね。私も霧島さんと同じ戦闘浄化型なんだけど、接近戦は苦手で…。銃器での後方支援をメインにしているの。」
(銃かぁ〜かっこいいなぁ。試してみたんだけど、精密な加護の付与ができなくって諦めるしかなかったんだよなぁ…)
吸い込まれそうなエメラルド色の瞳を細めて優しく微笑む千景に、灯里は少し安心した。
「千景、今日は何の任務を請け負ってる?」
「はい、今日はレベルAの群れです。小規模なカラス型の穢れですね。環境保全局の災害レベルでは最も低い分類です。」
橘は少し考えて言った。
「よし、上と下の二手に分かれていこう。最初はおそらく地面にいるだろうから、それを灯里と千景で蹴散らす。飛び立った残りを白瀬の風魔法で浄化しよう。」
「「「はいっ!」」」
灯里は緊張で喉がからからに渇くのを感じた。
つづく




