第9話 中川恵の片想い ーー中川恵視点
今日のクラスは、活気立っていた。 だって、クラスのアイドルである小川さんと鵠沼さんが、日直なんだから。
二人とも学校の人気者で、ファンクラブもいるんだから!
小川さんの優しい笑みと、鵠沼さんのクールな視線にみんなメロメロなんだよね!
そんなことを想像してたからか、一時間目が終わり先生が出て行く。 私のノートは、まだ書き終わってない。
ーーどうしよう。 早く書かないと。
小川さんが早速やってきた。 早く書かないと! 迷惑かけちゃうよ! でも、充分間に合うよね?
そう思っていたのにーー 次の瞬間、黒板の文字が全部消えていた!
マジック? イリュージョン? 目をつぶっている間に終わってた。
慌てた私は咄嗟に立ち上がって、小川さんに話しかけた。
「まだ、書いてないです」
「あ、そうだったの? ごめんね〜」
ーーすると、ポケットのノートを渡してきた。 私は感謝して、そのノートを写そうとしたんだけど。
(後でノートの写しを渡すから、今は待っててくれるかしら)
ーーなにこれ? ふと彼女を見ると、小川さんは私を見ていた。
次の授業も、その次も彼女は黒板消しをする。 それだけではなく、水やりやプリント集めなどを一人でこなしていた。
私は、散らばるプリントを彼女に渡す。 彼女は、にこやかな笑みを私にくれた。
ーーその時、私に刺すような視線が向けられた。
私がその方向を向くと、中腰になっていた鵠沼さんが、こちらを睨んでいた。
ーーメガネをした男の人。 私の初恋の人だ。
私、もしかして、鵠沼さんに惚れられているじゃ?
彼との出会いは、入学式。 慌てて、うっかり転んでしまった時に、鵠沼さんが支えてくれたんだ!
その時、手が触れて恥ずかしかったなぁ。 あとは。 朝、遅刻しそうでパンを咥えて走っていたら、ぶつかったりーー
ーーねえ? まるで、小説の運命の出会いみたいだよね?
その時、うっかり彼のメガネに当たったんだけど。 顔が綺麗だった。
しかも、同じクラスだなんて運命じゃない? このチャンス、ものにしないと!
ーーなにか、断れない理由があればいいなぁ?
これって! 絶対にラブ恋が始まるよ!




