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【クリスマス番外編】もしもレイジが高校で100人の嫁をもらわなかったら。

メリークリスマス!

今日は番外編をお届けします!

年末年始辺りに本編をまとめて投稿する予定です!

大学生になって初めてのクリスマス。


と言っても大学の授業は12月27日まであるのだけどな。


高校の時に裏の稲荷神社の神様である久遠が『高校で嫁が100人できるのじゃ!そうでなければ大学生になってから子供が100人できるのじゃぞ!』と言われたけど、そんなはずないだろうと俺は取り合わなかった。



高校ではまたしてもボッチで、大学生になってもそれは変わらなかった。


友達はもちろん恋人も出来なかった俺に、どうやったら子供が100人も出来るのか教えて欲しいものだ。



クリスマスはもちろんひとりきりのクリぼっち。


でもそれに慣れた俺は別に寂しくも何ともなかった。

うん、寂しくないからっ!





両親は相変わらず海外で仕事。

マリア姉さんとカレンは家だけど、俺は大学生になって一人暮らしを始めた。


運良く風呂トイレ付きの安いワンルームが見つかって、バイトしながら大学生活を楽しんでいる。




そしてクリスマスイヴの晩。


借りてきた映画のブルーレイをひとりで見ていたが、内容はまさかのホラーだった。


「これはタイトル詐欺だろ」


『真紅のグリーンオアシス~アクション映画の最高峰~』


確かにアクション映画だけど、ゾンビや被害者の撒き散らす体液で辺りが真っ赤なんだけど?!


いくら真紅とグリーンだからって『クリスマスに見るべき映画100選』に入れておくか?


あっ、もしかして恋人と見ていたら『キャー怖い!』とか言って抱きついたりするのが目的なのか?


まあ、俺はボッチだから関係ないし、ホラー映画は気持ち悪くても怖くはないけどな。








「…ん?」


どうやら映画を見ながら寝てしまったようだ。


時間は…ちょうど0時か。


「メリークリスマス!」

「え?!」


いきなり背後から声がして振り向くと、知らない女の子が居た。


中学生くらいで、前髪パッツンの可愛らしい子だが…サンタの服を着て大きな袋を持っている。


「ロックしてなかったのかな?」

「してあったよ」

「じゃあどうやってここに?」


俺に全く気付かれずに近くに来れるのはマリア姉さんくらいだと思うけど。


「サンタクロースだから入れたの」

「それ本気で言ってる?」


確かに完全な密室に入れるとしたらサンタクロースくらいだと思うが…煙突は無いけど。


「それでね、今日はパパにプレゼント持ってきたの!」

「パパ?!」


まだ二十歳にもならない俺にこんな大きな子供がいるはずがない。


「何かの間違いでは?」

「ううん、本当だよ。だって私は未来から来たから」

「未来?!」


それなら有り得るのか?

でもそもそもボッチの俺に子供なんて出来るのか?


「お母さんは誰なんだい?」

「それは禁則事項です。ふふっ」


その笑顔が何となくマリア姉さんに似ているような…いやいや、よくおばさんやおじさんに似るって言うからな。


血の繋がったマリア姉さんとの子供とか、何馬鹿なことを考えてるんだ?


「というわけで、まずはこれね」


女の子が取り出したのは『間取百倍増』と書かれた御札だ。


「これを壁に貼ってと」

「あっ、こら!何を勝手に…うわあっ?!」


女の子が壁にその御札を貼ると部屋がぐーっと広がってとんでもない広さになった。


「なにそれ?ドライモンの不思議道具?」

「ううん、これはおばさま・・・・にもらったの!」


そんなもの持ってるのって、どんな人だろうか?


「この広さなら大丈夫ね」

「一体どんな大きさのを出すんだよ?外じゃ駄目だったのか?」

「お外は寒いから」


雪が降っている訳でもないしサンタコスは暖かそうなのに寒がりなんだな。





「はい、もう出てきていいよ・・・・・・・

「はーい」

「え?」


女の子が袋の中に話しかけると、袋の中から誰かが返事をした。


「過去のお父さん、初めましてだねっ!」


ポニーテールの可愛らしい高校生くらいの子が袋から出てきた?!


それに『お父さん』って、この子も俺の子供なのか?!


「父上、初にお目にかかる」

「ぱーぱ、こんにちはー」

「……ふん」

「とーさん!へえ、やっぱり若いんだあ!」


と口々に言いながらどんどん袋から出てきた女の子は…98人。


サンタの子を合わせて99人だ。


「これ、全部俺の子?」

「そうよ」「そうだよ」「だねー」


なんてことだ!本当に大学生になってから100人の子供が出来るなんて!


「でもひとり足りないよな?」

「最後のひとりはわらわの子じゃ」


そう言って袋から出てきたのは、稲荷神社で出会った神様、キツネ娘の久遠だ。


大学に入る前にも一度会っているけど、大人っぽくてすごい和装美人だ。


でも…


「そのお腹、もしかして?」

「そうじゃ!レイジとの子供じゃ!」

「俺は何もしてないのに?!」

「願い事の利子がトイチでついて、何もしていなくてもレイジの子を孕んでしまうのじゃ!」

「なんだって?!」


借金じゃなくて利子がトイチって何?!


それならここにいる子たちの母親は自分が望んでないのに妊娠して産んだってことじゃないのか?!


「ちなみに私のママはね」


サンタの女の子は微笑むと、


「マリ…」










はっ?!



なんだ、夢か。


「どうしたのじゃ?」


珍しくキツネ状態ではなくキツネ娘状態で俺の横に寝ている久遠。


思わず起き上がった久遠のお腹をまじまじと見てしまう。


「良かった、大きくなってないな」

「ん?確かに昨夜はたくさん食べたが、お腹が出るほどではないのじゃ」

「いや、赤ちゃんができてなくてほっとしたんだよ」

「あ、赤ちゃんだじゃと?!」


プシューと湯気を立てて真っ赤になる久遠。


「い、いつの間にレイジはシタ・・のじゃ?!わらわは覚えておらぬぞ!」

「違うんだ!実はこんな夢を…」


慌てて夢の内容を説明する俺。


「そうじゃったのか。それは面白い夢じゃの」

「俺は本気で焦ったからな」

「どうせいつかは本当のことになるのじゃ」

「それはそうだろうけど…まだ早いよな?」

「わ、わらわは心の準備だけは…いや、まだ準備中なのじゃ!もう少し待って欲しいのじゃ!」

「それはこっちもだよ」

「それなら良かったのじゃ」


そう言いながら抱きついてくる久遠。


久遠は何となくキツネっぽい野生らしい良い香りがするなあ。

濡れた毛のような香りと言うか。


ぎゅうう


「そ、そんなに強く抱きしめられたら困るのじゃ!が、我慢ができなくなるのじゃ!」

「我慢?」


まさか久遠は…して欲しいのか?


「限界なのじゃっ!」


久遠はポンと音を立ててキツネモードになる。


いつも服はどこに消えるんだろ?と思うが。


「あちこち撫でて欲しいのじゃ!」

「任せろ!」


そして俺は存分に久遠をモフり倒したのだった。

お読みいただきありがとうございました!

良いクリスマスと年末年始を!

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