第93話 これが鵠沼家のランチメニューです!
「ゴホン……とにかく、来たものはしょうがない。 中川、ランチを頼めるか?」
「あら、いいの? ……というか貴方が作るの?」
近くで見ていた鵠沼さんが、そう言いました。 たしかに、時計を見たらもうランチタイムです!
旦那様にご飯を用意できてないことが望美さんにバレたら、怒られちゃいます!
「はい、待っててください!」
私は、飛び出すように厨房へ向かいました。 よし! この前、望美さんに作ってもらったように、美味しいご飯を作るぞい! エイエイオー!
◇◇◇
料理ができました! 以前、望美さんがお客様に出した時の紹介の仕方、あれを真似しないといけませんね!
「お待たせしました! 前菜の、冷蔵庫に適当に入ってたサラダです!」
「……適当?」
「貴方? 盛りつけも綺麗だし、普通に出しなさいよ……」
よかった! 二人とも美味しそうに食べています! この調子で次いってみましょう!
「スーパーから買ってきた、お惣菜です!」
よかった、ちょうど置いてあったんです。 誰かが買ってくれたのかな?
「……スーパーの惣菜? まさかな……」
「はあ? どういうつもりなのよ、貴方! 馬鹿にしているわけ!」
ちょっと、怒ってます? ーーおかしいなぁ?
「でも、ここのコロッケ美味しいんですよ! いつも行列ができてるんです!」
「そういう問題じゃないんだけど……まあ、美味しいわね」
花山院さんは、なんだかんだ言いながら食べてくれました。 ツンデレさんですね!
「揚げ物を召し上がりましたから、あっさりとしたメインディッシュをご用意しました」
私は、二人の前に配膳します。 花山院さんの体が、震えてます。 どうしたんでしょう?
「……貴方、一応聞くけど、これは?」
「はい! ぶぶ漬けです!」
ーーガタン。
花山院さんが、立ち上がりました。
「貴方はつまり、こう言いたいわけね! とっとと帰れと!」
「え!?」
「この私に! ぶぶ漬けを出したってことは! そう言うことよね!」
「ひいっ!」
花山院さんが、私に掴みかかってきました。 どうしたんですか、怖いですよ!
「お前たち! 落ち着け!」
鵠沼さんが、間に入りました。
「花山院! 中川は、ぶぶ漬けの意味を知らないんだ!」
「え? 知らないで出したの?」
「知ってますよ! 美味しい、お茶漬けですよね!」
「……」
花山院さんが、私の襟から手を離しました。 そして、じっと私を見て。
「……本気で言ってる?」
「はい! あっさりしてて、シメにぴったりです!」
「誰に聞いたの、それ」
「望美さんです!」
「……そうか、わかったぞ!」
「鵠沼さん?」
ーーその瞬間。 鵠沼さんが、はっと顔を上げました。 そして、椅子から立ち上がりました。
そしてゆっくりと、食堂の扉に向き直って、こう言いました。
「この騒動の犯人は!」
指を、突きつけました。
「望美だ! 出てこい! 望美!」
「……あの」
ーー鵠沼さん。 そこ、誰もいませんよ?




