参観日の家族参加型授業で嫁たちが無双する(その1)。
年末年始の更新が遅くなりました。すみませんです!
元日も更新する予定です!
相手のクイーンが取った駒はこちらのナイト。
ナイトを取られた時は『馬』を使った競技を行うのだが、どんな競技にするかは取った側が選べる。
乗馬して速さを競うのでも、馬を持ち上げるとかでもいいのだが、優劣が付かないと思われる競技は却下されて守備側が決められるようになる。
「当然馬術、競馬で勝負だ!距離1200のコースでな!」
エリアンがそう言うと、相手チームの中から1人の男性が立ち上がった。
「次男のアレックス兄さんはルーマニアの競馬界期待の新星で、すでに多くの勝利を収めている騎手だ!」
と自慢げに言うエリアン。
俺が嫁たちの方を見ると、すっと蒼が立ち上がった。
「賛族の馬術、とくと見せてやろう」
紅たちは5歳の時から始皇帝の側仕えとして相応しいよう様々な技術を仕込まれたそうだから厳密に言うと蒼の使う馬術は秦の馬術なんだけど、賛族が滅ぶ前に見ていた父親の馬術を蒼はしっかり覚えていて、両方の馬術を組み合わせて自らのものとしているそうだ。
「頼むよ、蒼!」
「御館様、お任せ下さい!」
そして蒼とアレックスさんは何頭もの馬が繋がれた所に向かう。
「自分と相性の良い馬が見つかれば勝負を有利に勧められる。俺が選ぶのは…コイツだ!」
早々に馬を選ぶアレックス。
「この中で最も速く言うことも聞く馬がコイツに違いない!よし、お前の名はスピードスターだ!」
「おお!さすがアレックス兄さん!これで勝ったも同然だ!」
騒ぐエリアンたちに目もくれず、蒼は一頭の馬に歩み寄る。
「ブルル?」
その蒼を不機嫌そうな声を出して威嚇する白っぽいグレーの馬…ああいうのを芦毛って言うんだっけ。
「フハハハハ!確かにその馬の体つきは良いが、その気性では乗ることもままならないぞ!」
「それはどうかな?」
蒼はその馬に付いている馬具を外していく。
「一体なんのつもりだ?!」
「こういうことさっ!」
ひらりと馬具を付けていない馬に飛び乗る蒼。
「フィヒヒーン!」
馬は後ろ足立ちになって蒼を振り落とそうとするが、蒼は腿で馬の背を挟みつけて離さない。
「落ち着けっ!そらっ!」
たてがみを掴み背を撫でるようにすると馬はあっという間に大人しくなる。
「よしよし、いい子だ」
「あんな気性の荒い馬を手懐けただと?!」
「ふん、このくらい○マ娘でSSを育てるより楽だ」
蒼ってソシャゲやってるの?!しかもかなりやりこんでるっぽい?!
「さあ、行こうか『ハルオモテ』!」
ウララじゃなくてオモテ?!
とか驚いてる場合じゃないや。
ネーミングはともかく、蒼ならきっと勝ってくれるよな!
「騎手アレックスの駆る『サンダーバード』!対するは騎手蒼の駆る『ハルオモテ』!」
前に俺が勝負に使ったのと同じゲートに2頭が入ると、合図とともにゲートの扉が一斉に開く!
いや、蒼の所だけだけ開いていないだと?!
「運が悪かったな?多分錆びていたんだろ?」
そう言いながらせせら笑うエリアン。
「こんなレースはやり直しだよ!」
手を挙げながら立ち上がってそう言ってくれるはやて。
「このブレイブチェスは3人の審判のうち2人が競技のやり直しや無効を認めない限りそのまま続行されるのだよ!」
「なんだって?!」
エリアンの言う通り、審判の3人は沈黙したままだ。
どうやらそのくらいのトラブルでは続行するらしい。
「はやて、ありがとう。でも蒼なら大丈夫だよ」
俺は蒼の方をじっと見つめる。
そう、蒼ならきっと何とかしてくれるさ。
「ふっ。蹴り飛ばせハルオモテ」
「フヒヒヒヒヒーーーン!」
バキバキィッ!
蒼の言葉を解したのかハルオモテは前足を高く振り上げるとゲートの戸を蹴破り飛び出した!
「フイィッ?!」
後方からの大きな音に前を走っていたスピードスターが驚いて嘶き立ち止まってしまう。
「どうしたっ?!早く走れっ!スピードスター!」
「もう遅い」
驚き怯えた馬を宥めるのはプロでも難しいのだろう。
ようやくスピードスターが走り出した時にはすでにハルオモテはゴールした後だった。
「こんなのは無効だ!やり直しだ!」
エリアンの訴えも虚しく勝負は有効。
蒼の勝ちだ!
