参観日の家族参加型授業で嫁たちが無双する(その5)。
お待たせして申し訳ありませんでしたm(_ _)m
今日明日連続投稿致します!
『子守り勝負』とは一体どんな競技なのだろうか?
「おい、こんな競技札なんて入れてあったか?」
「入れた覚えはないがこれは正式な競技札だぞ?」
「さては古い競走札が紛れ込んでしまったのか?」
先生方も覚えのない競技札に戸惑っているようだ。
「古いルールブックを持ってきました!これに書いてあります!」
そして競技内容が説明される。
『子守り勝負』
各チームひとりずつが参加。
それぞれが個室で幼児をあやす。
早く寝かしつけることができた方が勝利。
泣かれた時点で敗北。
20分経っても寝なければ無効試合として競技を決め直す。
「無効試合が多かったからもうやっていないはずの競技らしいですね。ですが特に問題ないからとりあえずやることにしますか」
「でも肝心の幼児はどうするんですか?」
「幼児ならここに居るですぅ!」
と、Aクラスの担任が3歳くらいの女の子二人を連れてきた。
そっくりだから恐らく双子なのだろう。
「君、この子達はどこの子だね?なぜ校内に居る?」
「えっ?!そ、それはそのぉ⋯そうそう、家族参観に来ていた保護者からはぐれて迷子になっていたのをボクちんが保護したんですぅ!」
「それなら保護者を探すべきだろ!」
「探している間に子守りをしてもらえばいいと思って連れてきたんですよぉ!」
「ふむ、それならかえって好都合か」
審判役の先生方も納得したみたいで、いよいよ子守り勝負を始めるみたいだ。
だが自慢じゃないが俺が迷子を保護しようとして泣かれたことが何度もある。
泣いている迷子を届けるたびに警察に犯人扱いで事情聴取され、『この顔にピンと来たら良い少年』という似顔絵が交番に配られてからは迷子を連れていっても誘拐犯扱いされなくなったけど。
もちろん俺の顔を見て泣かない子も居たけどほんのわずか。
あの子が運良く俺の顔を怖がらない子なら大丈夫なのだろうけど、ここは嫁の中で子守りが得意な誰かにやってもらおう。
「子守りが得意な人って居る?」
「「「「「はいっ!」」」」」
なんと全員が手を挙げてくれた。
「いつでもレイジとの子供を育てられるよう、家事と育児の修行は怠っていないのじゃ!」
「部活で嫁部を作って日頃から研鑽していますから!」
久遠と夕菜が自慢げに胸を張り、他のみんなもうんうんと頷いている。
「じゃあ誰にしようかな⋯」
凄く期待に満ちた目で俺を見つめてくれる嫁たち。
あの子達は双子だから真綾か沙綾の方がいいかな?
それともまだここで活躍していない人にしようかな?
と悩んでいると、エリアンが声を上げる。
「こっちの出場者は俺だ!」
「なんだと?!」
相手が代表者を出す時はこちらも代表者を出さなければならない。
つまりは俺だ。
「頑張るのじゃレイジ!」
「旦那様ならできます!」
「もし負けたら帰ってから子守りの練習をしましょう!⋯そのためにもまずは子作りの練習から⋯はあはあ」
久遠やフィーネが励ましてくれるのは嬉しいが、神野先生の聖職者らしからぬセリフはスルーしておこう。
「ではこの個室でひと組ずつ子守りをしてください。本来の予定にない競技だったのでおもちゃなどあやす道具を入れられませんでしたから、各自工夫して寝かしつけてください。制限時間は20分で、泣かれた時点で敗北となります」
部屋の中にはベッドと机があり、机には紙と鉛筆が置かれていた。
せめて色鉛筆ならお絵描きとか出来たのにな。
とりあえず折り紙でもしてみようか?
女の子だから可愛らしいものがいいのだろうけど、紙飛行機くらいしか折れないんだよなあ⋯。
「⋯⋯」
女の子はじっと考え込んでいる俺を見ている。
迷子なのに不安じゃないのか?
「君の名前は?」
「⋯⋯」
言いたくないのかな?
「お母さんが来るまでお兄ちゃんと遊んでいようか?それとも寝る?」
「⋯⋯にかいめ⋯」
ん?二回目ってなんの事だ?
○Aクラスの担任視点
ふっふっふぅ。
あの子供たちはただの子供じゃないでぇす。
禁忌とされるホムンクルス製造実験でボクちんが作り出した人工生命体なのだよぉ。
そしてあの二人はボクちんの言うことしか聞かないのでぇす!
エリアンと一緒に居るホムンクルス7号はエリアンから10回話しかけられたら寝るように命じてあり、レイジと一緒に居るホムンクルス8号はレイジから10回話しかけられたら泣くように命じてあるんでぇす。
つまりこの勝負は絶対に負けないのでぇす!
