表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校の人気者の小川望美は俺のモノ  作者: Masa(文章力あげたい)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/17

第8話 学園の人気者と日直当番

 学校で俺と小川望美が言葉を交わすことは、一切ない。


 あの女は俺の前では能面のメイドを演じ、ここでは人気者の仮面を被る。 


 まあ、大方。 鵠沼の跡取りである俺に話しかければ、その仮面に綻びが出るとでも思っているのだろう。


ーーしかし、それは今日終わる。 絶対に避けられない事態がやってきたのだ。


 日直当番。 それは、共同作業を意味する。 なんと驚くことに、俺と望美は同じ日に当番として任命されたのだ。 奇跡だな。 これは!


 黒板を消し、日誌を書き、号令をかける。 更に水やりなどの作業もある。 さすがの望美も、今日ばかりは俺と口をきかざるを得ないはずだ。


 俺は、脳内で妄想を始める。 望美と俺が話すシュミレーション開始だ!


 場所は黒板の前、望美がこちらへ話しかけている。


『だ…鵠沼さん〜 お願いします〜』

『……ああ、任せろ!』

『さすが! 頼りになります〜』

『当然だ!』


 俺は今から、そんな望美との会話をーー


 そう思っていた、朝もあった。 というか、さっきまでは、だ。


 一時間目が終わった後、教師が教室を後にした。 そこまではよかった。


 望美は弾かれたように立ち上がり、誰よりも早く黒板消しを手に取った。


ーーふん。 なるほど、そう来たか。 望美は共同作業から逃げる気か。 


 一人で先に片付けてしまえば、俺と言葉を交わす必要はない。 実に望美の考えそうなことだ。 


 ーーしかし、上手く行くかなぁ?


 俺は窓際の席で頬杖をつき、その小狡い立ち回りを眺めていた。 


 クラスメイトの視線が俺に集中する。 何かを期待する目だ。


 (お前は、学校のアイドルに仕事をさせて、サボりか?)

(ボッチ根暗メガネがいい度胸だな?)


幻聴が聞こえてきた。 ーーふん。 だが、それは悪手だぞ、望美。


 俺の読みは、当たった。


「あ、ああ! 小川さん! まだ書いてないです!」


 黒板の前で、クラスメイトの一人ーー中川恵が、望美に泣きついていた。 ノートを胸に抱え、半べそをかいている。


「てへ。 ごめんね〜」


望美の声が、教室に響く。 誰にでも分け隔てなく優しい、俺の前では決して出さない、人気者の小川望美の声だ。


「ほら〜 見せてあげるから〜」

「だったらいいですけど……」


 そう! この時を待っていた! 俺は席を立ち中腰になった、その時ーー


「はい、これどうぞ!」

「え? ノートを服に忍ばせてたんですか?」


 望美はなんと、手帳サイズのノートを片手で渡したのだ。


ーー馬鹿な! 俺の計画では、望美が離れた隙に、残りを消す予定だったのに!


俺はこの状況を見越して、脳内練習をしてたのに!


『小川さん。 消しておいた……』

『ありがとうございます〜 鵠沼さん〜』

『当然だ!』

『見直しました!』

『望美……』

『灯磨……』


 俺の想像している未来が崩れて行くーー


 俺は中腰のまま固まって動けなかった。 クラスメイトの視線が俺に降り注ぐ。 


ーーやめてくれ! 哀れな俺を見るな! 


 望美は俺と一言も交わすことも、俺と共同作業をすることもなく、二時間のチャイムが鳴るのだった。


「作戦成功……さすが私ね……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