「やりましたぞ!御館様!」
馬から降りた蒼が俺の前にやって来て、報告するとすすっと頭を差し出してきた。
「ありがとうな、蒼」
そう言って頭を撫でると蒼は気持ちよさそうに目を細める。
「あんな大人っぽい美人があんな可愛らしい表情をするなんて!」
「くっ、レイジめ爆発しろ!でもよく勝った!」
「凄いぞレイジ!でも羨ましすぎるっ!」
なんだか応援に嫉妬が混じってるようだけど、蒼たちは美人だから仕方ないよな。
この勝利で相手のクイーンはこちらのナイトを取る事が出来ずに元の位置に戻された。
そして手番は俺に移る。
「ジャンヌ、このまま進めようか?」
「いや、こちらが全員揃ったのだから敵陣にクイーンを飛び込ませればいい」
さっき相手がやった戦法だな。
競技に負けなければ駒を取られないのだから。
「ではクイーンでルークを取るぞ!」
「取れるものなら取ってみろ!ルークを取る時の競技は我々の得意とする武術だからな!」
どんな武術にするかは攻めた側であるこちらが決められるのだが、そんなに自信があるのか。
「ではこの中から選びなさい」
先生が指し示した看板には
『武術:無手』
『武術:武器』
『武術:的当』
『武術:破壊』
と記されている。
武器の有る無しで戦うか、目標に命中させるか破壊するか。
ちなみに武器を使う場合は木製の武器と防具を使うようだ。
さて、どうしようか?
「私に任せるんだレイジ君!無手での戦いなら誰にも遅れは取らない!」
そう言ってくれたのは俺と同じくこの学校に留学してきた明日香先輩だ。
確かに明日香先輩の合気道なら彼らにも勝てるだろう。
「頼みます、先輩」
「ふっ、任せてくれ」
そう言うと先輩は制服姿のまま舞台に上がる。
「先輩!道着に着替えないんですか?!」
「時間が勿体ない。これを見てくれ!」
ばっとこちらに向けてスカートを捲る先輩。
わ…黒い短パンみたいのを履いていた。
「これなら見られても大丈夫ですから!」
「明日香さん!はしたないですわよ!」
「はいっ!マリア先輩、申し訳ありません!」
マリア姉さんの威圧を受けて平謝りする先輩。
うん、やっぱり姉さんは最強だよな。
「それでは武器を使わない勝負を始める!相手を気絶させるか、舞台の上から落とすか、代表者によるギブアップ宣言で勝負がつく!」
先輩と対峙するのは身長2メートルはある巨漢。
そして両腕の脇を開いて上に掲げ、やや後ろ足に重心を掛けているタイ式キックボクシング、すなわちムエタイを使うのが見て取れる。
「ふっ、知っているぞ。その女は合気道を使うのだろう。だが四番目の兄フルモルに勝てると思うか?」
「先輩がその程度の相手に負けるはずないだろ?」
「もちろんだとも!見ていてくれレイジ君!」
先輩はなんとフルモルと同じムエタイの構えを取る。
ただし拳は握らずに開いたままだ。
「ぬ?お前もムエタイを?」
「さあな?」
ニヤリと微笑む先輩。
いつになく好戦的な先輩を見ているとドキドキしてしまう。
一体どうやって勝ってくれるのだろうか?
「フルモル兄さん!そんなのはこけおどしだ!」
「黙ってろ!」
「ひいっ?!」
フルモルの剣幕に悲鳴をあげるエリアン。
よく見ると動いていないのにフルモルの額から汗が流れ落ちている。
「合気道を実戦的に極めると相手と対峙するだけでプレッシャーを与え、相手の『気』を飲むことが出来るのじゃ」
「そうなのか…って、おばあさん、誰?!」
いつの間にか俺の横に70歳くらいの小柄なおばあさんが立っていた。
この雰囲気は…まさか?!
「ほっほっほっ。孫が世話になっておるのう」
「やっぱり先輩のおばあさん?!」
つまりこの人が…実戦的合気道『永源会』の創始者、伝説と呼ばれた合気道の達人!永見真琴なのか!
お読みいただきありがとうございました!
今年は沢山の方にお読みいただだけてとても嬉しかったです!
来年もまたよろしくお願いいたします。
良いお年を!