それにエリアンには秘策も告げてあるのだから完璧でぇす!
○レイジ視点
「何して遊ぼうか?」
「⋯よんかいめ⋯」
「何を数えているんだ?」
「⋯ごかいめ⋯」
俺が話す度にカウントしているようだが、なんの遊びだろうか?
「あ」
「⋯ろっかいめ?ううん、ちがう⋯」
「遊ぼ」
「⋯ろっかいめ⋯」
どうやら俺が話しかけた回数をカウントしているみたいだな。
「どうして俺が話す言葉を数えているんだい?」
「⋯ななかいめ⋯あとさんかい⋯」
あと3回?つまり10回目になったらなにかするのかな?
もしかするとこの競技にはNGワードやNG行動があって、10回話しかけると失格になるとか?
そんな説明はなかったけど、あえて伏せられている可能性もあるよな。
それなら話さないで動作であやしてみようか。
○エリアン視点
俺は頭にきていた。
ここまで負け続けたから?
いや、たとえ悔しくても頭にくることは無い。
俺の担任がとんでもないことを俺に囁いたからだ。
「あの子はあなたがしばらく話しかければ寝てしまうはずですがぁ、あなたの雷の力ならバレないように気絶させることもできるはずでぇす」
「なにっ?!」
「上手くやるのでぇす」
冗談じゃない。
兄弟がものすごく多い俺は兄たちに育てられ、弟たちの面倒を見てきた。
それなのに子供ひとりくらい寝かせられないと思ったのか?
それ以前にこんな小さな子を雷で気絶させろとは!
⋯クラスのために勝つことが何より優先とは言え、そんなやり方に従えるか!
俺は俺のやり方で勝つ!
「君の名前は?」
「⋯いっかいめ⋯」
「え?名前を聞いているんだけどな」
「⋯にかいめ⋯」
これはなんのカウントだ?
話しかけるとカウントしているようだが⋯まさか何かの罠か?!
○レイジ視点
とりあえず俺の顔を見ても泣かないのは助かったな。
しかし寝させるのって、子守歌?いや、そういう歌はよく知らないな。
うんと体を動かして、疲れたら寝るんじゃないだろうか?
でも小さい女の子と体動かす遊びなんて何があるんだ?
⋯⋯よし!幼児向けテレビ番組に出てくる『体操するお兄さん』になりきってみるか!
「さあ、何とかちゃん。お兄さんと一緒に体操をしようね!いちにっ、いちにっ」
「えっと⋯わたしのなまえをまちがえたのは、はなしかけられたのにはいるのかな?⋯それと、わたしは『何とかちゃん』じゃなくて『8ごう』だよ」
8ごう?それって名前じゃなくてあだ名か?
もしかしてルーマニア語の翻訳ミスなのかも⋯そう言えば○○号といえば漫画やアニメで改造人間や人造人間の名前になってるよな?
「もしかして、君って誰かにつくられたの?」
「きんそくじこーなのでいえないの。えっとたしか、これでななかいめだよね?」
禁則事項って言った時点で当たりじゃないか!
それにしてもあと2回しか話せないのか。
何とかしないと⋯⋯。
とりあえず状況を整理すると、この女の子は迷子ではなくて、誰かが意図的に連れてきた可能性が高い。
高確率で迷子の第一発見者であるAクラスの担任だよなあ。
おそらく俺と10回会話すると泣くように言われているのだろう。
逆にエリアンの方は何回か会話したら寝たフリをするんじゃないのか?
このままではこの子を泣かせなくても負けてしまうから⋯
俺は心の中で彼女に呼びかけてみる。
『聞こえるか?女神ロリーナ?』
『⋯レイジ?うん、ちゃんと聞こえているわよ』
『やっぱり今でも俺の心の中で会話できるんだな?』
最初に彼女と会話した時が心の中での会話だったからな。
『心の中の会話じゃなくて、心の表層の会話よ。だから隠したいことは隠せるわよ』
『俺がロリーナの事を大好きなこととか?』
『?!?!?!?!』
ガシャンと部屋の外から音がしたけど、椅子ごと倒れたのか?
『ごめん、大丈夫だったか?』
『大丈夫だけど不意打ちすぎるわよ!まったく⋯そういうことは直接言って欲しいんだから⋯』
女神ロリーナがモジモジしている姿が目に浮かぶようだ。
『ロリーナ、頼みがある』
『何?』
俺はかくかくしかじかと事情を話す。
『つまり、相手がインチキしないか見張ったり、Aクラスの担任や女の子たちの事を調べればいいのね』
『頼むよ』
よし、これで俺は子守りに専念できる。
みんな、頼んだぞ!
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